ふるさと納税… 地域再生をもたらすのは何か

  • 2014.11.10 Monday
  • 23:29
 

ふるさと納税という総務省の管轄する税制、というか、寄付制度がある。 個人が2,000円を超える寄附を行ったときに、住民税のおよそ1割程度が所得税と住民税から控除される制度らしい。

 

この制度は地域再生を目的に第一次安倍内閣によって導入された。 簡単に言うと、都市部に住む人々を特産品と税控除で釣ることで地方が収入を増やし、それで地方を活性化させようとする“狙い“である。 

 

http://www.furusato-tax.jp/about.html より

  • 特産品がもらえる! 知っていますか?「ふるさと納税」をすると特産品や工芸品等、各地域のお礼の品がもらえるんです。
  • 生まれ故郷でなくてOK! ふるさと納税の寄附をする先は、生まれ故郷でなくていいんです。
  • 税金が控除される! 例えば4万円納税しても、3万8千円の税金控除されることも!
  • 使い道を指定できる! 税金の使い道はあなたが決める。日本で唯一の税金の使い道指定ができる制度です。
  • 複数の自治体から選べる! 複数の自治体「ふるさと」に寄附を通じて支援できます。

 

茨城から東京に出てきた人が北海道にふるさと納税することができる。 茨城には大した特産品がないが、北海道には海産物があると。 するとこの人は自分の故郷である茨城には納税せずに北海道に納税し、その見返りに北海道から海産物をもらって東京の住民税が控除されるわけである。

 

政策立案者というのは、よくメディアでは「有識者で構成される」と報道されるが、揃いも揃ってバカなのではないであろうか。

 

まず税金とは何なのかが分かっていない。 税金というのは特産物の見返りに払うものではない。 税金とは、自分が住む社会を維持し、公共サービスを得るための対価である。 公共サービスとは読んで字のごとく公共のものであり、全ての人々にとって無くてはならないものである。 国家レベルで言えば司法であり、警察であり、軍隊であり、地域レベルでは、それぞれの地域なりに必要なサービスがあろう。 

 

伊勢海老やら毛ガニやら、リンゴやらみかんやら、すき焼き用特選飛騨牛やらしゃぶしゃぶ用近江牛が公共サービスか? これらは公共サービスではない。 これらは嗜好品である。 嗜好品とは読んで字のごとく、嗜好性のある商品であり、お金をかけても買いたいという人もいれば、そんなモノにはびた一文使いたくないという人もいる。 買いたい人は買えばよいし、買いたくない人は買わなければよい。 そういうものである。 それを、「ふるさと納税」などと銘打って国家プロジェクト化するなど、愚の骨頂である。

 

東京に住む者が北海道に納税し、東京の住民税が控除される。 これは形を変えたばら撒きであり、富の移動である。 東京の市民サービスに貢献して東京の税金が控除されるのは分かる。 だが東京の住民が北海道に金を送って、その見返りに東京の税金が控除されるのではまるで理屈に合わない。 都市部への人口流入が増加していることを考えれば、都市部から地方に向かって金が流れる仕組みであるのは明白である。

 

ところで、納税よりも支出が多くなってしまう自治体が多いという。 当たり前である。 自治体職員が受注して発注して納品手配し... 公務員が民間業者の真似事をやって低コストでオペレーション出来るわけがない。 嗜好品とはいえ、普通に考えればとるに足らない商品で万単位の納税を釣り、自治体の職員が発注納品作業をせっせとやり、納税者の自治体がその見返りに住民税控除をやり、そのためにまた職員がセッセと働きそれで地方が蘇ると考えるとは。 この仕組みで収支が合い、税収が増え、地域振興が実現する、と信じる政府の素晴らしきビジネスセンスには脱帽である。

 

地域を再生させるのは「ふるさと納税」のようなオママゴトではないし、金のバラマキでもない。 強い私有財産保護が人々と企業の流入を促し、彼らが作り出す経済が更に投資を呼び、それがいつしか強い経済となって繁栄をもたらすのである。 強い私有財産保護とは、簡単に言えば安い税金であり、少ない規制である。 特産物があろうがなかろうが関係無い。 一見なんの取り柄も無さそうなド田舎であろうが、土地が安くて労働力が安くて税金も安ければ、企業家はそこにチャンスを見出す。 それを見た他の地方都市が更に魅力ある条件を実現する。 その競争こそが、地域の再生をもたらすのである。

 

 

追記:しかし、「ふるさと納税」が国家プロジェクトとは、情けなさが身に沁みるというものである。 世界第二位の防衛力を実現し、憎きロシアから北方領土を奪い返し、おまけに北樺太も分捕る、くらいの骨太なプロジェクトを推進したいものである。

コメント
税金はサービスの対価と言っても、たくさん納めてもサービスが増えないのも税金の特徴です。また、保育所をはじめ、特定のライフスタイルを選択した人しか使わないものにも莫大な税が使われています。保育所だって共稼ぎというライフスタイルを選んだ結果必要になるもので、嗜好品と同じです。

もともと地元の自治体に納めてもそういう不公平な使い方をされるのだから、いわば制裁として他の自治体に払うことができるのは良いところですね。

減税がベストですが、それは日本では困難なので、せめてたくさん納めた分、少しでも取り戻せるこの仕組みは貴重です。
  • rainbow
  • 2014/11/11 1:45 AM
Rainbow様、いみじくも仰ったように、一種の「得した感」みたいな、ガス抜きとなっている気がいたします。まさにそれが釣られた姿であろうと思います。

仰るとおり、保育所は選択の結果です。最も良いのはStay at Home Mom(最近の日本語だと専業主婦というなんか味気ない表現ですが)がずっと子供を見てあげることですので、決して良い選択でもありません。それを政府が面倒を見ようというのは間違っています。

減税しなければ、ガス抜きで誤魔化しても意味がありません。
  • CBJ
  • 2014/11/11 10:22 PM
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