"アジェンダ21" 21世紀の共産党宣言

  • 2013.03.02 Saturday
  • 16:25
 

“Freedom is never more than one generation away from extinction. We didn't pass it to our children in the bloodstream. It must be fought for, protected, and handed on for them to do the same, or one day we will spend our sunset years telling our children and our children's children what it was once like in the United States where men were free.”

― Ronald Reagan   Audio

 

 

かつてレーガンは、自由というものは常に一世代で消滅する危機に晒されている、だからそのために戦い、それを守り、次世代が同じようにするように引き継いでいかなければならない、と警告した。 レーガンが大統領の座にあった1980年台は自由の種がまかれた時代であった。 アメリカ、そして西側諸国はそれから20数年にわたって平和と自由を享受した。 その時代は今後未来永劫続くものと思われた。 しかし今から振り返れば、それは儚い夢のようなものであったことは明らかである。

 

なぜそのようなことを言うのか。 それはレーガンが叩き潰したはずの共産主義が再び大手を振って世界を徘徊しているからである。 そしてそのことに我々は気付かずにいるからである。 20世紀の共産主義・隆興の起点はカール・マルクスによる『共産党宣言』であった。 それが我々が生きる21世紀の今、新たな共産党宣言として蘇った。 その名は『アジェンダ21』である。

 

アジェンダ21Agenda 21)とは、1992年にブラジルのリオ・デ・ジャネイロ市で開催された地球サミットで採択された、”21世紀に向け持続可能な開発を実現するために”各国および関係国際機関が実行すべきとされる行動計画である。 

 

キーワードは「持続可能」である。 我々の日常において「持続可能な〜」という言葉を聞かずに過ごすことは一日たりとも無い。 持続可能な農業、持続可能な医療、持続可能な家族、教育、介護、保険、店舗、マンション、交通、都市、街、村、経営、生産、消費、森林、観光我々の周りにある、ありとあらゆる物事が「持続可能になる」ことが求められている。 あたかも、過去数千年来脈々と行われてきたことが「持続不可能」であったかの如くに。

 

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この「持続可能」という一見耳触りのよい考え方を中心思想とするアジェンダ21とは何なのか。 このアジェンダの文書が何を言っているのか、そして策定に中心的に関わった人間達が何を言ってきたのか、それらが手掛かりとなる。

 

『環境を保護するためには”予防的方策”が、各国政府により、その能力に応じて広く適用されなければならない。 深刻な、あるいは不可逆的な被害のおそれがある場合には、完全な科学的確実性の欠如が、環境悪化を防止するための費用対効果の大きい対策を延期する理由として使われてはならない。     環境パートナーシップ会議・訳を一部加工)』アジェンダ21と共に採択されたリオ宣言27の原則(第15条)より

 

この原則が現実にどのように適用されているか。 科学的確実性が欠如しているにも関わらず、フロンガスの使用は禁止された。 その結果、より高価な代替品への交換のために莫大なコストが生じ、途上国の人々は空調と冷蔵技術の恩恵を制限されることになった。 生活の質、健康・医療、食糧調達などの面でどれほどの損害が生じたか、はかり知れない。 そして今、人間の排出する二酸化炭素が地球温暖化を引き起こし、地球の未来を危機に陥れているとされている。 科学的確実性が欠如しているだけでなく、ますます多くの科学者達がその説に対して異議を表明しているにも関わらず、である。

 

『”持続可能な開発”を実施するに当たっては、個人の権利は「全体」に従属されねばならない』

 ハーベイ・ルービン(UNCED リオ+10サミット)

 

持続可能な社会を実現する実験に対して個人的な権利を主張したり異を表明したりすることは許されない、というわけである。 全体に従属せよこの考え方を全体主義と言う。 全体主義は歴史上様々な形態をとってきた。 フランス革命、ナチズム、ウィルソン、ルーズベルトのニューディール、スターリンのソ連、毛沢東の中国、金王朝の北朝鮮これらの社会ではまさしく「個は全体に従属すべし」、「さもなくば罰を」とされてきた。

 

『正直なところ、地球を救うには工業化文明を崩壊させる以外ない、という段階に、既に我々は来ている』

 モーリス・ストロング  UNCED事務局長

 

「地球を救う」か「工業化文明を存続させるか」二者選択を迫っているわけである。 ストロング氏によれば、工業化文明を守ろうとすることは、すなわち地球を破壊させようとする、邪悪な行為である、となる。 地球を守るためには工業化文明を破壊せよ、というわけである。 

 

『自由な経済が本当に意味するのは、金持ちが益々金持ちになり、彼らがその過程で他の人々を搾取し、精神的に強姦する自由を行使するということ。 資本主義は地球を破壊している。』

 ヘレン・キャディコット Union of Concerned Scientists

 

人々の苦悩の原因は富を蓄積する人々にある、という主張である。 マルクス・レーニン、その他共産主義者やイスラム原理主義者が目指してきたように、資本主義を破壊することが我々と我々の住む地球を救うことである、と。

 

我々のような普通の感覚を持った一般庶民に、自然を嫌悪する人間はいない。 草木花や動物を嫌悪する人間はいない。 野山や河川を嫌悪する人間はいない。 空や風や雨や雪を嫌悪する人間はいない。 太陽や月や大地を嫌悪する人間はいない。 環境破壊や汚染や砂漠化を愛する人間はいない。 ”持続不可能”を愛する人間もいない。

 

だが、彼ら環境共産主義者の主張によれば、資本主義経済の恩恵を受け、工業化文明を更に発展させようとしている我々庶民はまさしく”地球を破壊し、自然を破壊し、草木動物山野河川を冒涜する”憎むべき存在であり、国際的な機関の主導によって国単位、地方単位、地域単位で教育され、矯正され、導かれなければならない存在なのである。

 

  

Agenda 21 by Glenn Beck and Harriet Parke 

Amazon

 

グレン・ベック/ハリエット・パーク共著「アジェンダ21」は短編未来小説である。 小説であるから詳細をここに記することはすまい。 この小説が描き出すのは「アジェンダ21」が完全施行された数十年後のアメリカの姿である。 世界で最も自由であり、個人の主権・尊厳が守られている国の一つであるアメリカにおいて、もしも、アジェンダ21による”改革”が完成を見た暁にはどのような社会が現出するのか。 主人公の少女エメリンとその家族、友人、周辺の住民、そして官憲達の姿を通して綴られている。

 

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そこは僅か一世代前に「アメリカ合衆国」と呼ばれていた。 国連主導による「アジェンダ21」と呼ばれる計画が世界的に実施された結果、そこは単なる「共和国」となった。 「共和国」には大統領も議会も裁判所もない。 あるのは「当局」のみ。 「共和国」において人々が存在する目的は二つのみである。 エネルギーを作り出すことと新たな生命を生み出すこと。 

 

「持続可能で公正で平等な」社会の実現のため、私有財産は完全に否定され、社会が持続するのに必要とされるエネルギーを発電するために人々はユニフォームを着て自宅に据え付けられた発電用のペダルをひたすら漕ぐ。 人々は所定時間に所定量の栄養食の塊と水を与えられる。 男女は当局によって身体検査され、当局によって組み合わされる。 子供は生まれた瞬間に親から引き離され施設へ送られる。 障害を持つ人間は「持続不可能」と判断され除去される。 子供を産むことが出来ない人間も「持続不可能」と判断され除去される。

 

市民は”平等”である。 アジェンダ21によって有志以来人類を苦しめてきた”経済的・社会的不平等”は解消された。 ただし、市民が”平等”から外れる道は三通りだけ残されている。 それは...

 

1) 当局の決めた基準から外れること - そして罰せられる

2) 他の市民よりも少なく生産し、多く欲しがること - そして罰せられる

3) 他の市民について当局に報告すること - そして報酬を得る

 

アジェンダ21の社会的正義に則って人々は誰かが誰かよりも優れ、あるいは劣る、ということが無いように当局から責任をもって遇される。 そのため人は個人としてではなく全体の成員として扱われる。 しかし市民が個人となる瞬間がある。 それは法律を破り、社会の掟に背いたとき。 その時人は「個人」となり、公衆の面前に引きずり出され、罵られ、そして官憲と共に姿を消す。

 

主人公の少女エメリンは「共和国」で生まれ育った。 「共和国」が彼女の世界の全てであった。 しかしエメリンは昔を知る両親、夫、門番、そして職場の女性との出会いから徐々に「共和国」の成り立ちを知るようになる。 

 

アメリカ合衆国は度重なる危機に見舞われていた。 人々は強い指導者を欲した。 選ばれたのはファビアンという男だった。 ファビアンは最高指導者となり、「賢く力のある」人間達を集めて「当局」を作った。 当局は宣言した。 「もうあくせく働かなくてもよい、みな平等になるのだ」と。 当局は瞬く間に規制を作り出した。 そしてそこは「共和国」となった。

 

共和国が発足した当時、三通りの人々がいた。

1) 当局を熱烈に支持した人々

2) 当局に抗議し、そして姿を消した人々

3) 黙って頭を垂れ、注意深く静かに動向を見守った人々

独立心と正義感の強かったエメリンの祖父母は二番目の人々であった。

 

共和国は持続可能な社会を構築するため、郊外に住んでいた人々を強制的に都市に移住させた。 エメリンの祖父母は当局に抗議し、公衆の面前で射殺された。 それを目の当たりにしたエメリンの母は当局に反抗的な態度をとり続ける。 そしてある日、母親は当局に手に綱をかけられ、エメリンの目の前を連行され、それ以降は消息不明である

 

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日本の出版界というものは良書が翻訳されず、ポール・クルーグマンやマイケル・サンデルのようなデマゴーグの本が日本語で出版されて書店に平積みされる。 本書の日本語化を望む。

 

アジェンダ21の基本コンセプトは3つである。

  1. 土地の使用
  2. 継続可能な開発
  1. 予防的方策

 

これら基本コンセプトは以下のように実施される;小説「アジェンダ21」より

  1. 市民の私有地から都市の高密集住宅地への移動
  1. 大型肉食獣を含めた野生動物のための保護区域の設定
  2. 自動車の廃止と”歩きやすい”街の創設による交通渋滞解消と燃料使用削減
  3. 持続可能な開発のための公的資金を使って選定された私企業をサポート
  1. 個人を超え、全体の利益を意識した政策策定
  2. 電力、水、及びあらゆる”炭素汚染”を引き起こす資源の使用を劇的に削減
  3. 民主的手続きを超えた行政(官僚機構)による包括的な意思決定
  1. 課税、手数料徴収、規制の強化
  2. 人口減少へ誘導するための政策実施

 

人間という動物は放っておけば無軌道に人口を増やし、地球資源を食い荒らし、二酸化炭素で温暖化を引き起こして地球上に生きるあらゆる生物を絶滅させる。 また彼らは放っておくと土地を我が物とし、それを非効率な市場経済に利用し、際限無い富の蓄積と集中をもたらし、社会的な不公正をもたらす。 1976年・バンクーバー宣言)

 

だから… 21世紀、人類の行動計画、アジェンダ21なのだ。 

 

"Agenda 21 is a comprehensive plan of action to be taken globally, nationally and locally by organizations of the United Nations System, Governments, and Major Groups in every area in which human impacts on the environment"

 

『国連のアジェンダ21とは、人間が環境に影響を与えるすべての領域において、国連組織、各国政府、有力組織(NGO等)によって、全世界・国・地域それぞれの単位で、とられるアクションの包括的な計画である』 Agenda 21, UNCED 国連ウェブサイトより

 

アジェンダ21の根幹は「管理」である。 土地、資源、人々、空気、大地、海、全てが管理下に置かれる。 国連が主導する世界政府による管理である。 その管理下において、世界的規模で富の再分配が行われる。 富の再分配富める国を引き下げることによる平等化それが彼らアジェンダ21推進者達の目標である。

 

Sustainable development is development that meets the needs of the present without compromising the ability of future generations to meet their own needs

 

『持続可能な開発とは、未来の世代のニーズを損なうことなく現在の世代のニーズを満たすための開発のことである』 グロ・ハーレム・ブルントラント 環境と開発に関する世界委員会・委員長  国連文書参照

 

未来の世代のニーズとは何か? 未来の世代の人間が何をどのように欲するのか、それは彼ら以外の誰がどのように知りえるのか? 例えば、2013年に生きる我々の”ニーズ”を、1970年台の人々が予測しえただろうか? テレックス時代の人々が、アイフォン時代を予測しえただろうか? 羅針盤時代の人々がGPS時代を予測しえただろうか? ビル・ゲイツは若かりし頃、ウィンドウズの構想を”思い描いた”かもしれない。 では当時の政府関係者が現在のウィンドウズ8の背景となる”ニーズ”を予測したのか? これだけ問えば答えは言うまでもなかろう。

 

アジェンダ21推進者達は、しかし、「知っている」のである。 未来の世代の”ニーズ”を。 なぜならば、それは彼らが決めるからである。 その”ニーズ”を実現するために、あらゆる人間活動が管理され、計画される。 それに従わない人間は罰する。 これがアジェンダ21である。

 

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共産主義はロシア革命によって始まりソ連崩壊によって終わった。 ソ連の支配下にあった国々は自由を取り戻し、アジアを襲った虐殺と隷属は遠い過去の話となった。 いまや中国ですら資本主義を取り入れている。 誰もがアイフォンを手にし、フェイスブックでつながり、ツイッターを発信する時代となった。 もう共産主義は存在しない。 右も左もない。 それは過去の遺物である。 我々は今、新しい時代、自由の時代に生きている。 時代は逆戻りしない。 なぜならば時計は逆戻りしないのだから...

 

多くの人がそう思い、そう信じた。 しかし現実はその反対であった。 ロナルド・レーガンが洞察したように、自由というものは「常に一世代で消滅する危機にある」ものであり、「世代から世代へ血で伝えられるものではない」からである。 自由とはあまりにも儚く、あまりにも脆く、あまりにも逃げやすいものだからである。

 

共産主義は蘇った。 その名はアジェンダ21である。 共産主義は「環境」を切り口に国際的な運動になりつつある。 その運動は環境にとどまらず、国家・地方都市・市町村運営へ、企業活動・個人活動へ、市民生活のあらゆる階層へと確実に浸透しつつある。 試しにアジェンダ21と検索してみればよい。 そこで何がヒットするかを見れば、既に我々の身は共産主義に包囲されていることを知るだろう。

 

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追記:

アメリカではアラバマ州のようにアジェンダ21の危険性を察知しICLEI(持続可能性をめざす世界的な自治体協議会)から脱退する動きが出ている。 一縷の希望である。

 

参考:

資料:

 

日本における取組み

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