2011年総括 日本の行方
- 2011.12.31 Saturday
- 12:01
2011年が終わろうとしている。 今年3月に発生した東日本大震災は世界を震撼させた。 しかしそれ以上に「原発事故」は日本社会を揺るがせた。 それは今も尾を引いている。 そしてこの事実は日本社会にはびこる病巣をあからさまにすることになった。
巨大な津波が沿岸地域をのみこみ何千何万という家屋、工場、建築物が波に押しつぶされ、流された。 福島原発も被災した数多くの建造物の一つであった。 ほとんどの建造物がいとも簡単に跡形もなく破壊された中において原発はその姿を留めた。
原発は微量の放射能漏れは起こしたものの本体の核となる部分は微動だにせず、驚異的な堅牢さを証明した。 あれから9か月がたつが、放射能で死んだ人間も健康被害を受けた人間も、誰一人としていない。 1周年にあたる来年3月にも同じような言葉を繰り返すことになると思うが、結局明らかになったのは原発がいかに安全であるか、という事につきる。
しかしこの間メディアは千載一遇のチャンスを得たとばかりに放射能の「危険性」を煽りたてた。 放射能が検出されたことで農作物が売れなくなり農家が打撃を受けると農家に対しては同情するふりをしながら東電を悪魔に仕立ててバッシングし続けた。 何週間も何か月も「危機」を再生産しリサイクルし続けた。 多くの国民がそのキャンペーンに乗って騒ぎに騒いだ。 東電はこれもあれも補償せよと。 反核左翼プロパガンダの恒久的な仕上げだ、とばかりに学校の教科書にも「原発の危険性」が書かれることになった。
結果、東電は経営破綻し事実上国営化された。 多額の税金が注入され、電力料金も上げざるを得ない状況。 他の原発も次々と運転を停止し慢性的な電力不足をもたらしている。 原発から火力発電への切り替えが進み、より高価な石油燃料を使わざるを得ず、当然電力料金は上がる。
国民は節電節電で不便な生活を強いられ、それに反発するどころか唯々諾々と受け入れている。 それどころか「節電を始めたことで今までどれだけ無駄な電気を使ってきたか分かった」などと愚にもつかない言い訳を吐く。
企業は電力不足と電力料金の値上げにより国内での生産がますます困難になる。 既に空洞化している国内産業の海外移転が今ますます加速している。 それによって国民が働く場はどんどん失われている。
理論でモノを考え、現実を見て分析し、常識で判断することが出来なくなった国民の、社会主義によって骨抜きになった国民の、保守主義を失った国民の、なれの果てが今の日本である。 日本は唯一無比な歴史と文化を持つ国である。 しかしその国が進む道に明るい兆しは見えない。