地に落ちたケネディ神話

  • 2012.03.25 Sunday
  • 22:41
 

ケネディ大統領についてはこれまでに何千冊という数の伝記やら暗殺陰謀説やら賞賛本やらゴシップモノやらが出版されてきた。 その中で彼の崩壊した家庭生活や自堕落な女性関係などが明らかになっている。 それでも大方は「そうであったとしても、ケネディー大統領の若さとエネルギーと英知によるカリスマ性は国中を熱気で包み、国民だけでなく世界中の人々に夢を抱かせた」というような見方が支配的である。

 

ミミ・アルフォードという女性が最近「ワンス・アポン・ア・シークレット」という本を書いた。 この女性は大学在学中の夏休みにケネディが大統領のいるホワイトハウスでインターンとして働き始めた。 そこである日ケネディにジャクリーン婦人のベッドの上で強姦される。 その当時19歳で世の中のことを何も知らない処女であったミミは、合衆国大統領の地位からくるパワー・オーラに圧倒され、そのまま愛人となってしまう。 あるとき生理の周期が遅れ、やばいと思ったケネディはミミに半強制的に中絶を受けさせられる(結果的に妊娠ではなかったと判明した)。 あるときには口にするのも憚られるような破廉恥で無慈悲な行為を強要される。 その後ミミは婚約するが、ケネディとの関係がフィアンセにばれてしまう。 当時の社会では婚約解消は相当な事件であるから二人はそのまま結婚する。 しかしこのことが大きな影を落とすことになる。 ミミも結婚相手も、何十年もの間、心に負った深い傷を癒すことは出来なかった。 そして離婚することになる。

 

アメリカ合衆国と言う大国の元首として、大統領にはカリスマ性、知識、能力はさることながら、哲学と人格が求められる。 アメリカ合衆国大統領の職務というのは就任するときに聖書に手を置いて宣誓するように、preserve , protect and defend the constitution of the United States ということである。 ジンバブエの大統領と違って、職権を利用して私服を肥やしたり、他人の権利を奪ったり、人権を侵害してはならないのである。 だから、人格的には問題があるが能力・カリスマは凄い、などというのはカタワなのである。

 

このエピソードが示すのは、ジョン・ケネディという色キチガイのケダモノが一人の女性から幸福を奪い、人生を破壊しという事実である。 自分の家族を幸福に出来ず、かたや権力を傘にきて他人の娘に狼藉を働く、そんなカタワな人間がホワイトハウスにいたということである。 クリントンもめちゃくちゃだったが、それよりも凄いのがいたということである。

 

ジョン・ケネディはキューバ危機の最中にこの女性をホワイトハウスに呼び、高官との打ち合わせの後で憔悴した様子でこう呟いたという。 「I'd rather my children be red than dead」 自分の子供達が共産主義者になってもよいから生き残ってもらいたいということであろう。 これを親の子への思いなどと思ったらとんでもないことである。 この言葉はケネディが共産主義の何たるかを理解していなかった証拠である。 共産主義者になるということは良心と人間性を失うということである。 1964年にバリー・ゴールドウォーターの応援演説にてロナルド・レーガンが発した言葉「You and I have the courage to say to our enemies, "There is a price we will not pay." There is a point beyond which they must not advance. 」と比べてあまりにも対照的である。 価値観の倒錯した人間だけあって、その判断力の無さと意志の弱さが危機の最中に露呈したということである。

 

私も高校・大学時代に落合信彦の「ケネディからの伝言」のようないわゆるケネディ本を読み漁ったり英語の学習をするのにケネディの就任演説を狂ったように朗誦したものである。 「Ask not what your country can do for you, ask what you can do for your country.. 」最高だ、と。 欠点を持つのも人間性の現れであり、それであるが故に偉大なのだと思ったものである。 ケネディだけが偉大なのだと思ったものである。 無知で無邪気な青春時代である。

 

ケネディ・タックス・カットと呼ばれる減税のように評価できる政策はあるのは事実である。 しかし同時に公務員の労働組合結成を大統領令で許可するなど、後世に悪影響を与えた。 ベトナムへの介入は中途半端。 明らかに偉大ではない。 だた最悪でもない。 「偉大」というのはレーガンのような偉大な業績と偉大なレガシーを残した人間だけに授けられる形容詞である。 「最悪」というのはジミー・カーターのような人物に授けられるべき形容詞である。 そうでなければ言葉の意味が失われてしまう。 ケネディ政権を描写するとすれば、「1期目で暗殺されたため在職は短い期間となり、目だった業績は無し」くらいが適当である。 そして、そこに付け加えられるべきは「後年、人格的な欠陥が次々と明らかになった」という一文であろう。

 

Once upon a secret

http://www.amazon.com/Once-Upon-Secret-President-Aftermath/dp/1400069106/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1332682977&sr=8-1

 

JFK's intern Kennedy's 'dark side'

http://www.youtube.com/watch?v=VmngU2bzFeI&feature=related

 

 

ケネディ神話の崩壊

  • 2011.06.29 Wednesday
  • 00:29
 

ジョン・F・ケネディは強い信念に従って改革を断行した。 そのために軍産複合体、CIA、マフィアといった巨大組織を敵に回し、暗殺された。 オズワルドは単なる捨て駒であって、その陰には巨大な陰謀が渦巻いていたのだ。 この事件はケネディという一世一代の巨人、全世界の希望の星、平和の使者が巨大な悪の力によって葬り去られた悲劇であり、永遠に我々に影を落とし続けるのだ。 ケネディがいれば、ベトナムの悲劇は無かっただろう。 ケネディを殺した悪の力は脈々とアメリカの裏の権力を支えている。 それがいつ我々を脅かすか分からない。

 

というのは自分も数年前まで信じてきたことだった。 高校時代に落合信彦の「2039年の真実」やその後オリバー・ストーンの映画「JFK」に触れて完全に陰謀説を信じていた。

 

しかしここ3年ほどの間保守の思想に傾倒するにつれ、自分の中でケネディが占める重要性はどんどん少なくなっていた。 そしてVincent Bugliosi20数年をかけた大作「Reclaiming History」を読むことで完全に吹っ切れた。 

 

これは大作である。 苦労がにじみ出てくるような本である。 同時に淡々と時系列で事実を述べている。

 

フォード大統領もレーガン大統領も狙撃されたが幸いに無事だった。 ケネディは若気の至りでやや注意不足だった。 あまりに大衆がフィーバーするのでそれに応えようとシークレットサービスの要請をしばしば無視した。 そして気の毒なことに気のふれた共産主義者のオズワルドに殺された。 ジャック・ルービーはそんなケネディ・フリークの一人だった。 それもかなり入れ込んでいた。 怒り心頭でジャック・ルービーはオズワルドを殺した。 沢山の人が悲しい思いをした、気の毒な事件だった。

 

そんな簡単な事件だったのである。 しかし左翼は納得いかなかった。 彼らのアイドル、ケネディの人生がそんなタバコの煙のような存在であっていいはずがない。 そこで「ケネディ神話」という信仰宗教が始まった。 もう40年以上も前の出来事である。 そろそろ間違いを認めて店をたたむ時である。

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