内部留保への課税 - 国税庁大活躍社会へ
- 2015.11.29 Sunday
- 00:55
政府はカネの無心に余念が無い。
菅義偉官房長官は20日、閣議後の会見で、企業の内部留保への課税について「そこまでの対応を行う必要があるか、対応を行わないと経済界のマインドが変わらないか、そうした政策的な議論を深めていただくことがまず先決だ」と述べた。 【東京 20日 ロイター】
この内閣には経済を知る人間がいない。経済を知らないから「企業の内部留保への課税を検討」などということが言えるのであろう。「経済界のマインド」とは笑止千万である。そんな言葉を振りかざす前に経済のド基礎を学ぶべしである。
企業とは人の集団である。企業の内部留保とは企業を構成する人々の集団的財産である。必要な時、困った時、何かの時に使えるようにとってある金である。政府はそれを収奪してよいものと考えている。
「カネがあるところから取れ」「取りたいときに取れ」「出さないなら出させろ」
これを盗人精神という。
「そこまですべきかどうかを検討する」などと暴力団組織さながらに公言するだけで”経済界のマインド”はどうなるか。
企業からしてみれば、
「いつでも出せるように用意しとけやコラ」
と言われているようなものであるが、安倍政権には言われる側の気持ちを想像するだけの”マインド”も無いのであろう。
笑止千万といえば「携帯電話料金引き下げ」しかりである。政府が携帯電話の料金を高いか安いかを判断して値下げを強制するなどまさに共産主義の世界である。
”経済界のマインド”をヒヤヒヤさせる政策を連発する一方で富を収奪することにかけては共産党も顔負けである。政府は所得隠しに対する罰則も強化している。
政府・与党は26日、所得隠しなどの不正行為を意図的に繰り返す悪質な納税者・企業を対象に、本来の所得税や法人税などの税額に上乗せして課す「加算税」を10%引き上げる方針を固めた。【時事通信 11月27日】
税金というものは全く取らなければ税収無しだが、ある程度を超えて税率を上げると逆に税収は減る。そして取ろうとすればするほどに富の創出を減少させる。更に取ろうとすれば企業や資産家は国外に流出する。
政府は税金逃れをしようとする者を「悪質」と呼んでいるが、最も悪質なのは政府自身である。過去の自民党、そして民主党政権から引き継いだ持続不可能な大きな政府政策をそのまま維持し、更に拡大しているのが現政権である。
大きな政府政策によって膨らむ財政赤字という時限爆弾。この時限爆弾を維持するための財源確保のためにありとあらゆる手を講じようとしているわけである。
安倍政権は「一億総活躍社会」のスローガンを掲げている。しかし実際に推進しているのは「政府大活躍社会」であり、「国税庁大活躍社会」である。