靖国参拝、そして不買運動に怯えるビジネスマン

  • 2013.12.31 Tuesday
  • 23:04
 

安倍総理の靖国神社参拝について、中国に進出しているある大手メーカー幹部は「不買運動が再燃すれば現地スタッフの努力が水の泡になる。 なぜ政治は不用意に波風を立てるのか」と不満をぶちまけたそうな。

 

ビジネスと政治を両方できる人物は稀有である ビジネスマンというのは非常に臆病な性質を持っている。 弱い相手には強く、強い相手には弱い。 信念信条、原理原則よりもリスク軽減を優先させる。 これは批判ではなくてビジネスの本来的性質であり、事実の描写である。

 

ビジネスの目的は利潤を生むことである。 組織の存続と従業員の生活のためにである そのために顧客要求、社会情勢、法規制、あらゆる状況の変化に柔軟かつ迅速に対応しなければならない。

 

政治は逆である。 政治の目的は利潤を生むことではない。 時の政権の関係者の懐を温めることでもなければ気まぐれな国民をあの手この手で喜ばせることでもない。 政治の目的国民を守ることである 国民を外敵から守るために政治は国家の威信を維持しなければならない。 国家の威信を維持するために政治は原理原則を死守しなければならない。 たとえそれが一部のビジネスと利害が相反しても、である。

 

中国に進出している企業の幹部にとっては首相の靖国参拝は鬱陶しいだけかもしれない。 現地の顧客や政府関係者から嫌味を言われるたびに苦笑いでご機嫌をとりつつはぐらかさなければならないのかもしれない。 彼らの愛国心が足りないのかとえば、必ずしもそうではない。 如何なる人物であろうとも、同じ立場に置かれればそうせざるを得ないはずである。 誠に同情を禁じえない。

 

だが、中国に進出している企業が日本の経済を代表しているわけではない。 彼らは日本経済の一部の一部である。漁師、百姓、大工、左官屋、飛脚、食堂、花屋、呉服屋、よろず屋、工場、医者、技師、その他あらゆる仕事がビジネスであり、日本経済の構成員である。

 

国家の威信は国民の生命と安全と経済活動を守る砦である。 一言でいえば、「あの国の国民に手を出したら後が怖い」と敵性国家や敵性集団(テロ集団など)に思わせることである。 その国の元首・代表が自国の英霊が眠る場所を訪問するに他国を慮る国に威信もへったくれも無いのは言うまでもない。 たとえアメリカという後ろ盾があるとしても、それは虎の威を借りているだけである。 そのアメリカの威信にしてもオバマ政権下で失墜している。 いまやアメリカを本気で頼ろうなどという国は無きに等しい。

 

自国の砦をまもろうとすれば、それは敵性国家からすれば敵対行為に他ならない。 逆に自国を貶め売り渡す行為は敵性国家からすれば「友好的行為」となる。

 

不買運動を起こさせないようにと思えば「友好的行為」をエスカレートせざるを得ない。 敵性国家というものは難儀なもので、エスカレートしない「友好的行為」は「友好的姿勢の減退」と見なす癖がある

 

威を借りてきた遠方のの威信が低下し近隣の敵性国家と対峙せざるを得ない今こそ政治家の信念が問われている。 世界最古のわが国の威信を守ることの重要性に比べれば、ある企業に対する不買運動が再燃しようが、ある企業の現地スタッフの努力が水の泡になろうが、気の毒なことではあるが、それらは空気を舞う塵程度の意味しかないのである。

 

 

追記:

世界最古の歴史と国家の威信と我々の生活に何の関係があるのか。 関係があるだけでなく、これらは不可分である。 これは掘り下げたいテーマである。

「アスベスト被害は国の責任」 判決の代償

  • 2013.12.27 Friday
  • 22:10
 

 

アスベスト被害、国の責任再び認定 泉南訴訟で大阪高裁

大阪府南部の泉南地域のアスベスト(石綿)健康被害をめぐる集団訴訟の第2陣(被害者33人)の控訴審判決が25日、大阪高裁であった。山下郁夫裁判長は一審・大阪地裁判決に続いて国の規制の不備を認め、石綿関連工場の元従業員らに慰謝料などを支払うよう国に命じた。原告側は約7億円の支払いを求めていた 

朝日新聞デジタル 12月25日(水)15時14分配信

 

 

裁判所は「アスベスト被害」は国の責任であるとの判定を下した。 

 

「国」は責任を感じるだろうか。 責任を感じるのは建物でもなければ場所でもなければ組織でもない。 官邸でもなければ官庁でもなければ省庁でもない。 責任を感じることができるのは人である。 血が通い、感じる心を持ち、考える頭をもつ、人である。 国は責任を取れ… 国にとって命じられたとおりに慰謝料を払うことなど朝飯前である。 日々の労働で得た収入を銀行に貯金している「国」という名前の人が慰謝料の支払いを命じられたわけではない。 心情も信条も感情もない、我々国民の労働による収入の一部を税金で徴収することにより存在する国という存在が、責任を取れ、カネを払え、と命じられたわけである。 国にとってカネなどどうにでもなる。 カネの出所は税金なのだから、底なしである。

 

一方で、国民はこの判定を見て「国の野郎に責任を取らせた!」と溜飲を下げることであろう。 「国のバカ野郎が、国のトボケ野郎が、国のマヌケ野郎が、シッカリと規制しないからこういうことになったのだ」と。

 

規制しない国(政府)など国(政府)ではない 国(政府)の第一の任務は規制である 規制があるからこの世が回る! 規制あっての安全だ 規制あっての安心だ 規制あっての人生だ この国に充満するこのような意識というか考え方が追認されたわけである。

 

アスベストは危険なのか。 逆に、この世に「危険でないもの」はあるのか。 テレビは愚鈍な番組を垂れ流し、見れば見るほど人はバカになるしボケの原因にもなるから危険である。 公教育はまっさらで純真で若い頭に左翼思想を刷り込むから危険である。 ガソリンは引火性であり、時々火遊びをするバカがいるから危険である。 車は不注意なドライバーや酔っ払い運転をする輩がいるから危険である。 反原発デモは原発停止とそれに伴う電力料金高騰をもたらすから危険である。 電車は飛び込み自殺に使われるから危険である。 高層ビルも飛び降り自殺に使われるから危険である。 日本は自殺大国である。 いまいち脈絡が無いが、考えると身の回りは危険でいっぱいである。

 

アスベストが危険だというのならば、先にあげたものは何と表現すればよいのか。 多くの有用なものが「危険」の名の下に葬られてきた。 DDT(殺虫剤)、サリドマイド(薬)、フロンガス(冷媒)、原子力、アスベスト... アスベスト危険説は既に覆されている。 アスベスト危険説は神話である。 アスベスト危険説は嘘である。

 

痛くも痒くもない国...

溜飲を下げる国民...

 

その結果、

 

益々強まる規制を求める声...

それを助長するメディア...

 

規制とは法律の一種である。 法律というのは、本来は立法府であり、国や地方の代表として人々から信任を得た代表者から成り立つ議会が制定するものである。 決まり事を制定すべきなのは、それがあることによって「社会の自由が増大する」場合においてのみである。 人々からの審判を定期的に受ける議会が立法に携わる意味はここにある。 人々に害を及ぼす法を制定すれば人々からの審判を受ける。

 

しかし今日の日本にある法の多くが官僚機構によって制定される、いわゆる規制というものである。 人々による審判を決して受けることのない組織が官僚機構である。 顔の見えない役所の役人が人々の知らないうちに集まり、人々の知らないうちに決め、発布するのが規制である。 ある決まり事を制定することで「社会の自由が増大する」か否かを考慮するための動機は皆無である。 一方で自らの地位の確立と重要性の増大と勢力範囲の拡大のために次から次へと規制を発布するための動機はふんだんにある。

 

規制が増えれば増えるほどに企業のオペレーションコストは上がる。 シゴトは増える。 お客様を喜ばすためのシゴトではなくてお役人様が決めた決まり事を満足させるためのシゴトである。 お客様のためのシゴトが終わるとお役人様のためのシゴトが待っている。 人は自分と家族のための時間を削ってシゴトをする。 やってもやってもシゴトは尽きない。 やらなければ、という義務感のみのシゴト。 そしてやってもやっても感謝はない。 これが、「国に責任を取らせる」ことの代償である。

"Rumsfeld's Rule"読了

  • 2013.12.22 Sunday
  • 17:12
 

ドナルド・ラムズフェルド若くして下院議員として選出され、ニクソン政権にて政権の中枢に入り、フォード政権にてアメリカの歴史上再若年で国防長官を務め、その後ビジネス界に転身して製薬会社の社長や様々な企業の取締役を歴任、そしてジョージ・W・ブッシュ政権にてアメリカの歴史上再高齢で国防長官を務めた人物である。

 

アメリカ合衆国の短い歴史の既に三分の一を生きた老兵であるラムズフェルド氏がその人生の中で感銘を受けた言葉を記したのが本書"Rumsfeld's Rule"である。 ラムズフェルドの法則とはいえど、そのほとんどは氏自身の言葉ではない。 学びの徒である氏がコツコツと書き溜めてきた言葉の集大成である。

 

Once you quit one thing, then you can quit something else, and pretty soon you'll get good at being a quitter.  一つのことをやめれば次から次へと止めるようになる。 そしていつしか「投げ出し屋」となる。

 

If you are working from your inbox, you are working on other people's priorities.  「入」箱処理が仕事なら、それは他人の優先順位で仕事をしていることになる。

 

Perhaps the most powerful antidote to unfettered selfishness is property rights.  見境のない利己主義に対する最大の解毒剤は所有権であろう。

 

Public money drives out private money.  公の金は私の金を駆逐する。

 

Fame, as it is said, is fleeting.  What matters in the end is what you have when fame is gone - hopefully a strong and loving family, friends, your own sense of integrity, and a feeling that you have contributed.  名声は儚いものである。 名声が無くなった時に何が残るかが肝心である。 それらは望むらくは強く愛情深い家族、友人、自身の高潔さ、そしてなにがしかの貢献をしたという自負でありたい。

 

What you measure improves.  測定されるものは改善される。

 

If you can't measure it, you can't manage it.  測定されないものは管理することは出来ない。

 

A's hire A's.  B's hire C's.  ハイレベルな人はハイレベルな人を採用し、凡庸な人は劣る人を採用する。

 

Develop a few key themes and stick to them.  It works.  Repetition is necessary.  "Quality." "Customers." "Innovation." "Service." "Safety."  You pick them!  組織にとって重要なテーマを選んでそれを追求しろ。 繰り返せ。 品質、顧客、革新、サービス、安全なんでもいいから選択しろ。

 

When starting at the bottom, be willing to learn from those at the top.  下っ端からキャリアを始めるときは上から学べ。

 

Luck is what happens when preparation meets opportunity.  幸運とは準備が機会と出会う時に起こる現象である。

 

There are known knowns: there are things we know we know. We also know there are known unknowns: that is to say we know there are some things [we know] we do not know. But there are also unknown unknowns—the ones we don’t know we don’t know. 情報というものは我々が知っているということを我々が知っている、そんな情報がある。 そして、我々が知らないということを我々が知っている、そんな情報がある。 しかし更に認識すべきなのは、我々が知らないということを我々が知らない、そのような情報があるということである。 (ラムズフェルド自身の言葉)

 

政府、メディア、戦争、ビジネス、人生、あらゆる場面における学び、気付き、そして自戒をもたらす面白き一書である。

 

 

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Heritage Foundation インタビュー Rumsfeld's Rules: Leadership Lessons in Business, Politics, War and Life.

 

Glenn Beck インタビュー Donald Rumsfeld on air w/ Glenn Beck & his book "Rumsfeld's Rules"

 

講演 Donald Rumsfeld on his lastest book "Rumsfeld's Rules"

 

 

別に本書とは関係は無いが...

 

 

1974年 訪日したフォード大統領に随行したラムズフェルド氏

 

 

 

ブッシュ政権 国防長官として

 

 

"Intellectuals and Race" 読了

  • 2013.12.22 Sunday
  • 15:54

 

知の巨人トマス・ソーウェル博士による"Intellectual and Race"を読了した。 

 

人種間格差ということが言われるが、それがいかに左翼系「知識人」たちによって作り上げられた幻であるか。 アメリカでは未だに黒人や南米系の市民が差別されていると言われる。 経済格差は厳然として存在する。 そしてその格差は社会的不正義であると言われる。 しかしその格差がいかに黒人「サブカルチャー」とそれを称揚し、それらを称揚することを寛容さの証左として自画自賛する知識人たちによって引き起こされているものであるか。

 

奴隷制アメリカの黒人の社会的退廃(7割の子供が未婚の母のもとに生まれる)と貧困の源流は奴隷制にあると言われる。 しかし、いかにそれがメディアと知識人たちによってでっちあげられた嘘であるか。 奴隷制時代の黒人の子供は大部分が結婚した両親のもとで生まれた。 世界の歴史を見ればあらゆる人種が奴隷であった。 奴隷(Slave)の語源はSlav(スラブ族)である。

 

ヨーロッパとアメリカにおいて人種差別政策を推進してきたのは現在の左翼・リベラルの源流であるプログレッシブ運動であった。 ダーウィン、優生学、アドルフ・ヒトラー、ウッドロー・ウィルソン、ジョン・メイナード・ケインズ かつてある人種を劣等であるとして隔離することを提唱したリベラルは今、マルチカルチュラリズム(多文化主義)を提唱する。 文化は優劣は無い全ての文化は平等である 多文化主義によっていかに退廃、後退、貧困、惨めさが固定化されているか。

 

間違による罰を決して受けない。 それが知識人というものである。 その間違いが何百万もの人々に壊滅的な打撃を与えたとしても、である。

 

「人種」とは何か、「知識人」とは何か、考えさせられる一書である。

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Thomas Sowell discusses his newest book - Uncommon Knowledge



特定秘密保護法に炙り出される非国民

  • 2013.12.09 Monday
  • 23:32
 

 

"There are known knowns: there are things we know we know. We also know there are known unknowns: that is to say we know there are some things [we know] we do not know. But there are also unknown unknowns—the ones we don’t know we don’t know"  Donald Rumsfeld on intelligence

 

 

国防国家運営の命である。 諜報は国防の要である。 国防無き国家、諜報無き国家はどこかの国の衛星国か保護国か植民地であって独立国家ではない。 利害を共有する他国、利害に影響する他国、敵対する他国、これらの国々に関する生の情報を得る活動が諜報である。 諜報で得られた情報を使って敵国から自国を防衛するのが国防である。 国防力と諜報力をうしろだてに自国の利益を最大化するのが外交である。

 

利害の対立がある限り、生存を脅かす敵がいる限り、そこには攻めと守りがある。 攻めと守りに関する情報は機密である。 どこの誰を標的にしているのか、いつどのようにアクションを起こすのか、どのような兵器を開発しているか、どのくらいのスピードで開発しているのか、敵からどのように情報を収集しているか、敵からどのような情報が既に得られたのかこれら情報が敵に漏れれば、我々は丸裸同然である。

 

左翼・リベラルという人種が一番嫌うのが国家防衛という概念である 日弁連日教組朝日新聞という連中が秘密保護法の成立に反対する理由が分かろうというものである 

 

彼らは「戦前への逆行を恐れる」と言う。 彼らは戦前戦中に共産活動をしていた連中と同類である 戦前戦中は治安維持法があった。 この法で死刑になった人間はいない。 真っ当に生きる人間にはほとんど害のない法律であったと同時に、敵と通じる分子にとってはこの上なく嫌な法律であったはずである。

 

では特定秘密保護法は「治安維持法」かと言えばとんでもない。 一読すれば分かるが、独立国家として当たり前の法律である むしろ驚いたのは、程度の法律すらなかったということである。 この有様では国防も諜報も外交もあったものではない。

 

例えばアメリカでは政府要職に配置される「候補」と決まった瞬間に家族親族構成、過去の履歴、言動、交友関係、趣味嗜好、思想からなにから洗いざらい調べ上げられる。 それは手順であり、手続きである 国家反逆的な素地のある人間に機密情報にアクセスさせないための手段なわけである。 それが日弁連の恐れる「言論弾圧」や「人権侵害」だとしたら、笑止千万としか言いようがない。

 

だがそのアメリカでは左翼のオバマ政権によって国家機密は危機に瀕している。 第一期オバマ政権の国務長官だったヒラリー・クリントンの側近フマ・アバディンという女性がいた。 彼女の母親はテロ組織であるムスリム同胞団の姉妹組織ムスリム・シスターフッドのリーダーであった。 一方で核開発を進めるならずモノ国家イランがその存在を脅かすイスラエルという同盟国の機密情報をことあるごとにリークしているのがオバマ政権である

 

イスラエルのモサドがサウジ・アラビアと対イラン共闘体制に入りつつある。 サウジ・アラビアといえば従来イスラエルの仇敵である。 しかしその敵同士が生存のための利害の一致を見たのであろう。 テルアビブからリヤドへ、リヤドからテヘランへ... 国家の生存をかけた最高度の機密情報が動いてい 日本にいる我々が秘密保護法案を巡ってオママゴト的議論をしている合間にである

 

特定秘密保護法の可決によって敵が炙り出されている。 日本という世界最古の国家を内から蝕もうとする者達が誰かが分かる。 外敵にもまして手強いのは内なる敵である。 内なる敵は我々のそばにいる。 それは、これを読んでいる、自分自身かもしれないのである。

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