ゴーン氏逃亡により「非ビジネス」認定される日本

  • 2020.01.05 Sunday
  • 11:30

カルロス・ゴーン氏の逃亡劇が世間を騒がせた。

保釈中に逃げるとは姑息だ。
無罪ならば法廷で証明しろ。
日本の司法への挑戦だ。
日本の主権への挑戦だ。
保釈を認めた東京地裁の責任だ。
保釈を認めさせた弁護士の責任だ。
逃亡を許した日本の刑事司法は世界に恥を晒した。
逃亡に協力したレバノンに制裁を。

という声がさかんに聞かれたが、どれも的外れである。

この逃亡は正当である。殺人や強盗の現行犯逮捕じゃあるまいし、当事者による起訴・裁判を経ずにいきなり逮捕勾留というやり方が正当なわけがない。正当でない権力行使に対してこれ以上適切な対応方法は無い。

ゴーン氏の逮捕以来、ゴーン氏が会社のカネを横領、着服し、私腹を肥やし、会社を私利私欲のために利用する一方でコストカットの名のもとに下請け会社を切り捨てて社員を路頭に迷わした、とするうさん臭い本がにわかに注目を集め、そのような情報を受け売りして「ザマァ見ろ」と言わんばかりの人間があちこちに見られた。

幹部も社員も、会社を辞めるのは自由である。もしも、ゴーン氏についての悪評が事実であり、それに対して周囲の人間が納得していないのであれば、「こんなバカ社長のもとで働くのは嫌だ」と辞めたらよいのだ。

巨大な組織を率いる人間は強烈なクセがある。目標が達成できなかった理由を延々と聞いてくれたり、一緒に呑みにいって愚痴を聞いてくれたり、泣き言をいう人間を「まあまあ」と慰めたりするタイプの人間ではないであろう。

人望を失ったリーダーは人材を失う。人材を失ったリーダーにできることはない。人材は競合他社へ流れる。競合他社は市場を拡大し、その会社は市場を失う。求心力を失った組織はそうやって自然と淘汰されるのである。

次に、ゴーン氏が会社規定に違反し、会社に金銭的損害をもたらしたならば社内規定に則って処分すればよい。日産はゴーン一家の家族経営ではなく上場株式会社である。経営陣は株主への説明責任もある。会社規定違反を見逃し、株主への説明も怠っていたのであれば経営陣の責任でもある。

それで埒があかないのであれば被害を被った関係者がゴーン氏に対して訴訟を起こせばよい。

それらの行動は一切なく、検察がいきなり検挙、逮捕、拘留である。

なぜ検察がこのような行動に出たかというと、それは有罪か無罪かを検証するためではなく、有罪にする事は決定されたから、に他ならない。

法律と規制が網の目のように張り巡らされた環境において、「コイツをパクろう」と狙ったら何かしらの有罪事項を見つける事ができる。

2018年11月19日 金融商品取引法違反容疑 逮捕
2018年12月10日 2度目・金融商品取引法違反容疑 再逮捕
2018年12月21日 特別背任容疑 再逮捕
2019年4月4日 2度目・特別背任容疑 再逮捕

検察はゴーン氏の逮捕、保釈、再逮捕、保釈を4度も繰り返した。

拘留しなければならないほどの危険な犯罪者ならば証拠を集めて逮捕し、有罪確定して刑務所にぶち込んで終わりである。

「被害を受けた」はずの関係者からの訴訟もなく、決定的な証拠もない中、ターゲットにした人間を逮捕・拘留して財産、時間、名声、家族を奪う行為は無法以外の何ものでもない。

無法な法は無効である。法律は神ではない。聖典でも教典でもない。人を捕まえてから罪を見つけるという手法はかつてのソビエト連邦と共産圏、現在のロシア、中国、北朝鮮、キューバといった国々で反動分子を処分する目的で使われてきた。

法治国家を自認する国においてあるまじき行為である。

「ナチスドイツの国民ならば、ユダヤ人をガス室に送るための法律に従うのが正義なのです」という考え方はナチスドイツの時代以前から存在していた。

法あるいは法の執行者自体が無法であれば、それらに従うこと自体が悪徳行為なのである。

日本が恥を晒したのは「ゴーン氏を逃がしたこと」ではない。

一介のビジネスマンに対しては強い態度を取るが、中国、ロシア、北朝鮮といった、日本に対して侵略行為を現在進行形で行っている極悪国家に対しては愛想をふりまいて尻尾を振り、イランのようなテロ国家に対して「橋渡しをする」などという妄言をはいて近寄るといった愚かな国家であること、そして「ビジネスマンが逃げ込んで来る国」でなく、「ビジネスマンが逃げ出す国」であることを世界に知らしめた、それが恥なのである。

「日本では高品質と良いサービスでお客さんを喜ばせて大儲けするとある日突然ぶっ叩かれる」という事実がゴーン氏レベルのグローバル・ビジネスパーソンに認識されたはずであり、彼らは今後は日本での活動を避けるはずである。あるいはその認識を前提とした行動にでるはずである。

ビジネスマンから「ヤバイ国」認定されることによる影響を受けるのは、ゴーン氏を追い落とした現日産幹部でもなければ検察でもなく、日々の暮らしをつつましく生きる我々庶民である。だがその影響が出るころにはゴーン氏逮捕、保釈、逃亡の一件は既に過去の歴史の一幕として記憶から消えているはずである。


Is Carlos Ghosn an international fugitive or political prisoner?


コメント
そうするとあなた様は 無政府主義者ということでしょうか。それとも市場原理主義者ですか? リバタリアンという方々は究極 無政府主義の方もおられると聞いたことがありますが。。
  • ふくやま
  • 2020/01/05 10:02 PM
ふくやまさんよ。内容に対して反論があるなら簡潔に述べよ。
  • CBJ
  • 2020/01/07 10:38 PM
ふくやまさん、関係のないところにコメント書いちゃだめだよ。書き直さないと削除するよ。
  • CBJ
  • 2020/01/11 10:55 PM
ゴメンナサイ。失礼いたしました。
  • ふくやま
  • 2020/01/17 9:07 PM
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