"Unfreedom of the Press" 読了

  • 2019.06.23 Sunday
  • 23:25



本書は米国保守派言論人マーク・レヴィンの新著である。レヴィン氏は本書において今日いわゆる主流メディアと呼ばれる大手新聞社やテレビニュース会社の偽善性を暴く。そして今日、「報道の自由」を盾に大統領とその家族に対する前例のない攻撃を日々展開するメディアこそがまさに報道の自由を脅かす存在であると断罪する。

氏はメディアの米国における歴史を振り返る。英雄的で愛国的なメディアが英国の圧力に屈することなくパンフレットの出版を通じて自由と独立を鼓舞した建国時代にまで遡り、その後、様々な党の宣伝機関となった期間を経て近代に入り、公平で客観的なジャーナリズムの体裁を整える一方でヨーロッパから流入した革新主義の影響を受けて完全に民主党のプロパガンダ部門になり下がるに至った経緯を辿る。

かつては事実を客観的証拠に基づいて伝えたメディアがその後、左翼イデオロギーに基づいて事実を捏造するプロパガンダ集団になっていった歴史的背景について、レヴィン氏はウッドロー・ウィルソン大統領やフランクリン・ルーズベルト大統領による強権的なメディアへの介入の数々を引き合いに出して説明する。

レヴィン氏はまた、主流メディアが過去において驚くべき隠蔽工作に加担していたことを示す事実を暴く。嘘と失敗とスキャンダルにまみれた民主党の歴代大統領を称揚する一方で共和党の歴代大統領を貶めることに余念がなく、近年では最も透明で開放的な政権を運営するトランプ大統領を「言論の自由の敵」と呼ばわる主流メディアがひた隠しにする極めて不都合な事実である。

1930年代のソビエト連邦におけるスターリンによる圧制とその結果として発生したウクライナの大飢饉とナチス・ドイツによるホロコースト ・・・ このふたつの出来事が発生している間、ニュースメディアを牛耳っていたニューヨーク・タイムズ紙とワシントン・ポスト紙は事実を掴んでいたにも関わらず、当時の反ユダヤ主義的なルーズベルト政権の意向を受けて沈黙を貫いた。結果としてこれらの何百万もの犠牲者を見殺しにしたのであった(この反ユダヤ主義は現在の反イスラエル報道に受け継がれている)。

またメディアはその後も民主党の暗黒の側面を隠蔽し続けた。ケネディ政権〜ジョンソン政権における東ドイツスパイとの情事スキャンダル、不当な国内スパイ活動、政府機関の政治的利用、レーガン政権時代にソ連と共謀して政権転覆を目論んだエドワード・ケネディ上院議員、大統領戦において中国共産党から資金援助を受けたビル・クリントン大統領、シリアに圧力をかけるジョージ・ブッシュ大統領の裏でアサド大統領と会談して国の正式な外交政策を妨害する挙に出たナンシー・ペロシ議員、そして国民を欺いてオバマケア法案を導入し、税務署を使って国内の反対派に対する嫌がらせを実行したオバマ大統領・・・。こういった民主党政治家の面々の国家反逆的な行動を隠し続けたのである。

そしてメディアは遂に「トランプ氏がロシアと共謀した疑惑」という旧オバマ政権と民主党による陰謀の片棒を担ぐことになる。結果的に根も葉もない濡れぎぬであることが2年間もの捜査で明白となったのであるが、これは現職の大統領に対する転覆工作であり、史上最大のスキャンダルに発展してもおかしくはない爆弾級の犯罪である。だが事実の報道という使命を忘れ、フェイクニュースの発信者となって久しいメディアは往生際悪く「トランプ・ロシア疑惑」に固執し続けている。

主流メディアは今後、ジャーナリズムの基本に立ち返ることができるのか。レヴィン氏は「その可能性は極めて低い」と断じる。そして氏は、主流メディアはプロパガンダ機関として報道の自由を更に危機に陥れることになろうとの予想のもと、自由と市民社会と共和主義を維持していくために、市民として何ができるのかを考え始めようではないか、と呼びかける。

本書によって多くの人々が主流メディアの真の姿を知り、目を覚ますことであろう。主流メディアからの呪縛から脱すれば、混沌とする情報の渦の中で事実を探し当てることができるようになるはずである。

主流メディアはトランプ大統領という特異なファイターに直面している。トランプ大統領は政治家然とした「正しさ」を身に着けていない。メディアをすっ飛ばしてツイッターで直接国民に語りかけ、CNNのジム・アコスタのような、自身をドラマの主人公と勘違いした人間を晒しものにして辱める。今まで主流メディアの不当な攻撃を唯々諾々と受けてきた共和党政治家にうんざりした保守派はトランプ大統領の「反撃する姿勢」に奮い立っている。

主流メディアがこのまま没落するとは思えない。彼らの悪あがきは今後激化するはずである。保守派とトランプ支持者に対し、なりふり構わぬ情報戦を仕掛けてくるはずである。そのような戦いの最中において本書を得た米国は幸運である。






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