「Israeli Solution:中東の平和のための一国プラン」

  • 2014.03.17 Monday
  • 23:27
 

そろそろ歴史の過ちを認めて出直す時である。

 

イスラエルのジャーナリスト、キャロライン・グリックによる新著Israeli Solution:中東の平和のための一国プラン」はその道しるべを示すものである。

 

歴史の過ちとはそれは主としてイギリスと、そしてアメリカによる100年来の過ちである。 それは一つの間違った観念から派生している。 その観念とは、「イスラエルは征服者でアラブ(特に現在パレスチナ人と呼ばれる人々)は被征服者」という勘違いのことである。

 

第一次世界大戦にてオスマントルコ帝国は敗北した。

 

オスマン帝国の領地は広大であった。

Wikipediaより

 

戦勝国であったイギリスは、このオスマン帝国の領地を分割しようと考えた。 当時の流行であった「民族自決」の概念である。 アラブの諸部族はそれぞれが独立の名乗りを上げた。 それらアラブ部族はその後独立を果たしてエジプト、シリア、サウジアラビア、イラクとなった。 その民族自決の一つの流れがユダヤ民族のシオニズムであった。

 

中東全域でアラブの諸部族が領地をあてがわれる一方、ユダヤ人にはパレスチナが与えられた。 

 

パレスチナと書かれた土地(現在のイスラエルとヨルダン)は歴史的にユダヤ民族発祥の地であり、ユダヤ民族が途絶えることなく存在し続けた地域であった。 歴史的にユダヤの地であった。 それが故に、イギリスはパレスチナをユダヤ民族の家として将来の独立に備えて委任統治領としたのであった。 その土地はローマ帝国がやってくる前はユダヤ王国であり、ユダヤ人の、ユダヤ人による、ユダヤ人のための国であった。 ローマ帝国に制圧された後は様々なアラブの勢力に支配されてきた。 最後の支配者はオスマン帝国であったが、第一次世界大戦でオスマン帝国は消滅した。

 

現在の国境 Google Mapより

 

エジプトも、サウジアラビアも、シリアも、レバノンも、イラクも、その時に力を持っていたアラブの族長が、それまではオスマン帝国に支配されていた土地を「あてがわれた」に過ぎない。 現在その場所にそれぞれの国が存在する理由は、イギリスによって土地を配分されたという事実以上のものがあるわけではない。 一方イスラエルには、その土地(英委任統治領・パレスチナ)でユダヤの王国が存在したという歴史的な建国背景があった。

 

アラブが中東の広大な土地を分割して与えられ、ユダヤはユダヤの歴史的な小さな土地を与えられた。 そこでアラブが満足しておれば何の問題もなかった。 しかしアラブ・イスラム世界には歴史的な反ユダヤ感情があった。 歴史的根拠があろうがなかろうが、とにかくユダヤ人が土地を持ち、独立した国家を建設することが絶対に許せなかった。 

 

パレスチナはそれまで誰も見向きもしなかった荒廃した小さな土地であった。 ユダヤ人に対するテロは、そんなパレスチナの地にユダヤ人が国を造ろうとした瞬間から始まったのである。

 

http://www.jewishvirtuallibrary.org/jsource/History/mandatetoc.html より

 

イギリスは本来であればユダヤ人の土地としての委任統治領・パレスチナ全域を維持するべきであった。 しかしイギリスは、現在のアメリカのようにアラブ・イスラム世界の圧力の前に屈し、この狭いパレスチナを更に二つに分けたりと(東側が現在のヨルダンとなった)、宥和政策に徹した。 イギリスはアラブ側がユダヤ人に対するテロを仕掛けるのを横目に見ながらヨーロッパでホロコーストに苦しむユダヤ人がパレスチナに活路を見出すのを妨害した。

 

1947年のイスラエル独立戦争。 イスラエル建国時の戦争においてヨルダンが攻め込んだ土地に住んでいたユダヤ人は全て追放されると共に何百人ものユダヤ人が虐殺された。 多くの周辺アラブ諸国に居住していたユダヤ人も同じ運命をたどった。 アラブ諸国のユダヤ人社会は衰退の一途を辿り、現在は絶滅の危機に瀕している(多くの国で既に絶滅している)。

 

戦争の結果として多くのユダヤ人が土地を追われた。 また多くのアラブ人も土地を追われた。 土地を追われたユダヤ人はイスラエル領土に移り住んだ。 土地を追われたアラブ人はその多くがヨルダン領へ行った。 ヨルダン領に入った彼らはヨルダン国の市民権を得たか。 答えは否である。 彼らは市民権を与えられず、代わりに「パレスチナ難民」という称号を与えられた。 そして彼らは現在に至るまで、パレスチナ難民であり続けている。

 

「パレスチナ難民」と呼ばれる人々は帰還権なる権利を主張している。 イスラエルによって「追い出された」我々は自分の家に帰る権利がある、という主張である。 では、逆に土地を追われたユダヤ人には自分の古い家に帰る権利があるのか。 現在ヨルダンで市民権を持つユダヤ人はゼロである。 サウジ・アラビアではユダヤ人として入国することすら禁止されている。 パレスチナ自治政府は明白に述べている。 「将来のパレスチナ国家にユダヤ人が存在することは許されない」と。

 

なぜイスラエルとパレスチナ人(と呼ばれる人工的につくられた人々)との間に和平が達成されないのか。 それは「ユダヤ人に対する憎しみ」がパレスチナ人が持つ唯一のアイデンティティだからである。 貴方の隣人がその存在の全てをかけて貴方を憎み、そして貴方を抹殺することを人生の最大の目的とするとき、貴方はその隣人との間に温和な関係を築くことが出来るだろうかという話である。 「いや、貴方がその気になりさえすれば、貴方が善意を見せさえすれば、貴方が譲歩して土地を分け与えさえすれば、そうすれば平和な共存は可能ははずなのだ」と言い続けてきたのがこの60数年である。

 

歴代のアメリカの政権は、共和党も民主党とに関わらず、冒頭に述べた観念に基づく中東外交政策を展開してきた。 かのレーガンですら、その例外ではなかった。 親イスラエルと思われていたジョージ・W・ブッシュの中東政策は完全にこの観念から派生したものであった。 アリエル・シャロン首相がガザ撤退を実行した背景にはアメリカの圧力があった。 ガザはその後テロリストの温床となり、イスラエル南部の街をミサイルで脅かしている。 ネタニヤフ首相が「二国共存案」を受け入れたのもアメリカの圧力によるものであった。 同首相がテロリスト集団を送り込んできたトルコに謝罪をしたのも、やはりアメリカの圧力によるものであった。

 

アメリカは中東唯一の文明国にして最良の同盟国であるイスラエルを罰し続けた。 その結果が弱きイスラエルであり、弱きイスラエルの存在が生み出すのがテロとテロの犠牲者の増加、そして不安定化する中東である。 前国防長官、ドナルド・ラムズフェルドの言葉「弱さは敵の攻撃心を掻き立てる」はまさに真実だったのである。

 

シリア、エジプト、レバノン、イラク、イラン、アフガニスタン中東は炎上している。 圧政、暴政、拷問、殺戮、テロ、核開発。 中東は阿鼻叫喚の中にある。 中東は暴風雨の中にある。

 

それらのど真ん中に位置するイスラエルは世界で最も幸福度の高い国の一つである。 堅調な経済に支えられた自由で平和で安定した人々の生活。 たゆみの無い技術革新。 世界中から集まる投資。 眠らぬ国際大都市、テルアビブ。 様々な信仰を持つ人々が集う古代都市、エルサレム。

 

しかし、国務長官、ジョン・ケリーは言う。 現在、この世界の最も火急な課題は「パレスチナ国家建設である」と。 「イスラエルは和平達成にそろそろ本気にならなければならない」と。 「もう残された時間は限られている」と。 ジョン・ケリーが史上最も愚かな国務長官と言われる所以である。

 

本書の著者、キャロライン・グリックは提案する。 イスラエルは、そしてアメリカは、二国共存案を破棄すべきであると。 そしてその代わりに一国解決案(イスラエルによるジュデア・サマリアへの主権適用=パレスチナ側から見るとウェストバンクの接収)を追求するべきであると。 一国解決案の実施によってイスラエルの防衛は強化される。 強いイスラエルはイスラエルに平和を、中東に安定をもたらす。

 

死と破壊と悲しみと憎しみを永遠に繰り返し続けるまやかしの観念を捨て、真実の道を進むべき時がやってきたのである。

 

 

追記:

著者はエルサレムポストの主任エディターであり、ワシントンに拠点を置く防衛関連のシンクタンク、Center for Security Policyの研究員である。 2010年にガザを包囲するイスラエル海軍を襲撃したテロ船団を茶化したビデオを作成していた。 これは傑作である。 4:03に右から二番目でナイフを振りかざしているのが著者のキャロライン・グリック女史である。

 

 

コメント
パレスチナはペリシテ人を示していてイスラエルと昔から敵対関係にある民族でしょ。エルサレムに第3神殿を建設予定なので和平はありえなく、世界戦争の火種と化すでしょ。エルサレムは美しいみたいなので行ってみたいけど。
  • ミカエル
  • 2014/05/05 8:49 PM
ミカエル様、「パレスチナ人」というのは歴史的に「存在しない」人々です。イスラエルを滅亡させることを唯一の目的として捏造された人々であると言えます。まさに平和などあり得ようはずがありません。
  • CBJ
  • 2014/05/06 1:15 AM
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