「同一労働同一賃金」 安倍政権の左傾化が止まらない

  • 2016.02.07 Sunday
  • 11:40
 

<衆院予算委>同一労働同一賃金…首相、働き方改革の柱に
安倍晋三首相は5日の衆院予算委員会で、安倍政権が掲げる「同一労働同一賃金」について「(正規と非正規の格差解消を目指す)均等待遇を含めて踏み込んで検討する」と述べ、実現に意欲を示した。首相は「今春取りまとめる『ニッポン1億総活躍プラン』で実現の方向性を示したい」とし、働き方改革の柱に位置付ける考えを強調。「必要であれば法律を作っていくことは当然だ」とも述べ、必要な法整備など実効性ある制度を目指すことを強調した。 毎日新聞 2月5日(金)


安倍政権の左傾化に歯止めがかからない。

ある程度の仕事をした経験のある人間ならば「同一労働」などというものがこの世に存在しないことは分かるはずである。

ある一つの業務においても、
  • ある人は大雑把だが期限よりだいぶ早く仕上げ、
  • ある人は精度はまあまあだが期限内に仕上げ、
  • ある人は精度は高いが期限を守らず、
  • ある人は精度も高く仕上げも早く、
  • ある人は精度も低いが期限も度外視、
と百人十色である。

一見単純な労働においても、
  • ある人は機転が利いて作業がテキパキと速く、
  • ある人は愚鈍で作業も遅く、
と様々である。

一見同じような仕事をしているように見えて、
  • ある人はいろいろと考えて改善方法を提案し、
  • ある人は何も考えずに指示に従うだけ、
  • ある人は挨拶が良く愛想も良く、
  • ある人は挨拶も無くムッツリと、
と性格も色々である。

その時点では同じ仕事をしていても、
  • ある人は長年根気よくそこで働き、
  • ある人は転職を繰り返してきて今そこにいる
と人生色々である。

仕事の精度が高く、作業が速く、気が利き、積極性があり、愛想が良く、根気強い人間と、

仕事の精度が低く、作業が遅く、気が利かず、消極的で、愛想が悪く、続かない人間と、

たとえ「同じ業務内容」であっても雇う側から見たときの価値は違うものである。

実際には人間というものはこれほど両極端ではなく、これらの要素が複雑に絡み合っているものである。人間の性格は複雑である。その時々の気分もあれば一緒に働く人間との相性もある。一人一人の人間を正当に評価できるのはその人間を間近に見ている者だけである。いや、間近の人間ですら必ずしも正当な評価ができるとは限らない。ましてや政府が評価できるはずがない。

一つの業務を5人の人間にインプットすれば5通りのアウトプットがあるのである。一つの業務について一つの業務指示を違う人間に与えれば、その人々の性格、思考方法、得意不得意、人生経験によって違う結果が出てくるのである。

仮に「同一業務」で賃金を一律化するならば、「人の個性」というものを完全に無視してロボットのように扱うことになる。相手がロボットや機械ならば「同一労働・同一賃金」は可能である。ロボットや機械の規格を統一し、動作や精度を制御して管理すればよいだけだからである。

だが人間の規格を統一することはできない。

もし「同一労働・同一賃金」が法制化されれば、「同一業務で働く人々が生み出す不同な価値に対して同一の賃金を払え」ということになる。

富士通、NEC、東芝、日立、IBM、DELL、レノボのパソコンを、大体形とサイズが同じならば同じ値段で売りなさい(買いなさい)、などと言えば「何をバカなことを」と思うであろうが、実質的に同じことである。政府がやろうとしているのは、そういうことである。

安倍政権は「正規と非正規の格差解消を目指す」などと言っているが、実際にこのような法律が施行されればどうなるか。今まで「非正規の業務だから」と派遣されてきた人を無条件に受け入れてきたのが、「非正規でも正社員と同一賃金を払わないといけないから」とより審査が厳しくなるわけである。

雇用側はいわゆる「同一賃金」に見合った結果の出る人かどうかを見極めるために今までよりもエネルギーを費やさなければならず、被雇用者は非正規であるにも関わらずより厳しく査定されることになる。

雇用側にとっては業務負担増加(コスト増加)であり、被雇用者にとっては労働の機会の減少である。

企業に負担を強いれば必ずツケは労働者に回ってくる。なぜならば、企業といものは結局は労働者の集団に他ならないからである。

労働者の雇用機会拡大を願うならば、企業への負担を軽減し労働市場を流動化・活性化させることである。労働市場を活性化させるためには労働規制を撤廃することである。

企業が雇いたい時に、雇いたい人を、雇いたい賃金で雇えるようにし、労働者が働きたい時に、働きたい会社で、働きたい賃金で働けるようにすることで賃金、労働時間、労働負荷等の勤務条件は労使双方の思惑によって決定されるようになる。

企業が解雇したい時に、解雇したい人を、解雇したい条件で解雇できるようにすれば、職場に「空き」が出やすくなる。そして人を雇用するリスクとコストが下がり、企業側として人を雇いやすくなる。

「空き」が増えて企業が人を雇いやすくなるならば、労働者としては仕事を得やすくなる。

合わない仕事、合わない上司、合わない同僚、合わない通勤形態に縛られながら心身を病みながら仕事を続けるのではなく、合う仕事、合う上司、合う同僚、合う通勤形態を求めて仕事を見つけていくことが可能となる。過労死するまで一つの会社にしがみつく必要はなくなる一方、ある程度の根気強さはそれ自体が付加価値となる。

安倍政権の「同一労働・同一賃金」はその逆である。安倍政権のやっていることは、結局は底辺の労働者に課せられるハードルを上げ、彼らの生活を苦しくするだけである。それを「一億総活躍」の旗印のもと推進しているのであるから呆れるばかりである。

なぜこのような愚かな政策が出てくるのかといえば、それは安倍政権には上から下まで経済を知る人間がいないからである(民主党や共産党は問題外である)。

あるいは上から下まで社会主義思想に毒されているからである。

誠に社会主義は不幸の哲学である。
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