ドイツ・最低賃金を導入 世界から減少する賢さ
- 2014.07.20 Sunday
- 23:46
Breitbart Newsによれば;
ドイツの労働市場は他のEU諸国と比べてかなり柔軟であった。 ゲルハルト・シュレーダー前首相が2003年から推進したアゲンダ2010という政策により、企業が従業員を解雇するのが容易になり、それによって企業が従業員を新たに雇用するリスクを軽減した。 失業手当を1年に限定し、55歳以上の人々に関しては18か月とした。 それによって人々は「あれこれ選ばずにとにかく働く動機」を与えられた。
2004年〜2005年は不景気と高い失業率にドイツは苦しんだが、2007年までには経済成長は1.5%まで回復し、失業率は11.6%から8.5%へ減少。 リーマンショックでアメリカでは失業率が2007年の4.6%から2011年の9.0%まで上昇する一方で、ドイツでは7.1%へ減少。 その後も失業は減り続け、現在は5.1%。 特に、若年(15歳から24歳)の失業率は隣国フランスが23.1%もあるのに対し、ドイツでは7.9%。
また、2003年にアゲンダ2010が可決されたことで国際市場における競争力が増し、2003年から現在までに輸出額は5千億ドルから1兆3千億ドルへと増加した。 その間フランスの輸出の伸びは25%で4千500億ドルにとどまる。
最低賃金不在に代表される規制の少なさが労働市場に柔軟性を与え、それによって国内外の景気変動の波をうまく吸収してきた、というわけである。 生きていくためには働かなければならないという現実に直面した人々は、働く意欲とともに人間としての誇りを維持した。 社会保障をカットする、という政策を断行したのが、一般通念では左派ということになる社会民主党のシュレーダー首相であったというのが面白いところである。
日本では、なにかといえばドイツから学べという声がある。 何を学ぶかと言えばエコだの脱原発だの休暇の長さといった「?」な内容ばかりが取りざたされる。
しかし、今改めて考えると、実は最近まで日本が学ぶべきところはあったのである。 労働と、労働の価格である賃金を市場メカニズムに委ねることが、実は働く人々へ労働の喜びと収入の安定を与えることにつながるという事実である。
日本における過労自殺… 「そんなに大変なら死ぬまでややることはない。 辛かったら、辞めてもっと楽な仕事を探せばよい」 しかし、現実にはある年齢になれば会社を辞めたらなかなか仕事が見つからない。 正社員になるのが難しい。 だから、死ぬまでガンバってしまうのである。 よく「ブラック企業」などと言われるが、ブラックな企業というものはない。 企業というものは、与えられた条件の中でコストを最小化しつつ利益を最大化するように努力するものである。 企業がブラックなのではなく、労働市場が柔軟性と流動性の無い社会そのものがブラックなのである。
今、ドイツでは原発が停止され、最低賃金が導入され、愚かさの道を進んでいる。 世界から知恵が減少している。 と、思いきや、オーストラリアでは昨年9月に就任したトニー・アボット首相がつい先日、公約を果たす形で炭素税を撤廃した。 地球温暖化だか気象変動だか、呼び方は何でもよいが、地球の温度に何の影響もない二酸化炭素排出を規制してきたことを明確に間違いであるとし、正常なる方向へ歩みだした、歴史的な決定である。 愚かさもあれば賢さもある。
願わくば、我が国は賢さを選択したいものである。
P.S. 先日安倍首相が訪問した先のオーストラリアにて、アボット首相は「我々は彼らと意見を異にしたものの」と前置きしたうえで、「我々は第二次世界大戦における日本軍の示したスキルと栄誉を賞賛する」と述べた。 アメリカ保守系ニュースサイトでは非難囂々である。 コメント欄にて私は”CBJapan”の名で孤軍奮闘し、全ての反対意見に対して真っ向から日本の大東亜戦争の正当性を主張し、アボット首相の発言を擁護した。 これについては改めて記事を投稿したい。