国家と人々を蝕む教育なる癌、そしてその治療方法

  • 2013.02.23 Saturday
  • 14:06

"Our public school system is our country's most inefficient monopoly, yet it keeps demanding more and more money." - Phyllis Schlafly

 

“Education spending will be most effective if it relies on parental choice & private initiative -- the building blocks of success throughout our society.”

― Milton Friedman

 

 

医療と福祉は国家財政不健全の象徴であるが、教育もそれらと並ぶ癌である。 社会主義化した日本において、教育・医療・福祉といえば国家の最重要任務だとされている。 誰もがより高い教育こそより良い生活の保障であると考えている。 財政の癌を生きながらえさせているのは「教育は投資だ」と考える、マインドコントロールされた我々自身である。

 

人々は高い学費を払ってせっせと学校に通い、そして卒業する。 就職し、大学を出たばかりの新入社員がまず通過するのは挨拶研修である。 会社に来たら「おはようございます」、電話が鳴ったら「はい、○○株式会社でございます」、「対外的に社内の人間はサンづけしない」、「名刺を交換するときは...」、帰るときには「お先に失礼します」。 「あなた方は大学で経済を、経営学を、マーケティングを学んでこられました。 早速その知識を使って我が社の未来を決する新商品開発に携わっていただきたいのです」「あなたは文学を学ばれました。 早速その技能を使ってお客様の心に響くキャッチコピーを作成してほしのです」とは決して言われないものである。

 

新入社員がまずやらされるのが書類のコピー程度の仕事である。 これをコピーしてくれ、と言われてコピー機の前に行ったはよいがどう操作すればよいのかよく分からない。 適当にやって渡すと怒られる。 「両面でっていったでしょうが」「○部って言ったよね」「なんで真ん中でホチキス留めるんだよ、縦なんだから左端だろうが普通は」 自分はかのケネディ大統領が”無知を憎み、真理を愛する人たちの集まる、地球上で最も美しい場所”と呼んだはずの大学へ四年間通った。 そして今、”目先の金のことだけを追求する浅はかで精神性の皆無な”企業という場にいて「コピーの仕方がなっとらん」などと言われてコケにされている。 何なのだこれは...

 

大学を出て就職した人が身に染みて理解するのは、大学で学んだ知識など社会では何の価値もないということである。 コピーを取るのに必要なのはコピー機についているスイッチとモニターの機能を知ることであるって経済学の学位をとることではない。 適切な挨拶をするに必要なのは挨拶をする場を経験することであって経営学を学ぶことではない。 名刺の交換の仕方を知るに必要なのは商談の機会であってマーケティングを学ぶことではない。 これらの技能を習得するのに必要なのは「高価な学位」ではなくて常識と基本的な日本語力以上のものではない。 これら初歩的な技能を足掛かりとして人々はそれぞれの企業で必要とされるスキルを身に着けて階段を上がっていく。 そしてその間に高い金を払って学校で学んだことはきれいさっぱり忘れていく。

 

まあ分かっている、世の中はそんなものなのだ と多くの人はシニカルに構え、返すあてのない借金までしてまで大学へ、そして大学院へと進む。 借金とは奨学金のことである。 奨学生は学校を出たらすぐに返済を始めなければならない。 月に一万円程度だが、新米社員の給料には響く。 四十過ぎまで延々と払い続けなければならない。 奨学金の滞納が問題になっている。 日本学生支援機構(旧育英会)の2010年度末時点で123万人以上にも上り、総額1118億円を貸し出し3カ月以上の滞納額は約2660億円に上るという。 財源は税金である。 返せない・返さない理由は低所得だという。 大学や大学院に行くためにした借金を返せないほどに低所得であるというならば、その借金はいったい何のためだったのか。 そしてその借金を長い年月をかけて返す苦労は何のためなのか。 そしてその借金を国民として肩代わりする意味は何なのか。

 

実社会では大学院はもとより、高校、大学で教えられた知識をせっせと使って仕事をしているなどという人間はほぼ皆無である。 誰でもよく考えてみると分かるが、大多数の仕事に必要な知識は中学までに教わることで網羅されているのである。 そしてそれ以上の知識・技能が必要になる場合はコンピューターで処理出来てしまうのである。 私は自慢ではないが高校数学の微分積分の授業は眠って過ごし、試験では完全なる赤点だった。 だがエクセルを使って数値を駆使した業務をするに何の支障もない。 複雑な計算も、これはどうやるんだ?と思えばネットで関数を調べて打ち込めばそれでおしまいである。 

 

大学・大学院に何年も通い、何百万も使い、その後社会に出てから何の役にも立たない知識を詰め込むくらいであれば、むしろ中学卒業したらさっさと就職して仕事をしたほうが遥かに良い。 本人にとっても家族にとっても社会にとっても国家にとってもである。 それは企業では学校では得ることの不可能な、On the Job Trainingを基礎とした実質的な(コピー取りから始まって)教育・訓練が受けられるからである。 しかも収入まで得られるのであるから一石二鳥である。 企業にしてみれば若い労働力を安く雇えるわけであるからコスト面でも非常にメリットがある。

 

「大多数の人間が高校・大学・大学院へ進学すること」の意味を否定するからといって「高等教育」を否定しているのではない。 すべての仕事が中学レベルの知識・技能で実行できるわけではない。 一つ例を挙げれば、医薬の開発はどんな天才でも中学のレベルでは無理である。 化学、物理、数学、生物、薬学高度の知識が必要である。 もっと効く薬を、もっと安価に、もっと早く、それが我々全員の願いである。 そのためには科学技術の集積が必要であり、その伝承・発展には高等教育が不可欠である。 秀でた頭脳を持った人間が本当の高等教育を受ける、それが社会全体の利益になる。

 

一昔前に三高なる言葉がはやった。 男性の価値を表す指標として、高学歴・高収入・高身長であることがよい、というやつである。 日本の財政を健全化するためには三低社会を目指すことである。 三低とは、低学歴・低身長・低負債のことである。 なぜ低学歴かといえば、中卒だからである。 なぜ低身長かといえば、中学を卒業してもまだ成長するからである。 なぜ低負債かといえば、年齢からして親元に住みつつ働き収入を得るわけで、借金はゼロだからである。 不健全なる三高から健全なる三低へ、高校・大学・大学院の七年〜十年の時間的・金銭的浪費の不健全さと決別し、三低が格好良い時代になれば自然と社会は活性化するはずである。

 

三低社会を実現するために必要なのは雇用である。 小さな企業が雨後のタケノコのように出てくる環境にあれば、必要な人材の基準は学歴ではなく働く気である。 限られた雇用においては企業は規格化された人材を求める。 四年制大学を出た、高等学校を出た、といった規格である。 一方雇用が無限にある状況においては人を型にはめる規格は意味をなさない。 雇用主にとって必要な要素が備えた人材かどうかだけが問われるからである。 それがやる気であろうが笑顔であろうが言葉遣いであろうが心使いであろうが、である。 

 

雇用増進のために必要なのは投資である。 手元のカネをつかって大小様々な事業を起こして利益を回収することが容易に可能な環境が投資を呼び込むのである。 投資環境を作り出すのは規制緩和と減税である。 あらゆる産業を縛るあらゆる規制を撤廃する。 最低賃金法や労働安全法、PLこれらを撤廃し、京都議定書やモントリオール議定書といった国際条約からも撤退する。 関税を聖域なく撤廃する。 規制緩和は産業を規制する省庁への財源の強制削減によって、減税は教育を含めた社会福祉の撤廃によって成し遂げられる。

 

これらをやって初めて雇用が爆発的に増える。 なぜならばこのような自由な環境こそ世界の企業家・投資家を引き寄せるからである。 これらを成し遂げた暁にようやく人々はマインドコントロールから解かれる。 そして振り返って思うことであろう。 あの不自由で窮屈な時代は何だったのかと。 あの癌の痛みは何だったのかと。

温暖化人為説にすがる人々

  • 2013.02.18 Monday
  • 01:02

What we've got to do in energy conservation is try to ride the global warming issue. Even if the theory of global warming is wrong, to have approached global warming as if it is real means energy conservation, so we will be doing the right thing anyway in terms of economic policy and environmental policy.

—Timothy Wirth, former U.S. Senator (D-Colorado)

 

エネルギー保全のために我々がすべきことは温暖化説を推進することである。 仮に温暖化説が間違いであっても、それが本当であるかのようにアプローチすることで保全が進むのだから、経済政策的にも環境的にも、いずれにしても我々は正しいことをしているのだ。 

元上院議員 民主党 ティモシー・ワース

 

 

 

この冬、アメリカで、ヨーロッパで、中国で、日本で、世界各地が記録的な寒波に襲われた。 アメリカ北東部猛吹雪に襲われ、ニューヨークなどでは非常事態宣言が出された。 夏に暑かったり台風が来たりすると「温暖化人為説」を叫ぶメディアも寒さに関しては淡々と伝えるだけである。 最近では「温暖化」という言葉は時代遅れになりつつあり、「気象変動」という言い方が流布されるようになってきている。 明らかに「温暖化」していないのに「地球温暖化」では都合悪いのであろう。

 

「気象」の特徴は他でもなく「変動する」ことである。 この世界が誕生して以来、気象は短期的、中期的、長期的に常に変動してきた。 気象は有史以来、変動を止めたことが一度も無い。 冒頭に述べたように我々は日々「温暖化」でない状況をあちこちで見聞している。 温暖化人為説に異を唱える科学者の声は益々大きくなっている。 現在、温暖化人為説に支持を表明している科学者は全体の36%である。 縦社会という学会の特徴を合わせ見れば、本当に信じている科学者の率はこの数字よりも少ないと推測できる。

 

この状況の中、政府やメディアだけでなく、多くの企業も温暖化人為説をガンとして手放そうとしない。 それはなぜかといえば、温暖化人為説が既に多くの組織や個人にとっての「飯の種」になっているからである。 逆に言うと、温暖化人為説が覆れば多くの仕事が意義を失って不要になり、多くの人々が職を失う(少なくとも他にすべきことを探さなければならなくなる)ということを意味する。 

 

これら企業は生き残りをかけて「人為的温暖化」あるいは「異常な気象変動」を喧伝し、危機感を煽り、全世界的なアクションの必要性を主張し、そして彼らの商品やサービスがそれらアクションの一端を担うことが出来ると売り込む。 彼らを非難しているのではなく、彼らとて個人・団体・企業として生き残るためにはそうせざるを得ないのである。

 

彼らを例えるならば、猛烈な勢いで崖に向かって突っ走るバスに乗り合わせた人々のようなものである。 崖から落ちれば死ぬ。 バスから飛び降りても大怪我するか死ぬかだ。 崖にたどり着くにはまだまだ時間がある。 もしかすると自分が生きている間は走り続けていられるかもしれない。 では下手に身を危険に晒すよりも、そのまま乗り続けようではないか

 

安倍政権の環境政策の計画が明らかになった。 風力発電を10年で3倍にし、官民で3100億円拠出し、半額を「国が補助」するのだという。 「国が補助」ありがたいことである。 おおらかで慈悲深く、そして大胆で力づいよい国。 3100億円くらいなんのことはない。 だが実は、それは我々のカネである。 温暖化人為説・危機説を盾に、政府は我々のカネを巨大プロジェクトにつぎ込む。 そして、そのプロジェクトに多くの企業が関わり、そのプロジェクトは彼らの生命線となる。

 

温暖化人為説は環境主義というマルクス・レーニン主義から派生した政治思想を基礎に生み出され、左翼メディアによって地位を押し上げられ、無防備な大衆によって受け入れられ、政治家と官僚によって国家宗教へと祀り上げられた。 そこには科学の精神は無い。 あるのは科学の仮面である。 この世紀の大詐偽である温暖化人為説を打ち倒すのは、最終的に我々個人である。 さもなければ、我々はこの国家宗教(世界宗教か?)に隷属させられることになる。 その魔の手は既に我々に伸びている。 魔の手の主は国連アジェンダ21である。

 

 

参考:

 

一般社団法人日本カーボンオフセット

”地球温暖化をくいとめるために、あなたにはカーボン・オフセットという手段があります”

 

UPS

大気中の二酸化炭素(CO2)レベルの増加が原因と言われる気候変動や不規則な天候の変化、その他自然異常についてのニュースは、もはや珍しくありません

 

SGS

SGSジャパンは、2012年11月16日付で、凸版印刷株式会社様(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:金子 眞吾)にカーボンフットプリントコミュニケーションプログラムにおける「カーボンフットプリント(CFP)システム認証」の第1号となる認証を行いました。

 

 

麻生太郎「さっさと死ねるように」発言の真実

  • 2013.02.03 Sunday
  • 14:03
 

"It is amazing that people who think we cannot afford to pay for doctors, hospitals, and medication somehow think that we can afford to pay for doctors, hospitals, medication and a government bureaucracy to administer it." - Thomas Sowell

 

『医者と病院の費用、そして薬の価格は高すぎて人々が負担するのは不可能だ、と考える一方で、医者、病院、薬、そしてそれらを管理監督する省庁のコストは負担できる、と考える人があまりに多いのには驚かされる』 トマス・ソーウェル

 

 

麻生太郎・副総理兼財務大臣が「失言した」ということで物議をかもした。 医療費についてこう語ったのが失言・暴言だったというわけである。

 

「いいかげん死にてえなと思ってもとにかく生きられますから」

「しかもその金は政府のお金でやってもらっているなんて思うと」

「ますます寝覚めが悪い」

「さっさと死ねるようにしてもらうなど、いろいろと考えないと解決しない」




麻生氏は見識はさておき、それほど腹黒い人間には見えない。 たぶんビールでも飲んだらもっと口が軽くなって面白いことを言うのではないか。 

 

麻生氏が熟慮を重ねた末に上の発言をした、とは思えない。 発言の軽さは昔からである。 その軽さ故に図らずとも真実が口をついて出たに過ぎない。 滑稽なのはこの発言をつかまえて、やれ失言だ、やれ暴言だ、と騒ぎ立てる左翼メディアである。 この発言は「失言」でも「暴言」でもなく、本人は全く意図していないと思うが、まさしく社会主義化した医療がもたらす恐ろしい結果を言い表したに過ぎないのである。

 

医療社会主義化、すなわち、国民皆保険制度・医療行為への規制・医薬品開発への規制は否応なく医療という一連の経済活動を阻害する。 既に国民皆保険が空気のような存在である日本では国民皆保険に疑問を呈するのは「空気の存在に疑問を呈する」のと同じくらい異様なこととして受け止められる。 だがその道を進みつつあるアメリカを見れば、市場経済から計画経済へと移行する過程において何が起こるかが見えてくる。

 

アメリカでいわゆるオバマ・ケアと呼ばれる「医療保険制度改革法案20103月に当時両議会多数派であったアメリカ民主党によって強行採決され、オバマ大統領によって法制化された。 ナンシー・ペロシ下院議長が採択前に言った「どのような内容なのか皆が知れるようにこの法案を採択しましょう」という言葉が有名になったように、国民に内容を説明して是非を問うこともされず「皆さんはこれから全員保険でカバーされるようになります。 これでようやくまともな文明国になります」というような美辞麗句だけが先行した。

 

2014年からオバマ・ケアが効力を発揮し、すべての国民が医療保険を購入することが義務づけられ、違反すれば罰金が科されるようになる(個人所得の2.5%と見積もられている)。 それに向けて企業も病院も医師も製薬会社も個人も準備を進めている。 2013年に入った現在、既に多くの影響が出ている中で人々は徐々に気づき始めている。 それは「保険適用される」ことと、「医療行為が受けられる」ことは全くの別物である、という事実である。

 

オバマ・ケアは人々に保険購入を強制する一方で、保険会社には例えば妊娠中絶やバイアグラ(性犯罪者も含め)といった従来個人で負担すべきものとされてきた費用をもカバーするよう義務づけている。 それがどういう結果になるか。 Newsmax.comが伝えるDoctor Patient Medical Associationアンケート調査によると、実に83%もの医師達が、オバマ・ケアが発効した際には医師を辞めることを考えている。 なぜか。

 

人は保険を持てばそれを使おうとする。 些末な風邪や怪我でも医者に行くようになる。 医師は増える患者をさばいていかねばならない。 保険関連の煩雑な書類仕事は激増する。 単純化して言えば、医師達は今後、減少する収入の中、より多くの患者を診ていかなければならなくなる。 しかも治療方法に関しても国家が介在してくるので自身の裁量による医療行為がますますやりにくくなる。 医療訴訟のリスクも益々高くなる。 辞めたくなって当然であろう。

 

そしてそこから容易に推測されるのは、若い学生達が医師という職業に対する希望を失い別の道を歩むであろうということである。 日本でも原発叩きが始まってから既に原子力工学に進む学生が減少している。

 

辞める、といっても状況は人それぞれである。 定年間近であれば引き際を早めるだけである。 だがキャリアの階段を上り始めた人や既に活躍の最中にいる医師達にとっては大変なことである。 医師というのは高校を出てから大学・薬科大学院・インターンシップ・レジデンシー・フェローシップ等等と優秀な学生が10数年かけてやっとたどり着く職業である。 嫌気がさしたから不動産にでも転職するか、という話ではない。 日本で既に起きているように、徐々に同僚が減りるなか、多くの医師達が悪化する労働条件の中を過労寸前でもがくように頑張らざるを得ないはずである。

 

国家政府による医療という市場に対する介入は市場にもともと存在する調整機能を阻害する。 すなち、市場(患者)の商品購買力(医師・医療サービス・医薬品)を人為的にあげつつ価格を統制することにより、それらサービスの供給を減少させ(医師不足)、結果的に人々が医療を受ける機会を少なくする。 日本では名目上誰もが平等に医療が受けられることになっているが、そのようなおとぎ話を信じる者はいない。 高名な医師にかかるには紹介状と高額な謝礼が必要となるのは常識である。 一種のブラックマーケットの形成である。

 

そこで改めて麻生発言を眺める。 法制化ということは、誰もがそこから逃れることが出来ないということである。 強いて言えば、金持ちは金でなんとかできる術があるが、低所得者は完全にお手上げである。 政府の慈悲にすがるしかない、という状況になる。 しかし所得に関係なく、日本人は元来道徳心の強い国民である。 麻生の言った「政府のカネで高額医療をやってもらてると思うと寝覚めが悪い」はまともな感覚を持つ人間なら誰もが持つ思いである だから麻生が言うように「皆のために早く死のう」となる。 名だたるメディアが一切伝えないのは、問題はそれを「言った」ことにあるのではなくて、人々の思考を死へと向けてしまう国民皆保険という牢獄制度の存在にある、という事実である。

 

 

このグラフを見れば分かるように、人類の歴史とは、いわば長寿化の歴史である。 平均寿命が16歳くらいだった縄文時代から平安、戦国、江戸、明治、大正、昭和、そして平成の今7080歳となった。 その今、なぜ「もっともっと生きよう」ではなく、国に迷惑をかけないように「早く死なねば」という発想なのか。 それは社会主義の必然である歴史の後退に他ならない。

 

 

追記1

麻生発言で問題なのは、「政府のカネで高額医療をやってもらてると思うと寝覚めが悪い」の「政府のカネ」の部分である。 誠に政治家というものは、「政府のカネ」を「国民のカネ」ではなくて「政府のカネ」だと思っている。 そこが、問題である。

 

追記2

医療財源不足によって産婦人科不足が生じている。 これは国民に「生まれてくるな」ということにつながる。 終末医療削減の「老人は早く死んでくれ」という発想と相まって国家滅亡へとつながる。

 

 

 

 

 

 

"Going Rogue" サラ・ペイリンとメディアの情報操作

  • 2013.02.02 Saturday
  • 18:20

現代は情報化時代と言われる。 情報量は益々多くなり、媒体も益々多くなり、伝達も益々早くなっているのは間違いない。 テレビ、新聞、雑誌、映画、ドラマ、名だたる評論家、政治家、学者、経営者、ブロガー、映画監督、俳優、テレビ・パーソナリティ こういった媒介を通して情報は「事実」として供給される。 我々はこれら「事実」に圧倒され、押し流され、降伏し、受け入れる。

 

太古の時代から中世を経て近代、歴史上数多くの良き人々がいわれなき汚名を着せられ葬られてきた。 そして現代の我々が生きる「情報化」時代において、その状況は何も改善されてはいない。 なぜならば情報化とは大規模な情報操作であり、プロパガンダによる総攻撃だからである。

 

サラ・ペイリンが2009年に自伝形式で著した「Going Rogue」を遅ればせながら読みつつ2008年当時のアメリカ大統領選挙を思い返す。 そしてメディアの情報操作について改めて考える。

 

サラ・ペイリンは2008年のアメリカ大統領選挙で一躍有名になった人物である。 ペイリン女史はスポーツキャスターを経て子供を育てる傍ら1992年に28歳でアラスカWasilla市の市議会議員に選出されたのをきっかけに政界進出し、1996年にWasilla市市長、2003年にアラスカ州の石油・ガス規制担当、と州の重要ポストを歴任した後2006年にアラスカの州知事に選ばれた。 知事就任直後に着手したのはそれまで長らく州の政界に巣食っていた汚職体制を一掃することであった。 従来政権を握ってきたのは共和党であり、地下資源の利権で私利を貪っていたのも多くは共和党の政治家達であった。 ペイリン女史は前職のマーカウスキ(共和党)が放置していた政治家達の地下資源がらみの汚職を次々と告発し、違法行為を働いていた者たちを刑務所に送った。

 

ペイリン女史は、「州に必要な公共事業は州で決め、州で実施し、州でまかなう」という独立独歩の信念に基づきイヤーマークと呼ばれる地方交付金を大幅に削減、公共事業を全部見直し州民の利益にならない事業を廃止した。 「今ある収入で支出をまかなう」の信念で前任者が州の予算で購入した自家用ジェット機を売りに出し、その収入を州の経費に当てた。 「人々の富を人々の手に」の信念に基づき減税を断行。 「自由な経済」の信念に基づき談合体制を強制終了させ、ガラスばりの公開入札制度を導入。 女史は長らく政治的利権に胡坐をかき、石油が埋蔵されている土地を眠らせていた石油会社を提訴して勝利。 その結果石油がパイプラインを走り始め、州民には雇用と収入が生まれた。 女史はわずか2年の間でにアラスカのエネルギー開発を再稼働させて経済を活性化させ、全米で三番目にビジネス・フレンドリーな州と呼ばれるまでになった。 それは他に類を見ない実績であった。 そしてその行政手腕はテキサスなど他の「エネルギーの州」から注目を浴びた。

 

2008年の「ペイリン副大統領候補」はそのような経緯から生まれたのである。 当時我々が受け、そして今も受け続けている「事実」はどのようなものであるか。

 

アラスカという「取るに足らぬ」州の「ド田舎」で生まれ育ち、「聖書に書いてあることだけが正しい」と信じて生きてきた、「誰も名も知らぬ」ペイリンという「愚鈍な」州知事が、「学生時代に美女コンテストに入賞した以外に何の実績も無い」にも関わらず「いきなり」マケイン大統領候補から指名され、「降ってきた幸運」に我を忘れて飛びつき、選挙活動を開始したのはよいものの、行く先々で「おバカを晒し」、挙句には有名テレビ局の大御所キャスターとのインタビューで『外交経験?アラスカの私の家の窓からロシアが見えますよ』『普段読む本?いろいろ 具体的に?まあ...いろいろ』とのたまったり、「目も当てられぬ」有様で、ついにはマケインの「足を引っ張って」大統領選は敗北した。 「ペイリン」は破滅だった。

 

実際のサラ・ペイリンは卓抜な知性と行動力と人間性を兼ね備えた人物である。 その政策や言動は保守主義に裏付けられていてぶれることがない。 当時は候補者だったジョー・バイデンとのディベートを改めて観たが、自信に満ちた態度で理路整然と、そして情熱をもって語るその姿は大統領候補のマケイン以上に大統領の風格を備えていた。 保守主義の立場から、経済、外交、軍事すべての政策におけるオバマ・バイデンとの違いを明確に描く。 自らを保守に位置付けることが出来ず、効果的に対抗相手を論破できなかったマケイン候補が、最終的に負けたにしてもあれほどの票を得られたのはひとえにペイリン女史の存在があったからである。

 

リベラルと左翼メディアはサラ・ペイリンに対してヒステリックに反応した。 その名を落としめるためにありとあらゆる手段を使った。 「遊説用の衣装やお付のメイクアップアーティストなどに湯水のように党の金を使った」などと事実無根の噂話をこぞって報道した。 当時生まれたばかりのダウン症の子供は「実は女史の子供ではなく、娘のブリストルの子供だった」などと、普通の感覚では信じ難いほどに意地悪で悪質な嘘を垂れ流した。 ティナ・フェイというコメディアンはペイリン女史のものまねでテレビに主演し、本人の口癖を真似しつつ、まるきり意味不明で滑稽なしゃべりで聴衆のうけをとった。

 

悪名高きケイティ・クーリックとのインタビューについても本書は触れている。 インタビューの間、ペイリン女史はCBSのキャスターがあまりに無知で本質からずれた質問をしつこく繰り返すのにいい加減嫌気がさしていた。 女史が一番いらついたのは「普段どんな雑誌や新聞を読むのですか?」という質問だったという。 数々の要職を歴任し、これから副大統領になろうかという人物に対する質問ではない。 失礼な質問に対して女史は辛抱強く答えた。 その結果テレビで放映されたのは全体の文脈を失った部分部分の切り貼りであった。 最近ではトレイボン・マーティン事件のようにテレビメディアによる巧妙かつ恥知らずな人心操作には枚挙にいとまがないが、この一件も一連の情報操作のうちの一つだったのである。

 

2008年当時私はアメリカで大統領選挙の際のペイリン女史に対するメディアの攻撃を目の当たりにした。 その攻撃はリベラルなメディアから中道派や一部の保守メディアにまで伝染していったのを目の当たりにした。 そして私自身の見方も当時はかなり彼らの描写に影響されたものである。 それほどに情報操作が激烈に、徹底的に、広範に行われたということである。

 

本書「Going Rogue」では女史の生い立ちからテレビキャスター時代、政界への進出の経緯、州財政の立て直し、汚職撲滅、エネルギー開発、大統領選、そしてアラスカ州知事職からの辞任などが描写されている。 そして折に触れて女史の「Commonsense Conservatism=大上段に構えない常識を基礎とした保守主義」が語られる。 「家庭においてやりたいことが何でもかんでもできるわけではなく、収入の中で優先順位を決めていかなかければいけない。 それは州財政も同じ」「州民から預かった金を使うのに使い道が分からないで承認できるか」「地方の事情が一番分かるのは地方政府であり、一番責任感をもって対応できるのも地方政府」「密室談合からオープンな市場経済へ」「誤った政府の政策によって生じた問題を更なる政府の政策によって解決することはできない」「政府の役割は我々を完成する(perfect us)ことではなく守ること(protect us)である」「繁栄の基礎は安定した豊富な安価なエネルギー供給」「経済を自由に、税金を安く、政府を小さく、富を人々の手に戻して投資を促進、慈善を奨励し、勤勉を尊重し、家族を強化しよう」...

 

女史の豊かな人間性を感じずにはいられないのはダウン症の子供を授かったときのくだりである。 医師から告知された時、女史も世の女性と変わらず心が揺れ動いた。 なぜよりによって私が、と。 この瞬間なぜ多くの女性がこのような状況に直面して中絶を選択するのか理解したという。 心を打つのは女史と夫のトッドとの短い会話である。

 

Sarah     "Why us?"

Todd       "Why not us?"

 

「あなたはこういう欠陥があるので生きるに値しません。 あなたのお子さんは国家の規格標準に合いません。 だから死んでください、殺してください」という言葉がまかり通る社会ほど非人間的な社会はない。 『この世界をもっと「障害児」を受け入れる世の中にしよう』それがダウン症の子供を連れて各地を遊説して回ったサラ・ペイリン女史のメッセージである。

 

We know that the most vulnerable among us deserve our protection; we value life and those who nurture it; and we want to make America a more welcoming place for those whom some may not consider "perfect".

 

我々の中で最も弱き者達は我々の保護を受ける権利がある。 我々は生命とそれをはぐくむ者を重んじる。 我々はアメリカが彼ら”不完全な”人々にとっても居心地の良い国になることを望む。

 

サラ・ペイリンによって保守に新たな生命が吹き込まれた反面、我々は未だかつてなく猛威を振るうメディアの情報操作に晒されることになった。 情報操作の欺瞞は左翼の側にあり、真実は我々保守の側にある。 しかし真実は未だにあまりにも希少である。

 

 

"Going Rogue"

 

Who is Sarah Palin?  Breitbart

 

Sarah Palin - Rogue Interview - Hannity (1)

 

Sarah Palin - Rogue Interview - Hannity (2)
 

Sarah Palin - Rogue Interview - Hannity (3)

 

Sarah Palin - Rogue Interview - Hannity (4)

 

Sarah Palin - Rogue Interview - Hannity (5)

 

Palin-Biden Debate 2008

 

Palin's Alaska

 

 

追記:

本書でペイリン女史が明確に述べているように、政府支出の出どころは

(1)借りる(国債を発行する)
(2)刷る(輪転機を回す)
(3)取り立てる(税金を取り立てる)

のいずれかしかない。 (1)にするか(2)にするか(3)にするか、それとも(1)(2)(3)の比率をこうするああする、という不毛かつ陳腐な議論をしているのが今の日本である。 (1)と(2)を大胆にやってインフレに誘導するという既に歴史上何度も試みられてきた愚策を「今までに無いフレッシュで大胆なアイデア」と銘打って
...

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