アメリカ大統領選に見る保守と中道

  • 2011.12.04 Sunday
  • 18:16
 

アメリカ大統領選の共和党候補者のディベートが面白くなってきている一つの理由は各候補の違いが際立ってきているからである。 保守と中道の差、問題への洞察力の差、言語能力の差。 これらの差がだんだんと見えてきている。 ロン・ポールとジョン・ハンツマン以外はどれも良い候補である。 バックマン、サントラム、ギングリッチ、ペリー、ロムニー、どの候補がオバマと相対しても勝利するであろう(ハーマン・ケインは選挙活動中止を宣言した。 残念なことである)。 しかし重要なのは勝った後である。

 

ジョージ・ブッシュは強固な信念をもった善良な人物であった。 9.11の衝撃を受けたアメリカを再生させ、アフガニスタンとイラクでの戦いに勝利をもたらし(民主党・左翼から多大なる邪魔をされ、いまやオバマによって反故にされつつある)、経済の繁栄をもたらした(民主党議会によって多大なる邪魔をされ、いまやオバマによって反故にされつつある)。 9.11後にアメリカだけでなく、アジアやヨーロッパの安全をもたらした人物として歴史上高く評価されるべき人物である。

 

しかし残念ながらブッシュは保守主義が芯まで叩き込まれた人物ではなかった。 政権後期には民主党に妥協してウォール街や自動車や保険会社の救済に巨費を投じ、資本主義の原理を捻じ曲げる決定をしたのはブッシュである。 「Compassionate Conservatism = 寛大な保守主義」なる亜流思想をもてあそび、No Child Left Behind Actのような中央集権的政策を教育に持ち込んだり、不法移民に媚びる政策をとり、結果財政支出を増やしたのもブッシュである。  ラムズフェルドが解任されるまではテロには断固とした姿勢をとりながら、その後北朝鮮をテロ支援国家から外し、核保有を許してしまったのもブッシュである。

 

保守側の政治家が左翼的政策をとれば、保守的な政策の効果は薄められる。 減税をするのは良いことであるが、同時に規制を増やしたり政府支出を増やしてしまっては意味が無い。 保守が中途半端に左な政策をもてあそぶのを見るくらいならば、左翼が左翼思想を全開にしてユートピア的将来を物語るのを見る方が大衆にとっては魅力的である。 左翼のオバマはそれで勝ち、中道のマケインはそれで負けたのである。 「中道」というと、天秤の真ん中にあってバランスが取れているように聞こえるが、それは誤解である。 中道というのは下降でもないが上昇でもない、ネガティブな現状維持ということである。

 

現在共和党の指名争いを戦う候補者の一人にニュート・ギングリッチという人物がいる。 ギングリッチは日本では「ゴリゴリの右翼」ぐらいの認識であろう。 社会主義化した日本らしい受け取り方である。 ギングリッチは保守的ではあるが「強固な保守」ではない。 中道寄りである。

 

最近のディベートで不法移民に関する論争が行われた。 その中でニュート・ギングリッチ候補はこのようなことを言った。 「不法移民を合法化するつもりはない。 しかし考えてみてほしいが、アメリカというのは移民の国なわけだ...不法移民としてアメリカに移住し、もう25年もここに住んでいる人たちがいる...そういう人たちは家族がいる...そしてコミュニティーがある...そして勤勉に働き、家族を養い、法を守り、善良な市民として生きている。 そういう人たちを強制送還する、という考えはアメリカ的ではない。 彼らの家族をバラバラに引き裂く、という行為は家族を重んじる保守としてあるまじきことである。 だから、私は彼らが手続きを経て合法的な市民となる道を作りたい...」 だいたいこのようなことを言っていた。

 

さすがディベートの名人だけあって「多くの人が、なるほど、と思うだろうな」と思う語り口である。 しかし以前「グリーンな保守主義」なる亜種思想をもてあそび、CO2削減などに媚を売ったことのある人物が発する言葉らしいというか、この人は本当に保守か?と疑いを抱かせる言葉である。 25年前の違法行為が、今の同様な行為と同じ罰を受けなくて良しとするのであれば、ならば15年ならどうなのか、10年ならば、8年ならば、5年ならば、3年ならば? それは誰がどういう基準でどのような権限で決めるのか? 法の精神は? 法に則り、これから辛抱強く手続きを積み重ねて合法的移民を目指そうとしている人々はどうなるのか。 その経過の真っ只中にいる人たちはどうなるのか。 既にそのプロセスを経て多大な努力をして市民となった人々はどうなるのか。 善悪をごまかしイメージを売り込む左翼そのものの考えである。

 

私であればこう言うであろう。 「I, as President, would welcome immigrants from all over the world.  And at the same time I would enforce the law, because this is a country founded on law and order.  For those who are here illegally, I would do everything to make their lives extremely difficult and unbearable, no matter where they come from, no matter how long they have been here… by implementing federal laws against illegal immigration, building physical fence along the southern border and by imposing hefty penalty against hiring illegals…until they self-deport.  And, for those who are hard-working, family-loving and law abiding, I wish they would come back to us… through the front door

 

2012年の選挙を戦う共和党候補者も強固な保守、かなり保守、保守ではあるが中道寄り、中道、といろいろである。 アメリカの将来のために...というより、保守の日本人としては保守主義と資本主義の未来のために、「強固なる保守」に勝利してもらいたいものである。

コメント
>管理人さま
 
私は英語があまり堪能ではありませんが
「合衆国は法治で成り立つ国家である。
移民も堂々と正面玄関から来るなら歓迎するが、裏口から来てそもそも法を守る意思もない者などには国民たる資格など与えられない」
・・・という意味であろうと読みました。
 
 
西欧の民主主義の原点は「法治」ですが
これは
貴族が連合して王権の横暴な要求を跳ね返して文書にして守らせたことから始まっています。(マグナカルタなど)
しかし
フランス革命やロシア革命では大量殺人が行われましたから
民主的欲求の過剰な性急さをも制限するための「法の支配」を対置しているのでもあるのです。
 
しかし我が国日本は
古代 豪族が争って国が治まらないので
政治とは関係が無かった巫女の一族であった卑弥呼が女王になるという
いわば「祭りの神輿」のような”権力の空白”によって共同体が維持されて来たのです。
 
ですから
西欧社会での絶対王権のようなリヴァイアサン(権力の怪獣)は登場しなかったのですが
武家の主従関係や農村共同体的な
ローカルルール(田舎の掟)がいつまでも残って 近代の法治国家に脱皮できないのです。
 
これが
日本の政治家の仕事といえば
地元の選挙区に役にも立たない無駄な公共工事を持ってくること
になってしまっている一番の原因です。
自分の属する共同体は太らせるが(利益誘導型の政治)
日本全体は借金漬けにする古来からの日本的なシステムは早く解体しなければ国家自体が破産しますよ。
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