英国、欧州連合離脱を祝う

  • 2016.06.25 Saturday
  • 22:29


英国が欧州連合離脱を決定。

日本での反応を見ると、やれ株価下落や円高に振れたことを憂えたり(自国の貨幣価値の上昇を悲しむのは不思議な習性である)、やれ「そのうちにリーマンショック級の衝撃が来る」と言った安倍首相の「予言力」を褒め称えるなど、かなり頓珍漢なものが多いが、この機に英国の決定の意味を理解することは重要である。

端的に言えば英国は停滞と後退と閉鎖と隷属を拒否し、発展と前進と開放と自主独立を選択したのである。英国は自由を求める人々全てが向かうべき方向性を示したのである。

欧州連合とはそもそも何なのか、それを理解するに役立つドキュメンタリーを見つけた。

BREXIT THE MOVIE FULL FILM



欧州連合とは専制のシステムである。ブリュッセルの本部から欧州連合を支配するのは選挙で選ばれたわけでもなく、説明責任もない一握りのエリート官僚たちである。人々は彼らが誰なのかも、何をしているのかも知らない。

本来「法」とは人々から信任を得た政治家が人々を代表してつくるものである。だが彼ら欧州連合の官僚たちは密室で議論しながら次から次へと規制を作り出す。規制の目的は欧州連合域内の産業保護である。保護される産業と保護を与える官僚が手を握り合っているわけである。

大企業は規制をこよなく愛する。なぜならば彼らは法律家を雇ってロビー活動をする財力があり、官僚と結託してつくる彼らにとって都合のよい規制で有象無象の競争相手を排除できるからである。

欧州連合のエリート官僚は愚劣な規制を山のように作り出す。人々は朝起きて夜寝るまで彼らの何千・何万・何十万もの規制をくぐりぬけるわけである。

以下は規制の数の一例である。

まくらカバー:5
まくら:109
目覚まし時計:409
掛け布団:10
敷布団:39
浴槽:65
歯ブラシ:31
歯磨きペースト:47
鏡:172
シャワー:91
シャンプー:118
タオル:454
パン:246
トースター:52
冷蔵庫:84
牛乳:12,653
陶器:99
スプーン:210
コーヒー:625

関税や輸入枠は目に見える貿易障壁であるが、規制は見えにくい障壁である。欧州連合においてはこの規制が増える一方なのである。

この別の記事によれば、強力なヘアドライヤーは「エコじゃないから」禁止にされようとしており、バナナはまっすぐではないとダメで、紅茶等のティーバッグは廃棄できないのだとか。

下のこの図は欧州連合の本質を表している。英国はこの壁から脱出することを決意したのである。



かつて戦後の英国は社会主義そのものであった。国内の産業は全てが規制でがんじがらめで経済は停滞した。一方戦後のドイツは強力に規制撤廃を推し進めて繁栄した。だが皮肉なことに英国の社会主義化を進めた張本人の一人(ジャン・モネ)は欧州に移り、当時はドイツをはじめ英国よりも自由と活気に溢れていた欧州の社会主義化(欧州連合設立)を推し進めた。

英国が欧州連合を離脱して得るのは欧州連合のメンバーとしては得られなかった市場である。一方失うのは衰退する欧州連合がらみの市場である。得るものは大きく、失うものは小さい。

英国の欧州連合離脱が世界経済にリーマンショック級の衝撃を与える、など冗談も甚だしい。

スイスは欧州の中心だが欧州連合加盟国ではない。この国は世界でも最も規制の少ない国の一つであり、同時に最も豊かな国の一つである。彼らは自由貿易を重んじて輸入障壁を下げ、そのかわりにモノの豊かさと経済の活性化という恩恵を享受している。

英国民は賢明であった。彼らは正しい方向性を選択した。

この素晴らしい出来事を、自由と繁栄を追求する人間の一人として祝福したい。


追記:
欧州連合は保護主義であるだけでなく、反ユダヤ主義である。彼らはイスラエルの領土であるいわゆる「入植地」原産の産品について特別に表示することを義務付けている。この目的はイスラエル・ボイコットである。

日本はこの流れに乗って国連を脱退すべしである。中国やロシアが常任理事国をつとめ、 イスラム諸国代表が人権委員会をつとめる国連は悪の巣窟である。アメリカ、イギリス、イスラエル等と自由の連合をつくるべしである。

麻生発言 - 経済無知の総和

  • 2016.06.19 Sunday
  • 16:15

<麻生氏>いつまで生きるつもりだ…高齢者について講演会で
麻生太郎財務相(75)は17日、北海道小樽市で開かれた自民党支部大会で講演し、「90になって老後が心配とか、訳の分からないことを言っている人がテレビに出ていたけど、『お前いつまで生きているつもりだ』と思いながら見ていました」と述べた。高齢者らの反発も予想される。麻生氏は講演で国内の消費拡大などが必要と指摘したうえで、「お金を何に使うかをぜひ考えてほしい。金は使わなきゃ何の意味もない。さらにためてどうするんです?」と述べた後に発言した。毎日新聞 6月17日(金)


国の財務の握る人間が経済に対する完全なる無知を得意げに露呈する様を見るのは痛々しいものである。

保守主義者としては麻生の高齢者に対するモノの言い方に対する怒りがある。しかしそれはさておき、この経済無知は危険である。

経済を知らない安倍政権支持者は麻生を擁護する。「麻生さんは社会の金回りを良くしたいと思って発言したのだ。金が循環しなければ経済は活性化しないではないか」と。

そのような人々は一般人が商店で買い物をしている姿だけが「金回り」だと勘違いしているのである。

商店での買い物も「金回り」なら、銀行預金もタンス貯金も「金回り」である。「金回り」には何通りもあるのである。

人が金を銀行に預ければ、銀行はその金を無料で保管するだけではない。銀行はその金を投資に回すのである。しかもただ「回す」のではなく、事業計画を精査して回収のめどを立てて貸し付けるわけである。その金で人々が雇用され、機械類や建設資材の仕入れが行われる。人が将来や老後のためにと預金した金は雇用創出へと向かう。

一方人がタンス貯金したらどうなるか。タンス貯金は投資に向かうことはない。だが人が100万円タンス貯金したら市場の通貨供給量は100万円分減少することを意味する。すると一定の量の商品・サービスをより少ない通貨が追いかけることになる。

仮に市場全体の通貨供給量を100円とし、市場には10個のパンしかないと仮定すれば:

100円 ・ 10個のパン → 1個のパンは10円

もしも市場全体の通貨供給量が80円に減少したら:

80円 ・ 10個のパン → 1個のパンは8円

以前は1個のパンを買うのに10円必要だったが、いまでは8円で同じパンが買えるようになる。そして余った2円でジャムが買えるようになる。

よって一般的には「死に金」とされるタンス貯金ですら実は貨幣価値の向上につながり、それは購買力向上へとつながる有意義な行為なわけである。

ところで政府が「金回りを良くしよう」と意図して導入したマイナス金利の影響で円高傾向である。マイナス金利は人々に「銀行に預けると損するぞ。金を預けないで消費しなさい」という政策である。ならば通貨供給量が増えて通貨価値が下がり、円安に振れそうだが逆の現象である。金利はマイナスになる一方で景気が良くならない中で人々がタンス貯金に走り、実際に金庫が売れているという。まさに市場の通貨供給量が減って通貨価値が上昇し、円高に振れるという皮肉な現象が起きているわけである。

国の財務を握る麻生にはこれらが全く理解できない。

人々が銀行に預けて銀行が更に貸し付けて世を回る金と、人々に金をばら撒いて好きなように使わせる金は同じ。これらは同じ経済効果をもたらす。これが麻生の世界である。

だが実際の世界は:

人々が金を銀行に預ける。銀行はその金の貸出先を探す。銀行が業績の良い会社に「借りてください」と頼む一方、金を借りたい人々は事業計画を練って銀行に貸し付けをするよう説得する。銀行が金を貸すのは預けた金が増えると見込まれた相手だけ。貸付相手が長期的に安定した事業を営み、利益を生み出すことを見極めるのが銀行の仕事であるから当然である。貸し付けを受けた会社はその金で人を雇い、事務所や工場をつくり、資材や機械や道具を購入する。そのようにして金は有意義に世に回る。

一方で政府が人々から金を集めてばら撒けばどうなるか。人々から金を集めれば集めるほど、当たり前だが人々の手元から金はなくなる。生活で精一杯で貯金の余裕はない。人が貯金しなくなれば銀行は貸し付けに慎重になる。一般の人々は政府からばら撒かれた金で事業を起こすことはない。ある人は生活必需品を買い、ある人は酒を飲み、ある人はパチンコに行き、ある人は旅行に行き、ある人は服を買い、とそれぞれ思い思いに金を使い、それでおしまいである。

政府が人々から金を集めるのではなく、輪転機を回して金を刷ったらどうなるか。上の「パンの例」と逆の現象である。貨幣価値が下がり、10円だったパンは15円となり、20円となり、30円となる。辛い思いをするのは麻生ではなく我々庶民である。

安倍は経済を知らない。そのような人間が国のリーダーであるのは不幸なことである。

麻生は経済を知らない。そのような人間が政府中枢にいるのは不幸なことである。

だが安倍や麻生は原因ではなく結果である。安倍と麻生はこの国の経済無知の総和である。

「消費が経済を牽引する」という一億総勘違い

  • 2016.06.05 Sunday
  • 16:24
 

増税延期でも消費拡大は疑問、将来不安増大 
ロイター 6月3日(金) 消費の落ち込みを防ぎ、デフレ脱却を確実にする狙いで、安倍晋三首相が「新しい判断」として決めた消費増税の延期について、国内消費の増加には小売業界からも疑問の声が上がっている。増税見送りでも、消費の弱さのベースとなっている課題は解決されないうえ、増税を見送れば、社会保障の負担拡大など消費者が抱える将来不安の解消も遠のき、購買意欲がさらに委縮する悪循環に陥る可能性すらある。


前提を間違えるとそこから派生する論考は全てが過ちとなる。

日本で議論されている全ての経済論は誤った前提に基づいている。それは「消費が景気をけん引する」という前提である。

前提がそれだから、「ならばどうやって消費を促すか」の方法論での議論となる。

増税推進派も増税慎重派も増税反対派も皆この路線で思考し、議論している。そしてその議論は不毛である。所詮はケインズ経済信奉者、社会主義者、計画主義者同士の議論でしかないからである。

皆利口であることを装って消費を喚起する方法論を論じているが、実際のところ一番手っ取り早いのは、集めた税金を一万円札紙幣でヘリコプターに積み込んで晴れた日に上空から散布することである。人々は空から降ってきた紙幣を我先にとかき集めてそのまま店や居酒屋やパチンコに直行である。消費は活況を呈するはずである。

だがそれで景気が復活することはない。なぜならば消費をするためにはその前に富がなければならず、消費とは富の減少に他ならないからである。

人は何らからの消費をしなければ生きていくことができない。だから消費自体は悪ではない。だが問題は思考の順序である。

先ず富の蓄積があり、蓄積された富の投資があり、投資を受けた事業の成功があり、その成功による更なる富の創造があり、増大した富の恩恵として消費がある。

人々が消費をすることが出来る、というのはその前提として事業の成功がなければならず、その前提として投資がなければならず、その前提として富の蓄積がなければならない。

人がパンを食う前にパンそのものがなければならない。パンがある前にパンの原料や製造設備がなければならない。パンの原料や製造設備の前にそれらの購入資金がなければならない。その前にパンの原料や製造設備に投資するという意思決定がなければならない。その意思決定の前に資金の蓄積がなければならない。

人がパンを食うから企業がパンを作るのではない。これを理解するにはちょっとした思考の訓練が必要である。政府高官も名だたる大企業の経営陣も一様にこの勘違いにとらわれている。

企業や起業家が人々の思考と志向と嗜好を先回りして考えに考え、失敗の危険があるにも関わらずに蓄積された富を投じて原料や設備に投資するからパンがあるのである。

パンの会社が町中で行きかう人々を引き止め、「弊社がこのようなパンを製造したら必ず買ってくれますか?」と約束を取り付けてから製造に取り掛かり、作ったものを同じ人々に対して「さあ作ったんで、約束通り買ってもらえますか」と売りつけるわけではない。

正確に人々の思考と志向と嗜好を捉え、あるいは人々の思考と志向と嗜好を新たに創造したものは成功する。それらを見誤ったものは失敗する。成功を重ねるものは成長し、失敗を重ねるものは淘汰される。それによってこの世の資源は効率的に分配され、活用される。

基本的に民間はこのルールで動いている。それが適用されないのが政府である。

政府が国民から集めた税金であるカネをばら撒く、という行為はまさに一番の前提である富の蓄積を妨げることに他ならない。国民からカネを集めれば集めるほど投資資金は減少し、資金が減少すれば長期的な投資は減少する(一方でにわか銭を求める思慮に欠けた投資は増え、当然ながら失敗が生じる)。

日本経済復活への道は増税をめぐる議論からは全く見えてこない。誰も正しい前提に立って本質的な議論をしていないからである。いわゆる右も、いわゆる左も、全員が間違った前提で議論している。

一億総活躍社会ならぬ一億総勘違い社会である。

我々は転落の道を歩み続ける。

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