Smart Money Smart Kids 読了

  • 2017.04.23 Sunday
  • 18:40

デイブ・ラムゼーは全米を舞台にして「お金」にまつわるラジオ相談番組を展開する人物。レイチェル・クルーズはデイブ・ラムゼーの娘であり、父同様にパーソナル・ファイナンスについての著述家として活躍する人物である。

かつて、借金は恥であった。借金があることは後ろめたいことであった。借金は克服すべきものであった。

だが現代は借金の時代である。借りてナンボ、借りられるのが甲斐性の世の中である。政治はもとよりメディアから教育界まであらゆる局面において借金は称揚される。

本書の著者二人はそのような現代に蔓延する社会風潮に対して真っ向から否をつきつけ、
健全なる次世代のために現在子育て中の親に向けて「外れ者の生き方」を指南する。

著者曰く:
教育ローンは借金である。貯めてから進学すべし!
車のローンは借金である。貯めてから買うべし!
家のローンは借金である。貯めてから買うべし!
クレジットカードは借金である。捨てるべし!
あらゆる支払い義務は借金である。欺瞞を捨てるべし!

著者は借金は悪であり、その足かせからいち早く抜け出すべしであると断じる。そして親自身が現金主義の価値観をまずは身に着け、それを子供へと伝えていくべきであるという。

本書は勤勉、勤労、節制、規律といった価値観をいかに親から子へと受け継ぐべきかを説明する。本書は繰り返し強調する。子供は親を見ていると。子供は言われることよりも見ることから学ぶと。だからまずは親自身がしっかりすることが何よりも重要であると。

親が子へ「むやみに無駄遣いするんじゃないよ」と説教しながら自らは現金支払いできない高額商品を借金で買うということをやるならば、子は間違った価値観を学ぶことになる。親が子へ「ちゃんとお金は考えて使うんだよ」と説教しながら自らはその場の気分で買い物をしているならば、子は正しいお金の使い方を学ぶことは出来ない。

著者はひたすらケチケチとカネを貯めるのが好きなカネの亡者ではない。著者は「三通の袋」を推奨する。まず第一は「貯める」でも「使う」でもない。何かというと「与える」である。その後で「貯める」と「使う」が続く。著者は熱心なキリスト教徒である。キリスト教では収入の10%を教会に寄付したり恵まれない人々へ与えることが求められている。

著者は言う。この世の全てのものは神の創造物であり、神の持ち物であると。我々はその神の所有物を管理することを委託されているだけであると。だからカネにしがみつくことなく与えることが出来るのだと。本書はこの「与える」に関してかなりの紙面を割いて説明している。これは特筆すべきことである。彼らは自信をもって断言する。彼らの成功はこの信仰に根差した価値観が与えたものであると。

著者は子供に家事をやらせて対価としてお金を払い、そのお金を「三通の封筒」で管理させることで小さいうちから「与える、貯める、使う」の中でお金に対するスキルを磨かせることを推奨する。本書には子供時代から青年時代にかけてバイトも含めて徐々に扱う金を増やしつつスキルを磨かせ、立派にやりくりができる人物に育てるための哲学や手法がちりばめられている。

子供には自分で貯めた金で欲しいものを買わせるべし!
親は子供の将来の学費よりも先に自分の老後の資金を貯めろ!
子は必要ならば大学の学費を自分で工面すべし!

世の「常識」に挑戦するかのような言葉に目からうろこが落ちる。お金にまつわる状況が益々難しくなるこの世において、貴重な示唆を与えてくれる一冊である。

Smart Money, Smart Kids by Dave Ramsey and Rachel Cruze at Gateway Church

「森友問題」 教育の自由の危機

  • 2017.04.09 Sunday
  • 15:40

ここ数週間にわたり国会とメディアを賑わした「森友問題」とは何だったのか。
 

  • 小学校認可の経緯が不自然
  • 国有地売却の経緯が不自然
  • 補助金の受給経緯が不自然
  • 塚本幼稚園での「異常」で「偏った」愛国教育


これら疑惑に関して森友学園の理事長である籠池氏が国会喚問に呼び出され、「迷惑」をこうむった自民党が籠池氏を叩き、自民党と籠池氏の過去の癒着をネタに攻撃をしかけた民主党が自らの氏との関係を暴露されるという顛末に至った。双方叩き合いに明け暮れた数週間が経ち、いまやどうでもよくなった白けた空気が漂っている。

恐らくこのまま世の関心が薄れていき、この「森友問題」が表出させた本質的な部分は一顧だにされないまま立ち消えになるであろう。

塚本幼稚園の教育は問題ではない。その教育方針に賛同するか否かは個人の自由である。教育勅語を園児に暗唱させる教育を素晴らしいと思えば子供を入れればよいし、「安倍総理頑張れ!」の合唱が変だと思えば入れなければよい。

この「問題」の本質は、許認可制度と補助金制度の弊害、そして失われる教育の自由である。

許認可制度と補助金制度があるから「森友問題」がある。

許認可制度と補助金制度がなければ「森友問題」はありえない。

基本的に土地を所有するのが民間であり、国有地は国家防衛に関する一部の土地に限定しておれば、「土地売却の価格が適正であったか否か」などという論争は起こりえない。

教育における許認可制度と補助金制度は、公平中立を謳いながら実のところある方向性の政治的な偏りを押し付ける仕組みに他ならない。その偏りとは文科省と日教組が良しとする方向性である。彼らの基準に沿い、彼らの方向性を向く教育は保護され、補助され、優遇される一方、そっちを向いていない教育は否定され、不利な競争を強いられる。あるいは否定されないためには地方政府や中央政府との関係づくり(忖度や口利き)が必要となる。

しかし、いわゆる右もいわゆる左もこの側面に全く触れることなく泥仕合に興じる。それを眺める大衆はどちらかについて互いになじりあう。まさに一億総愚鈍社会である。

一億愚鈍社会から身を引き離してこの件を考えれば、民間教育に対する熾烈な破壊工作が行われていることが分かろう。

大阪府が森友学園に立ち入り調査に入り、小学校の許認可申請は取り消され、出資者や親(顧客)にも動揺が広がっている。制度と関係によって成功した籠池氏は制度と関係から遮断され、窮地に立たされている。

政府基準に合わない民間教育は攻撃に晒され、じわじわと絞め殺される。教育の自由はますます狭められている。

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