公的社会保障 - この世で最大の詐欺

  • 2013.10.26 Saturday
  • 23:14
この世の中、詐欺師はいるものである。 人を騙して私腹を肥やす者。 人にあらぬ希望を持たせてその気にさせた挙句に財産をかすめて逃げる者。 ちっぽけな詐欺師、大胆不敵な詐欺師、愚かな詐欺師、狡猾な詐欺師。 しかし、詐欺師にも不動の存在がある。 人々が騙されていることが明らかに分かっていても、誰も文句を言うことが出来ない。 誰も訴えることができない。 誰も逆らうことが出来ない。 誰も逃げることすらできない。 その超弩級の詐欺、その名は公的社会保障である。 公的社会保障を凌ぐ詐欺はいまだこの世に存在したことがない。
 
保険会社の仕事は顧客の支払う対価と引き換えに、顧客が抱える様々な「心配」を軽減するサービスを供給することである。 大昔の人々の心配は「今日明日を生存できるか」であった。 現代の我々の心配は、仕事、結婚、老後、健康、子育て、学校、人間関係、財産…  世の中が複雑になればなるほどに人々は多様な心配事を抱えるようになる。 それらについて常々心配していたら人はノイローゼになってしまう。 そこで保険会社が登場した。 「月々これこれの額で保険料を払っていただければ、その心配事が実際に起きた際には私たちがお世話することを保障します」と。 ある保険会社はその約束を守らず、顧客の信頼を失い消えていった。 一方ある保険会社は災難に直面した顧客に暖かい言葉をかけて励ましつつ、約束した以上のサービスを提供して信頼を勝ち得た。 現在生き残っているのは後者のような保険会社である。
 
医療と老後は人々が抱える様々な心配事のなかでも代表選手と呼ぶべきものである。 もし自分や家族が病気や怪我をしたら治療を受けて再起できるのだろうか。 自分や家族が定年退職したらどのように生計を立てていけばよいのだろうか。 これら心配事から完全に逃れることのできる人間は少ない 民間の保険会社には倒産の可能性があるが、国には「倒産」は無い…  このような重要な心配事は国が面倒を見るべきではないのか... 公的社会保障はこのような考え方を背景に誕生した。
 
公的社会保障はもはや珍しいものではない。 公的年金や医療皆保険制度は世界中の多くの国々で取り入れられている。 国が医療保険を運営することが当たり前なこととして受け入れられている。 その点で皆保険制度の無かったアメリカは例外であり、しばしばアメリカの医療は異様で非情なものとして受け止められた。 しかしそのアメリカにもいよいよ皆保険制度の始まりともいうべきオバマケアがやってきた。
 
ところが、個人のための登録ウェブサイトが101日の始動早々からバグだらけである 必要事項を入力してクリックすると、「このページはアクセスできません」あるいは「情報が足りません」のようなメッセージが出てくるは固まったまま先へ進まないは、酷い有様である 日本でも以前社会保険庁による杜撰な個人情報管理が発覚したが、官のサービスというものは洋の東西を問わず低レベルである。 相対する人間を「お客様」と認識するか「管理対象」と見るか、お客様の信頼が組織の生死に関わるか否か、それが民間のサービスと官のサービスとの違いである。
 
医療と老後に関する多様な心配事は、本来は個人と民間の保険会社との間で双方の合意に基づく契約において解決されるべきものである。 公的社会保障という制度はそれら個人的な領域への政府による不当な介入に他ならない。 心配事を取り除くという期待を人々に持たせながらその期待を裏切り、人々が負担する代償に見合うサービスを提供せず、しかも放漫経営の巨額の赤字を強制的な値上げによって賄おうとし、それでも賄えない分を子孫代々にまで負担させようとする。 これを不当と言わずして何と呼べるであろうか。
 
医療保険に政府が介入することによって本当のコスト見えなくなる。 政府が治療費や薬価を決め、出費を補填すると多くの人々が「コストが下がった」と勘違いする。 だが実際は「本当のコストを隠しているだけ」に過ぎない。 結果として、本来は価格の上下よって制御されるべき需要が見せかけの価格によって攪乱されて制御不能となる。 「3割しか」負担がなく、しかもいくら保険を利用しても保険料が上がることが無いとくれば人は些細な体調不良でも医者に行こうとする一方で医者の負担が激増し、悪化する勤務条件の中で医者のなり手が減少するという現象が起きるのも当然である。
 
老後の貯蓄に政府が介入することによって本当のリスクが見えなくなる。 政府が月々の納付金と受給計画を決定することで人々は老後のリスクがなくなったと勘違いする。 だが実際に政府がやっているのは、今現在働いている世代から金を吸い上げ、その金を今現在定年退職している世代に渡すという単純作業を行っているだけである。 民間の保険会社のように、変化する状況を注視しつつ顧客から預かった金をいかに増やし、そして還元するか、そんな知恵も能力もやる気もない。 だから人口が増え続けていた時代は良いが人口が減少に転じると途端に赤字経営に陥るのである。 そして今働いている人間が将来受給される頃には年金受給額が減額されるという事態になるのである。
 
政府は社会保障を「立て直す」ために消費税を増税するそうであるが、その効果には早くも疑問の声が上がっているとか。 放漫経営が祟って倒産の危機に瀕した民間の会社が商品の値上げに踏み切り、その増収によって会社が持ち直した、という話を一度でも聞いたことがあるだろうか。 「今年は3%値上げします。 翌年は更に2%の値上げを予定しています。 御客様におかれましてはこれまで同様の御愛顧を賜りますよう...
 
消費税を10%どころか、20%、30%、50%、80%にしても社会保障が破綻する運命は絶対に免れることは出来ないと断言する。 なぜならば、日本中の全ての財産を強制的に没収しても社会保障の赤字を埋めるに足りないからである。 そして国民から富を奪えば奪うほどに国民は社会保障に依存せざるを得ないからである。
 
我々は公的社会保障という詐欺に対して唯々諾々と自らの財産を差しだそうとしている。 財産を失えば自由も失う。 公的社会保障というものは、人間味の無い詐欺である。 灰色で冷たく、陰湿な詐欺である。 騙す者と騙される者との攻防やせめぎ合いなどというものは存在しない。 騙す側にも騙される側にも顔が無い。 公的社会保障というものは、非人間的であり非人道的であり非道徳的な制度である。
 
コメント
詐欺ならひっかからなければいい。でも、社会保険料は強制的に払わされます。確かに政策レベルでみれば詐欺ですが、一人ひとりの国民からみれば、強盗という面もあると思います。

必要以上の税は合法的強盗、とおっしゃったクーリッジ大統領の言葉が思い出されます。
  • rainbow
  • 2013/10/30 10:17 AM
Rainbow様、コメントありがとうございます。 仰るとおり、詐欺ともいえるし、強盗ともいえます。 問題は、我々国民が民主的な手続きを経て誰も逃れられないこの社会保障というシステムを強化するのに余念がないことです。
  • CBJ
  • 2013/10/30 2:28 PM
まあ、年金に関しては、大学の先生でも
民間保険だけで十分とおっしゃる方がいらっしゃるので
公的にやる必要はないのかもしれません。

医療はどうでしょうかねぇ。人工透析受けてる方の
医療費は年800万円もかかるそうです。C型肝炎の
インターフェロン治療も1回の注射が何十万円もかかるとか。

これらも公的保険がなくなると急激に安くなるんでしょうか?

医者を安くこき使えるのならば、一般市民は大満足なんじゃ
ないでしょうかねぇ。金持ちだけを相手にちょっと診て
優雅に暮らす医者ばかりとなったら、庶民の鬱憤は相当な
ものになりそうですけど。

要は、公的保険は収支均衡するように財政が成り立って
いないのがまずいということではないでしょうか。
  • 侏儒
  • 2014/01/06 5:17 PM
侏儒様、医者を「安くコキつかって鬱憤を晴らせる」と考えるならば、一方で医者の立場に立ってはいかがでしょうか。子供の頃から青春時代、着実に学歴を積み重ね、バカ高い大学を出てバカ高い大学院を出てインターンになって研修医になって、収入も無い間脇目も振らずに研鑽に励み、やっと医者になって、それでコキ使われたらアホくさいですよね。でも、日本の医者は既にコキ使われているのです。だから日本は医師不足なわけです。こちらもどうぞ:

日本医師会 奴隷制度を提唱する政治団体
http://conservative.jugem.jp/?eid=367

医療崩壊への道・回避への道・発展への道
http://conservative.jugem.jp/?eid=351
  • CBJ
  • 2014/01/06 8:49 PM
バカ高い大学を出てバカ高い大学院を出て
というのはまさに国の規制があるからなんですね?
国の規制がなければ、お安く医者になれて
医療費も安く医者不足も解消〜

ビバ規制撤廃!

ちなみに激務な医者は勤務医ですね。
不足しているのは休日・夜間も診てくれる勤務医でしょう。
夜間診療もしない休日も診ない開業医が不足しているという
実感はありません。歯医者さんなんてコンビニより多いし。
  • 侏儒
  • 2014/01/10 11:52 AM
国の規制がなくなれば安価で良質なサービスが受けられるというのがメインのご主張だと思うのですが、医者に限っては
保険制度だけが規制のように書かれているのは???です。
医師国家試験もなくせば、誰でも医者になれて、患者を殺すような程度の低いものは淘汰されて、安価で良質なサービスが
展開されるので保険制度も当然不要というロジックではないおのですか?

高収入で研鑽もせず悠々自適に過ごす医者は
規制がなくなっても現れない気がしますが。

どこでおかしくなってしまったのでしょう?
  • 侏儒
  • 2014/01/17 1:03 PM
侏儒様、こちらを見ていただければはっきりするのではないかと思います。

http://conservative.img.jugem.jp/20130722_746682.png
  • CBJ
  • 2014/01/18 12:50 AM
お久しぶりです。
ご案内のurl拝見しました。

医療保険制度廃止が、医療サービス価格の上昇を招くことは
想像できますがこれを「適正化」と書いてありますね。

一方で、医師免許制度廃止により医学部・薬科大のコスト低減があって、医療コストの低減に繋がるとある。

医療サービス価格と医療コストの違いについて教えてください。

信頼できる医者や薬などを患者側で判断しなければ
ならなくなる社会的コストはどのようにお考えですか?
医療コンサルが現れて一つのビジネスが生まれるのは
結構なことだと思いますが、結局損をするのは患者の方の
ような気がします。

経済学が前提とする合理的に判断する能力を万人が
持っていれば別ですが。

おそらくブログ主さまはお医者様で十分な
知識をお餅なのでしょうけど、私のような侏儒には
知識も能力もない。で、あれば今のぬるま湯に
使っている方が幸せと考えてしまいます。
  • 侏儒
  • 2014/02/05 12:27 PM
侏儒様、スーパーマーケットを想像していただければいいかと思います。偶然道で出くわした得体のしれない個人からモノを買うのは不安でしょう。しかし有名なスーパーや薬局のチェーン店ならば安心です。彼らが良い商品であることを担保しているからです。買った商品に問題があればその店にクレームすればよいわけですから。医療にもスーパーマーケット化が必要です。
  • CBJ
  • 2014/02/05 11:13 PM
大きいお店なら安心と言い切れる世の中でしょうか?

ばれなきゃ何をやってもいいという風潮があるように思えますけど。

だから消費者庁なんてできちゃうんでしょう?

  • 侏儒
  • 2014/02/06 5:17 PM
侏儒様、大きければ安心、というか、安心を与えてきたから大きくなった、と言えます。 詐欺まがいのことをしておれば、いつかは馬脚を現します。
  • CBJ
  • 2014/02/07 12:37 AM
まあ、おっしゃることは理解できるわけですが、
大きいところばかりになるといわゆる寡占状態に
なって競争が行われなくなるんじゃないかと。

某製薬会社さんは競争するより企業合併を
続けています。すると最後は競争原理が
働かなくなってしまい、適正な価格が
形成されなくなってしまうんじゃないでしょうか。

また、医療や薬による被害は命に係わります。
いったん被害が出たときの賠償金が大きいことを
考えるとますます規模の大きいところだけが
生き残ることになる。

あまり健全な経済だとは言えない気もしますが
いかがでしょうか?
  • 侏儒
  • 2014/02/07 5:31 PM
侏儒様、製薬会社が巨大化しているのは政府の承認を得るのに莫大な金がかかるからです。 しかしその巨大な製薬会社を支えているのはバイオベンチャーのような小規模で起業家精神あふれた人々です。
  • CBJ
  • 2014/02/07 10:50 PM
こんにちは。楽しく読ませてもらいました。このブログを今後も参考にさせてもらいます。有難う
萌音様、ありがとうございます。
  • CBJ
  • 2014/02/11 11:16 PM
まあ、なんと申しましょうか、

承認をとるのに莫大なお金がかかるか、いったん事故が起きた時の補償金に莫大なお金がかかるか、いずれの理由にしても
巨大化し寡占が進み、健全な競争は縮小していくって
ことじゃないでしょうか。

命に係わる商売はやっぱり多少の経済不効率に
甘んじる方がいいような気もしますけど。

経済学が前提とする消費者が皆万能で経済不合理的な
行動を一切しないという社会があれば別ですけども。

共産主義もみながマルクス先生の考える理想的な
人間では必ずしもなかったから崩壊してしまったんじゃ
ないかなと思ってるんですが。
  • 侏儒
  • 2014/02/14 12:35 PM
命の安全を政府介入の言い訳にすれば介入の防波堤は無くなります。遊園地、レストラン、屋台、タクシー、大工... 医療でなくても間違えば命に関わる仕事なんぞいくらでもあります。医療は人が命とのかかわりで一番イメージしやすいので計画主義者に利用されているだけです。
  • CBJ
  • 2014/02/14 4:07 PM
生命と財産という言葉には弱いですからねぇ。

で、ほとんどの人がそれでいいと思っているの
だから、世の中変えようがないですよね。

スーパーの役割を国がしているんでしょう?
  • 侏儒
  • 2014/02/17 5:24 PM
侏儒って何ですか。「しゅじゅ」って読むんですか?ネットで調べたらチビとかバカという意味らしいですが、なぜ自分をチビ・バカと呼ぶのですか。
  • CBJ
  • 2014/02/17 11:06 PM
私のコメントはまさに侏儒の言葉そのものでしょう?
  • 侏儒
  • 2014/02/18 5:21 PM
まあ、そう自虐的にならずに、これからもよろしくおねがいします。 いろいろコメントありがとうございました。
  • CBJ
  • 2014/02/19 12:11 AM
斜め読みしかしていないんですが
今週の日経新聞の経済教室の左脇欄に
医療界の経済について書かれているみたいです。

情報の非対称という字があるのだけ
印象に残りました。
  • 侏儒
  • 2014/02/21 1:55 PM
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