共和党ディベート・ニューハンプシャー

  • 2016.02.07 Sunday
  • 21:26

ニューハンプシャー州での選挙を目前にしたディベートである。総括すると、ルビオが叩かれ、クリスティーとブッシュが善戦し、トランプとクルーズが上手く乗り切った、というところであろうか。

以下が大まかな内容である。




テッド・クルーズのアイオワ州勝利を受け、冒頭はクルーズへの質問。アイオワで2番手となったドナルド・トランプとの因縁の対決を誘導するものであった。



だが賢明にもクルーズはさらりとかわす。トランプは執拗に迫る。クルーズはかわす。

ホストのABCが次に試みたのはクルーズとベン・カーソンとの対決。だがこれもクルーズはうまくかわす。

クルーズはここ数日、アイオワ州選挙においてクルーズの選挙員が「カーソンは近々選挙運動を中止するのでカーソン支持者はクルーズに票を投じるように」と呼びかけたことについて汚いトリックだとして批判を浴びていた。当のカーソンのみならずトランプも出てきて「クルーズが勝ったのはカーソンの票を奪ったからだ」と連日ツイートし始めた。

だが事実は、最初にそれを報じたのはCNNであり、クルーズの選挙員が言及したのはCNNのニュース速報であった(後に誤報と判明したが)。自分が支持する候補者のために他の候補者から支持者を取ろうとするのは当たり前のことである。それが選挙の選挙たる所以である。

会場の人々が見守る中、クルーズは不当な非難に対して弁明しつつも誠実にカーソンに対する友情を示し、結果として誤報を伝えてしまったこと(誤報といっても微妙ではあるが)に対して真摯に謝罪する。意地を張らずに謝れる大人・クルーズのうまい演出である。

大統領は国家の顔である。ここで問われるのは実績も説得力も重要であるが、人格も極めて重要である。クルーズに対して連日のように罵詈雑言をツイートしまくるトランプの人格が大統領職にふさわしいかどうかも含めて判断されることになろう。

今回の目玉はルビオ叩きであった。ルビオを熾烈に叩いたのはクリスティー。前半、クリスティーは不法移民問題にからんでエサに食らいつく野良犬のような勢いでルビオに噛みつく。

ルビオは制御を失い、不法移民法案に中心人物として関わったことについての言い訳を述べた後、質問とは関係無いにも関わらずオバマがいかに意図的に国家を衰退させているかを力説する。しかもこの後同じセリフを3回も繰り返してしまった(最後はブーイング)。いつものスムーズなルビオの姿がない。これは痛々しかった。

北朝鮮のミサイル発射
クルーズはそもそも北朝鮮が核兵器を持つにいたった原因が民主党・クリントン政権の融和外交にあること、当時の交渉責任者が現在オバマが進めているイランとの合意の交渉責任者であることを指摘。「もし今大統領になったら北朝鮮に先制攻撃するか」という司会者の愚問をかわし、ならずもの国家が核兵器を持つ前に対処することがいかに重要であるかを述べる。

トランプは「中国は北朝鮮を完全に操っている!中国に対処させる!」と息巻く。どうもこの人の国際情勢認識は大雑把である。

ケーシックが「もし日本が北朝鮮に対して軍事力を行使しようとするならば、我々は彼らに対して支持を表明すべきである」と述べ、視聴者が拍手で応じたのは日本人として興味深い部分である。このような場面から日本人は米国における日本の再軍備に対する温度を感じることができる。

公的社会保障
トランプは「オバマケアは最悪だ。私はこれを撤廃させ、素晴らしいプランに置き換える」と述べる。「私は公的医療制度には反対だ」と前置きしつつ、「だが、路上で人が野垂れ死にするのを見てみぬふりをするわけにはいかない」と続ける。

路上で人が野垂れ死に云々、というのは人心を煽って医療を切り口に管理社会を導入しようとするマルクス主義者の常套句である。トランプの心が実はリベラルであることを示すものである。

オバマケアの全廃を公言し、市場経済による医療保険の実現を目指すクルーズをトランプが「ハートが無い」と批判したことをどう思うか、と司会者がクルーズに問いかける。

クルーズはトランプの名を言及せずに本質に迫る。

「公的医療制度は配給制度である。医療保険を政府がとりしきれば、必ずや治療行為は政府による配給によってしか手に入らなくなる。病気の治療しかり、怪我の治療しかり、終末医療しかり。医師不足も発生する。これは公的医療保険制度を実施している多くの国々で共通して見られる惨状である。オバマケアを完全なる撤廃と、^緡妬欷韻糧稜篌由化による低価格化、▲悒襯后Ε察璽咼鵐亜Ε▲ウント(非課税の預金口座)の拡大、J欷渦弾と雇用の切り離しを提唱する」。

クルーズは「心が無い」というトランプの煽り文句を無視して実質的な議論に集中したわけである。

政府による土地接収(エミネント・ドメイン)
常々トランプは土地接収法を称賛してきた。それがなければ道路もなければ橋も無い。どうやって社会は成り立つのかと。それだけを聞くともっともらしいのだが、今回はそれは通用しなかった。この部分では今回ジェブ・ブッシュがいつになく活躍した。

トランプは自身が経営するカジノの駐車場を拡張するのに邪魔になっていた老女の住宅をどけるためにこの土地接収法を使った。これはクローニー・キャピタリズム(民間と政府の癒着)の良い例である。

確かに公共のための道路や橋をつくるのに土地を接収する必要が生じる場合がある。その時には政府が正当な対価を払って個人から土地を買い上げるのであるが、あくまでもそれは「公共の目的」に限ってである。

トランプは民間の土地を、別の民間である自身の目的のために、政府権力を使って土地を接収したのである。トランプは混同しているのか、分かっていてしらばっくれているのか分からないが、この辺りが保守主義の基本である個人財産の保護と政府権力の限定に対する理解が曖昧であることを示する部分である。

保守主義
「貴方にとって保守主義(コンサーバティズム)とは何か?」という質問に対し、トランプは答える。

「カネをコンサーブすること。そして富をコンサーブすること。そして上手にカネを使えるように賢くなること」。

お金持ちになりたい人向けのセミナーのような文句である。トランプという人物がいかに保守主義から遠いかを示すものである。




それに対し、マーコ・ルビオが端的に答える。

「保守主義とは3つの柱 - ‐さな政府(憲法によって権限を制限された中央政府)、⊆由な経済(莫大な富をもたらし、富者を引きずり降ろさずに貧者を富者にすることのできるシステムである資本主義)、6い国防 - からなる哲学である」。

ルビオは租税にも触れ、税率を下げることがいかに社会の富を増大させるかを説く。ブッシュとクリスティーも調和して良いことを言う。

「私はもっともっと百万長者が生まれてもらいたい」「富者に対して課税すれば結局は税収を減らすだけだ」。

対イスラム国戦略
司会者はイスラム国に対する絨毯爆撃を主張するクルーズに説明を求める。

クルーズは答える。

「イスラム国に対して圧倒的な空爆をする。これは無差別にということではない。油田設備、オイルタンカー、司令塔、通信設備、道路や橋といったインフラを集中攻撃するということである」。

「一般市民の犠牲はどう考えるのか?」という質問に対しては全体像を示して答える。

「.▲瓮螢は常に軍事力行使を最終手段としている。現在の交戦規定は危険に身をさらす兵士達の手を後ろ手に縛りつける不道徳なものである。0掬歸な武力で敵を殲滅して我々は素早く身を引く。(ネオコンのように)国家づくりのような不可能な事業に手を染めることなく、軍人に明確な指示を与えて実行する」

公約の実行
司会者はクルーズに問いかける。「大統領は議会とも連携して政策をすすめなければならない。既存の政治を批判する貴方はどうやってそれを成し遂げるのか?」




合衆国憲法に通じたクルーズは3つの道を示す。

「‖臈領令 - オバマ大統領の発布した大統領令は新たな大統領令によって取り消すことが出来る。外交 - 国家の代表の姿勢は他国の動き方をも変える。レーガンが就任したその日にイランは人質を解放したように。N法 - これは議会との連携が必要である。議会を鼓舞してオバマケアの撤廃と国税庁の廃止を主導する」。

「俺はアメリカを偉大な国にする!」と言い放つだけのトランプとは対照的である。

国境守備
麻薬問題について質問を受けたクルーズは、自らの家庭の悲話に触れる。クルーズの姉は父親の離婚によるショックから立ち直れずに麻薬に手を出し、子供を残したまま摂取過多で死亡。静まる会場に向かってクルーズは話を国境守備へと続ける。

「ヘロインを持ち込むメキシコのギャングを阻止しなければならない。そのためには何をおいても国境守備である。我々はこの麻薬蔓延を何としても止めなければならない」。

社会問題
財政的問題、外交的問題と並ぶ課題である社会的問題(結婚、生命)について司会者がマーコ・ルビオに問いかける。「同性婚が若者達の支持を集めています。どうやって彼らに保守のメッセージを伝えますか」。




今回のディベートでルビオが光る場面である。

「何千年も続いてきた一男一女の結婚を私は信じている。それによって社会は発展してきた。それがゆえに私は頑迷で差別主義者となるであろうか。そうは思わない」。

「生命については・・・新生児の生きる権利と、女性の権利と、二つの相反する権利があるとすれば、私は生きる権利を優先する。ところで民主党の候補は彼らのディベートにおいて一回もこのことを議論していない。ヒラリー・クリントンはあらゆる中絶を合法化すべしと主張している。それが女性の権利であると。生命を守ろうとする我々と、殺人を合法化しようとする彼らと、過激主義者は彼らのほうである。私はこのことで心にないことを言うくらいなら選挙で負けることを選ぶ」。

大きな拍手で会場が沸く。

最終弁論
クルーズはしめくくりに述べる。




「バイオ・エタノールへの政府補助といったクローニー・キャピタリズムによる目先の恩恵よりも国の将来を重視するアイオワの人々が立ち上がった」。

「我々は原理原則を堅持しなければならない。そして憲法に立ち返らなければならない。それによって我々は勝てるのだ」。

随一の保守主義者らしい強力なしめくくりである。

トランプが最後を締める。

「クルーズが勝ったのはカーソンの票を奪ったからだけどね。。。」

会場ブーイング

「俺たちは勝て!勝て!勝ちまくる!」

この往生際の悪さと大雑把さ。会社の社長にはちょうどよいのであろうが、大統領としては。。。

だが支持率は依然として高い。

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当ブログでは米大統領選の様子を伝えるが、分析や予測はしない。なぜならば、分析する能力も予測する能力も無いからである。

当ブログは「保守主義提唱者の随想」であり、目的は保守主義を語ることである。

本選挙における随一の保守主義者であるクルーズがこれから続く予備選挙でどのくらい勝つか、あるいは負けるか、そして最終的に指名候補を勝ち取るかどうか、それらは全く分からない。だがアメリカにとっても我が国にとっても世界にとってもクルーズが大統領になるのが最も望ましい、というのが当ブログの意見である。

本選挙は今後も保守主義という観点から動向を追っていきたい。

テッド・クルーズ、アイオワ州を制する

  • 2016.02.03 Wednesday
  • 01:32

アイオワ州で行われた共和党予備選挙の結果が出た。

直前までメディアが発表する様々な「支持率」ではドナルド・トランプが首位に立っていた。ツイッター上でも「勝つのは絶対にトランプだ」「トランプの圧倒的優勢は数字を見れば明らかだ」というツイートが押し寄せていた。

だが選挙を制したのは本選挙戦の並みいる候補者達の中で最も一貫した保守であるテッド・クルーズであった。

テッド・クルーズ勝利宣言




以下要旨

アイオワ州は宣言した!

候補者を選ぶのはメディアでもワシントンDC(中央政府)でもロビイストでもなく、我らが人民であるということを!

人権は神が我々に与えられたものである。そして政府の役割はその人権を守ることである。

アメリカを偉大な国たらしめた自由な経済、憲法に裏付けられた自由、そしてユダヤ・キリスト教の価値観を再興する時がきた。

80万もの有志による平均67ドルの心づけ、1万2千人ものアイオワ州のボランティア、20万人にものぼる全国のボランティア、これこそが我々の草の根運動の強だ。

保守主義者、福音派、リバタリアン、保守的な民主党員・・・古き日のレーガン連合が今蘇ろうとしている。ワシントンDC(中央政府)は立ち上がる人々を恐れている。

オバマ・ケア(医療保険制度改革法)を撤廃したいなら

不法移民恩赦に反対し、国境を守りたいなら

命の尊厳、伝統的結婚、信教の自由を守りたいなら

銃所持の権利を守りたいなら

イスラエルへの支持を堅持したいなら

この国の安全を守りたいなら

これらのために戦ってきた人間を選ぼうではないか!

国家の最大の役割は国の安全を守ることにある。現在我々を脅かす最大の勢力はイスラム過激派。私が大統領になったら、アメリカに対するイスラム聖戦に参加する者は自らの死刑宣告に署名したと知るべし。

私は軍隊の後ろ盾となる。最前線で戦う兵士達の腕を愚かで不道徳な交戦規定が縛る状態は2017年1月20日に終わる。

朝はもうすぐやってくる。


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トランプはこのまま失墜するのか。それともニューハンプシャーで挽回するのか。善戦したルビオが上昇するのか。ブッシュは脱退するのか。

まだまだ戦いは序盤戦である。


追記:
前回の大統領選においてはリック・サントラムを支持したが、今回は見る影もない。時代の変化は激しい。当時の候補者の中では氏とミシェル・バックマンが最も保守的であった。だが候補者の顔ぶれは変わり、状況も変わった。

サントラムのアイオワ州のPrecinct Chair(選挙区長?)がレポーターに選挙結果を見せ、レポーターはサントラムに一票も入っていないのを見て「あれ?貴方自身は投票していないのですか?」。選挙区長は笑いながら「いやぁ・・・書こうかと思ったらペンが出なくなっちゃって・・・人にもらうのもアレだし・・・書けなかった・・・へへへ」。選挙区長ですら投票しようとしない現状・・・時が経つのは早い。




 

共和党ディベート7回目(トランプ抜き)

  • 2016.01.30 Saturday
  • 20:04

今回はドナルド・トランプ抜きのディベートである。最初の頃、私はドナルド・トランプなど数回後には姿を消し、人々の記憶からも消えるであろうと考えていたがその予想は全く間違っていたことになる。

ここ数週間、トランプはテッド・クルーズの支持率の伸びに危機感を感じ、それまでは関係良好だったクルーズに対して暴言を吐くようになった。トランプはツイッターを使って子供じみたツイートを次々と繰り出した。

これはその代表である。クルーズの著作表紙の画像を編集してハゲっぽくし、「真実の時」を 「嘘をつく時」に変えている。支持者がこれをやるのはアリである。クルーズの支持者もSNS上で相当な悪さをしている。だがこれをツイートしているのは大統領候補者本人である(ツイート元)。こんなのは小学生同士で喧嘩相手に「つるパゲー!」とか叫んでいるようなものである。




これはどうみても政策論争ではない。人格攻撃である。それも小学校低学年並みの。

このようなトランプの挙動を見て、良識ある保守派には「トランプのような人間が大統領になったらアメリカもおしまいだ」と言い始めている人間もいる。それでもクリントンやサンダースよりはマシだから共和党指名を獲得したら支持する、という人間ももちろんいる。

私はツイッターで保守派米国人との相互フォローが多いため、時折トランプ支持者に対して「こんなんでいいの?」と茶々を入れるのであるが、彼らの中ではトランプは神格化されており、1メートル幅のコンクリの壁のようにその支持は揺るぎない(あるいはそのように感じられる)。「アメリカを救えるのはトランプだけだ」と念仏のように返ってくる。

今回の主催者であるフォックステレビであり、3名の司会者の1人、女性アンカーのメーギン・ケリーは以前のディベートでトランプに対して意地の悪い質問をした。それが発端で二人の仲はかなり険悪であった。トランプは数日前から「メーギン・ケリーが司会をするなら俺はボイコットする」と公言していた。そしてその通りになったのだが、トランプが欠席したのは実はテッド・クルーズとの対決に恐れをなしたためで、現在のリードを維持したまま来週月曜日(2月1日)のアイオワ州予備選挙を勝ち逃げしようという魂胆もあるという観方もある。

トランプはその代わり共和党ディベート会場から数キロの距離で「退役軍人を支持する会」なるものを開いた。「あいつらは『おしゃべり大会』に夢中だが、俺は国のために戦った皆さんを大事にする」というアピールをしたかったのであろう。

ディベートは「おしゃべり大会」ではない。これは候補者が過去から現在にかけての哲学、信念、人柄をあらゆる方向から試される場である。このプロセスによって偽物は炙りだされ、本当の保守主義者が見出されるのである。

さて、今回のトランプ抜きディベートは良く言えば比較的落ち着いた中で行われ、悪く言えばややドラマ性に欠けるものであった。既に支持者を決めている人間にとってはそれを追認するものになりこそすれ、判断を大きく揺さぶるものではなかった。

要点としては、クルーズとルビオの戦い、そしてルビオとポール、ブッシュとの戦いであった。

ルビオは前回に引き続き再び不法移民問題でクルーズを引きずり降ろそうと試みたが失敗に終わった。クルーズは不法移民を支持者として取り込もうとした民主党議員と、それに迎合したルビオからなる「8人のギャング」の真意を暴くため、彼らが通過させようとした”移民改革”法案に改正条項(仝什澆い詆塰^槎韻梁攤澆魑可、彼らへの市民権取得への道を永久に閉ざす)を提案した。この提案は退けられ、法案そのものは潰えることとなった。この「8人のギャング」による法案が葬られたのはひとえにクルーズの功績であった。今、ルビオはクルーズの改正条項の,梁減澆鯢死で「暴いて」いるのだが、もうこの件でのルビオの負けは確実である。

旗色悪しと判断したルビオは「国防に強いルビオ」を売り込もうと「我々が直面する脅威であるイスラム原理主義」に話を振る。だが、すかさずランド・ポールが「でも不法移民に市民権を与えようとしているようでは国防もヘッタクレもないよね」と突っ込む。不法移民受入派であるブッシュも突っ込む。「ルビオはいま私から距離を置こうとしているが、当時も今も、あの時のルビオを支持している。だがルビオは人気取りのために立場を変えている。それでは本当の保守とは言えない」と。ブッシュが不法移民問題でルビオを叩くというのも漫才のような感じであるが、ルビオ叩きとしては効果的である。




不法移民問題と国防問題は関連が強い。ルビオの立場は弱い。

クルーズは対イスラム国について改めて立場を強調した。

「私はイスラム国に絨毯爆撃をしかけて完全に破壊し尽す。そしてそれを誰に対しても謝るつもりはない。我々は湾岸戦争において絨毯爆撃を実施した。当時米軍は一日に1100回もの爆撃を行った。現在オバマが行っているのは一日15〜30回に過ぎない。オバマは米軍の規模を以前の半分以下に削減している。私は強い米軍を再興する」




クルーズはオバマケア(医療保険制度改革法)の撤廃を明言する。官製の制度を排して市場経済原理を導入し、〔唄岼緡妬欷韻僚6をまたいだ売買を合法化する(今はそれができないからスケールメリットが出ず、保険料が高い)、各人が非課税で預金できるヘルス・セービング・アカウントを認める、0緡妬欷韻鮓柩僂ら切り離す(第二次大戦中に社会主義者フランクリン・ルーズベルトが雇用主が社員に医療保険を与えるという制度を導入した)。



司会者がクルーズに質問する。「トランプ氏は最近のインタビューで(下)貴殿を”意地の悪い奴で誰からも好かれない”と表現していますが、どう思いますか?」



クルーズは答える。「私は確かにキャリアの長い政治家ではありません。しかし私が誇るのは政界でのコネではなく、私の選挙運動に参加してくれている全米2万人ものボランティアの方々です。そして私が上院議員としてすべきは政界の同僚達と仲良くすることではなく、2千7百万のテキサス州民に約束したこと - 真実を伝え、やると言ったことを実行する - を守ることです」



クルーズが次に振られたのは「エタノール(バイオ燃料に対する政府補助の是非)」の話題である。

来る月曜日に予備選挙が行われるアイオワ州ではコーンの栽培と、そのコーンを使ったバイオエタノール製造が盛んである。ドナルド・トランプはクルーズがバイオエタノールに対する政府補助に反対するのを引き合いに出して非難した。

「皆さん!エタノール作っていますかあーッ?作ってるよね!エタノール!メチャクチャ大事だよね!なんだけど・・・・テッド・クルーズってのがエタノールに反対してるんだなぁ、これが。たぶん石油会社からガッポリとカネもらってるんだろうね・・・」




「真実を伝える」というクルーズの真骨頂が試される瞬間であった。アイオワ州民、そして全米の共和党員はクルーズの言動を注視している。政府補助金で潤っているに決まっているアイオワ州民におもねるのか、それとも・・・

クルーズは勇気と信念を示した。

「石油、石炭、天然ガス、原子力、ソーラー、風力、そしてエタノール・・・全ての神から与えられたエネルギーにチャンスを与えるべきです。しかし、中央政府が依怙贔屓をするべきではなく、補助も使用義務化もするべきではありません。私の税制(フラット税)においてはあらゆる補助金が廃止されます。それは石油や天然ガスもです。私がエタノールに反対?それは嘘です。私が反対するのは中央政府が勝者と敗者を決めることです。むしろ私はエタノールの使用上限を定めているEPAの規制(10%のBlend Wallと呼ばれるガソリンへの配合上限)を取り払います。それによって市場は60%も増加するのです」




クルーズの答えはアイオワ州民から拍手喝采で迎えられた。

言いにくいことをキッパリと伝え、かつ希望を示す。これこそが国家のリーダーに求められる資質である。

来る月曜日で選挙の趨勢が決まるわけではない。これからも戦いは続く。だが重要な一歩であることは間違いない。


追記:

トランプがいない中ではクルーズが首位のため、以前のトランプの位置である中心に立つことになった。クルーズは冒頭にトランプを真似して「みんなで私を意地悪く攻撃するなら、もう出ていきますよ!」と言った。それに対して司会者のクリス・ウォラスが「別に意地悪じゃないと思いますけど」。ルビオが「私はなにがあっても出ていきません」。冗談のつもりだったのだが残念ながらスカってしまった。

アイオワ州選出の下院議員、スティーブ・キングがクルーズのエタノール政策を心配するアイオワ州のエタノール製造者に対してクルーズの政策を説明する。「エタノールの補助は5年間でフェーズアウトして最終的に無くす。だが石油の補助も無くす。そしてEPAのエタノール使用上限も撤廃する。これで公平だ。その後勝者・敗者を決めるのは市場だ」。スティーブ・キング自身は従来エタノール補助に賛成する立場であったがクルーズに説得されたと思われる。日本のノーキョーにもこういう動きが必要である。



 

共和党 ディベート 6回目

  • 2016.01.16 Saturday
  • 21:37

2016年米大統領選挙、共和党候補者によるディベートは計12回予定されているが、今回は6回目である

共和党候補の首位がかなり固まってきた感がある。ドナルド・トランプ、テッド・クルーズ、そしてマーコ・ルビオ。

前回に続き今回も大きく点数をあげたのはテッド・クルーズであった。テッド・クルーズは並みいる候補者の中でも最も一貫性のある保守主義者である。キリスト教指導者のジェームズ・ドブソンや人気テレビ番組「ダック・ダイナスティ」の出演者、フィル・ロバートソンといった、アメリカ保守のコアなキリスト教精神を象徴する人々からの支持を取り付けたクルーズ候補は自信に満ちている。

出生証明問題

ここ数週間支持率をじりじりと上げるクルーズ候補に焦りを感じたドナルド・トランプは明確に対クルーズ攻撃姿勢をとるようになってきた。そのネタの一つが「出生証明問題」である。クルーズの父親はキューバ移民であり、クルーズ自身の出生はカナダである。

この出生がためにれっきとしたアメリカ人であるクルーズには大統領選に出馬する資格が無いと主張する人々がいるわけであるが、トランプがここ数週間この陰謀論に取りつかれてしまった。これは非常に子供じみた低レベルな議論であり、この時点で俎上に上げられたのはよいことである。

クルーズは、トランプがこの「問題」で根拠としているローレンス・トライブ(ハーバード大学教授)なる人物が極左であることを暴露した。そして出生証明論にこだわれば、母親がスコットランド人であるトランプ自身の資格すら危うくなることを指摘し、会場は爆笑。

クルーズは今回のディベートでこの「出生証明問題」をかなりの部分破壊したと見てよいであろう。

ニューヨークの価値観

最近クルーズはあるインタビューで、ニューヨークで生まれ育ったトランプの価値観はまさにニューヨークのそれであり、暗にアメリカのコアである保守主義とは相いれないことをほのめかした。司会者はそれを説明するようクルーズに求めた。

クルーズはそれに応え、ニューヨークの価値観が同性婚や中絶といった左翼リベラリズムに支配されていることは誰もが知る常識であると説明した。それを静かに聞き終わったトランプは厳かに反撃を開始する。

「9.11で国際貿易センターが崩落したとき・・・あの惨劇を・・・ニューヨークの素晴らしい人々は・・・驚嘆すべき努力で対応した・・・私は見た・・・」

会場は大拍手。クルーズも素直に拍手。

「ニューヨークの人々は戦って、戦って、戦った・・・死の臭いが立ち込めるなかで」

「(ニューヨークの人々に対して)すごい侮辱だよね」

会場は大声援で沸き、クルーズは静かに引き取った。




この一幕について、クルーズが墓穴を掘ってキツイしっぺ返しを食らったと報道されたが事実はどうか。

クルーズが言及した根拠はこの映像である。




トランプは現在売り出している保守派のイメージとはだいぶ違うことを言っている。かなり「ニューヨークの価値観」を押し出しているのである。

ディベートで言ったことは永久に残り、検証を加えられる。「トランプ勝利」に見えたこの一幕は後々トランプを祟ることになろう。

中国と日本

トランプは中国と日本を手厳しく責める。この二つの国は通貨を操作して(人為的に自国通貨を弱くして)アメリカ市場にモノをダンピングしていると。

それは正しい。日本では安倍政権のアベノミクスが通貨安をもたらし、それが輸入品の物価高を招いている。ファシスト国家中国の通貨操作は言うまでもない。

だが問題は対応策である。トランプはそれに対し、「関税を上げて自国の産業を守れ」と主張する。これは経済を知る者なら破滅への道であることは常識である。

ルビオは保護主義政策ではなく、自国の規制(環境規制やオバマケア)を撤廃することで自由化し、強い経済を再生することで企業の回帰を促すことを主張。まともである。

クルーズも応え、保護主義を避けつつ税制を簡略化することで経済を活性化させることを提唱する。

トランプは「それはいいけど、時間かかり過ぎだよ。その間に俺たちはやられちゃうよ」と食い下がる。

トランプはどうしてもこのあたりは「不動産屋のオッサン」の域を出ない。

ルビオ対クルーズ

3位に上昇したルビオはクルーズに噛みつく。不法移民問題で不利な立場に立たされるルビオは前回に引き続き「不法移民に対する立場を巧妙に変えて選挙民を騙す政治屋クルーズ」の演出を試みたがクルーズは強烈に叩き返した。この問題でのルビオの立場は更に弱いものとなった。

ルビオはマシンガンのような高速トークでクルーズとの多くの争点をいっぺんに吐き出す。それはそれでテレビ画面での視覚的効果はばっちりであるが、必ず後から人々の検証を受けることになる。保守界のオピニオンリーダー、マーク・レビンは早速Conservative Review誌にてかなり手厳しくルビオの嘘を指摘している。こういうのはじわじわと効いてくるのである。

だがルビオが指摘した問題の中にはいくつかの着目すべき争点が含まれていた。特に税制については深堀してほしかった。

ルビオはクルーズの税制、16%のビジネス・フラット税が実質的にヨーロッパで行われている付加価値税(VAT)であると指摘する。付加価値税は大きな政府をもたらすものとしてアメリカ保守界では嫌悪の対象である。

クルーズの税制はレーガンの経済顧問であったアート・ラッファーからも高く評価されており、その内容は注目に値する。

クルーズは「売上税として課税させるVATではなく企業に課税するビジネスタックスだ」と説明したが、途中で司会者に切り上げられてしまった。果たして実際はどうなのか。今後の争点となろう。

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クルーズは最後を力強く締めくくる。

「アメリカ兵の多大な犠牲をもたらしたイランに1000億ドル以上もの金を与えるような惨めな政治は2017年の1月21日に終わる。陸軍、海軍、空軍、海兵隊、そして命をかける警察や消防の人達。あなたがたを私は守る」

まだまだ中盤、しかもそれは共和党の指名候補選びであって、そこから更に民主党候補者との対決が始まるわけである。候補者の強みと弱みが自ずから露呈することになり、現在の言行と過去の言行が微に入り細に入り検証される。

これからもっと面白くなる。実に見どころのある政治劇である。

共和党ディベート 5回目

  • 2015.12.21 Monday
  • 01:38

今回のディベートも前回に続いてなかなか良いディベートであった。ホストはCNNであったが司会者が出しゃばる場面がそれほど無く、重要な争点である国防について各候補が論じることができた。

今回の討論会での一つの目玉はテッド・クルーズとマーコ・ルビオの「不法移民問題」をめぐる争いであった。ここ数週間、ルビオ陣営はこの問題に関してクルーズに対する攻勢をかけてきたが、今回のディベートはまさに両者の対決の場となった。




結論から言えばクルーズの圧勝である。討論会はその場限りではない。候補者が発した言葉はその後真偽がチェックされる。その場で都合のよい言い逃れをすれば後でしっぺ返しが来る。ルビオは討論会でもやられたが、討論会以降も真実ではないことを言ってしまったツケを払うことになろう。

2013年、ルビオは左翼民主党議員(”8人のギャング”と呼ばれる)と組んで不法移民に市民権を与える法案(アムネスティ法案)を通過させようとしていた。だがそれを阻んだのがクルーズであった。クルーズは保守のジェフ・セッションズ議員、スティーブ・キング議員、マイク・リー議員らと組んで改正案を提案した。その改正案とは「”塰^槎韻梁攤澆魑すが∋毀姥△詫燭┐覆ぁ廚箸いΔ發里任△辰拭

ルビオや民主党議員らはこの改正案を拒否して議会採決へ。結果として”8人のギャング”の法案は議会の支持を得られずに葬られた。

クルーズの改正案はどのような意味があったのか。「市民権を与えない」とは、言い換えると「投票が許されない」ということである。不法移民で共和党に投票する者はいない。逆に言うと不法移民に市民権を与えれば膨大な数の民主党支持者が確保できるということである。クルーズはこの隠れた意図を暴露してこのアムネスティ法案を潰したのであった。

だがここにきてルビオ陣営はクルーズの改正案の「‖攤澆魑す」のほうだけを取り上げ、クルーズも結局はルビオと同じ立場であった、あるいは五十歩百歩であった、と喧伝している。「なのに自分だけが正義ヅラしているこのクルーズという男はとんでもない偽善野郎だ」と。

だが両者の違いは明確である。クルーズは討論会でこのように表現した。

「私とルビオの立場を同じとするのは『消防士と放火魔は両者とも現場にいたから同類だ』と言うのと同じである」

ルビオはアムネスティ法案を民主党議員と結託して通そうとし、クルーズがそれを潰したのである。

中東イスラム”難民”の波がヨーロッパを襲い、いまやカナダに迫ろうとしている。ついこの間もカリフォルニア州でイスラム教徒によるテロがあったばかりである。国境守備はまさに国防の問題に直結する。それだけアメリカ人は非常に不法移民問題に敏感になっている。ルビオにとって非常に大きな失点であった。

一方でクルーズにとっては大きな得点となった。クルーズは介入主義的なネオコンでもなくリバタリアンに見られる孤立主義でもない、レーガンの流れをくむ保守本流の外交・国防政策を明確にした。

クルーズの戦略は以下のとおりである。

「イスラム国」やアルカイダが跋扈する国々からの全ての移民を3年間凍結する。シリアへの大規模な地上軍派遣はせず、「イスラム国」に対抗するクルド人勢力に武器を供与する。「イスラム国」の拠点を圧倒的な戦力によってじゅうたん爆撃して完全に撃破する。アサド政権の転覆はしない。もしアサド政権が倒れれば「イスラム国」に置き換えられるだけである。「イスラム国」をまず殲滅し、それからあらゆる手段を講じてイランを叩く。

クルーズの外交戦略は「アメリカ第一主義」である。アメリカの国益が第一であって、「中東の民主化」や「独裁政権の転覆」ではない。これはウッドロー・ウィルソン的な介入主義からの決別である。

ウィルソンの介入主義はネオコンの思想にもつながる。世俗的独裁者であったリビアのカダフィ大佐とエジプトのムバラク大統領が政権から追われた結果、両国はイスラム過激派勢力が支配することとなった(その後エジプトは軍人のシシ大統領が政権を奪取してイスラム原理主義と戦っている)。

「中東の春」ともてはやされた中東の政権転覆はオバマとヒラリーの政策であるが、多くのネオコン系共和党員から支持された。

テッド・クルーズは保守本流の見地から、ランド・ポールはリバタリアンの見地からルビオを挟み撃ちにし、中東を混乱に突き落とした介入主義的左翼及びネオコン陣営に位置しているのがルビオであることを視聴者の目に鮮明に映し出した。事実、ルビオはオバマ政権のカダフィとムバラク両政権転覆を強く支持していたのであった。

ルビオは「イスラム国」の勢力拡大の根本原因をアサド政権の残忍性にありとしているが、これは大きな間違いである。フィオリーナが述べるとおり、2011年にオバマ政権が軍人達の忠告を無視して時期尚早なイラク撤退を行った結果「力の空白」が生じてイスラム過激派勢力が入り込み、「イスラム国」へと成長したのである。

イスラム・テロとの戦いにおいての最大の障害は、オバマ政権が広める「PC(政治的な正しさ)」である、とクルーズは言う。問題がイスラムにあることは明白であるにも関わらず、オバマ政権はテロを語るにおいて「イスラム」を名指しすることができない。そのため焦点が絞れずにテロとは何の関係も無い一般人のプライバシーを侵害する一方でテロを未然に防ぐことができない。

 
  • 堅牢な国境守備を主張するクルーズと国境開放を主張するルビオ。
  • イスラム・テロリストに焦点を絞った監視体制強化を主張するクルーズと無差別な監視体制を主張するルビオ。
  • アメリカ第一主義を主張するクルーズと介入主義を主張するルビオ。

今回の討論会において両者の立場の違いが鮮明になった。

クルーズは上がり、ルビオは下がるであろう。ドナルド・トランプの立ち位置はどちらかというとクルーズに近い。トランプは相変わらず高い支持率を誇るが、これは人々の職業政治家に対する嫌気を反映したものであるが、「不法移民に対する強い姿勢」という”一発芸”が時流に乗って受けているためである。

このままトランプは邁進するのか?

トランプは大企業を率いる人物であるから相当な人物であることは間違いないが保守ではない。保守主義という基軸が無いから発言のブレが目立つ。

モハメッドの風刺画コンテストを開いてテロリストの標的となったパメラ・ゲラーを貶し、同性婚の結婚証明発行を拒んで逮捕されたキム・デイビスを明確に支持せず、エタノール燃料補助金制度やアファーマティブアクション(非黒人への逆差別)を持ち上げたり、大きな政府主義の共和党指導部に強硬に対抗するクルーズを「偏執狂(maniac)」と呼んだりと。

今後も出てくることであろう。いい加減に人々も「気がつく」ころではなかろうか、と思っているのだが、どうなることやら。

いずれにしても年末・年始にかけてクルーズが上昇していくことは間違いない。要注目である。


追記:カーリー・フィオリーナは口出しオバサンである。人が喋っているところでいきなり割り込んでくる。だがフィオリーナは外交には強そうである。北朝鮮の金正恩をどうするか、という質問に対して答える。「北朝鮮は異常な国であり、隣の中国を使って圧力をかけていく。そのために先ずは中国に圧力をかける。サイバー戦争の報復をし、オーストラリア、韓国、日本、フィリピン等と連携して中国を包囲する」。フィオリーナはロシアも明確に敵として認識する。周辺国に兵器を送り込んでロシアに圧力をかけると。この点弱いのはリバタリアンのランド・ポールである。

共和党 ディベート 4回目

  • 2015.11.22 Sunday
  • 01:28

4回目となるディベートが行われた。これまでの泥仕合から一転し、素晴らしい討論会となった。司会者が出しゃばって長々と演説することもなく、対抗者ぶって候補者に対して議論をふっかけるでもなく、候補者同士での子供じみた喧嘩をけしかけるでもなく、淡々と始まり、中身のある議論をし、終わった。討論会とはこうあるべきである。

前回同様、討論会は支持率に従って2回に分けて行われた。リンゼイ・グラムとジョージ・パタキは支持率が低すぎて招待されなかったようである。第一部はリック・サントラム、クリス・クリスティー、マイク・ハッカビー、ボビー・ジンドールが出ている。この討論会の後、これを書いている時点でジンドールは脱退した。

この討論会第一部において際立っていたのはジンドールであっただけに残念である。ジンドールは繰り返し訴えた。共和党の最終的な対抗者はヒラリー・クリントであるが、現時点で共和党が明らかにしなければならないのは候補者の実績と実力であると。

FOX Business GOP Debate

クリス・クリスティーは自身のあまり誇らしくないニュージャージー知事としての実績を隠そうとしてか、しきりに他の候補者を持ち上げて「ヒラリーこそ我々の敵!」と繰り返したが、そんなクリスティーを「今我々が討論すべきはそこじゃない!貴方がいかにニュージャージー州の政府を肥大化させ、財政を悪化させ、投資を減少させたかだ!」と叩きのめしたのはジンドールであった。

「経済を活性化させるためには減税しなければならず、減税するためには政府を縮小しなければならない。もう我々の子供達から未来を奪うのをやめなければならない」「我々は社会主義と決別して自由経済を選択しなければならない。政府を縮小してアメリカの経済を復活させなければならない」「”小さな政府”と唱えるだけでなく、本当にカットしなければならないのだ」

ジンドールはまたTPPにも触れる。「TPPの詳細は6000ページにも上る。誰がそんなものを読めるのか?そして誰がそんなものを読んだのか?そもそもがオバマが締結を目論むような条約を進めてはならない」 ※当然ながら目的はTPPではなく、友好国同士の貿易における関税の自主的撤廃であり自由貿易である。

サントラムも健闘した。民主党で尊敬できる人物は?の質問に対し、質問をやや変えて答えた。「私は彼らを尊敬する。なぜならば彼らは絶対に諦めずに戦うからだ。彼らは信念を持って我々を攻撃する」 Part 2 (17:50)。

ハッカビーはアーカンソー州知事としての実績はあまりパッとしないが、一つ素晴らしいのは税制(フェア・タックス)である。「なぜ製造業がアメリカから消えているのか?簡単です。それは製造業を税制で罰しているからです。候補者は皆税制を簡略化しようと言いますが、本当にシンプルな税制といえば、私の提唱するフェア・タックスです。もう人々の労働に対して課税するのを止めましょう。労働を罰するのを止めるのです。資本と労働への課税を止めれば海外に移転した製造業は我々の元へ帰ってきます。そして何より、フェア・タックスによって国税局を縮小ではなくて廃止できるのです。我々個人がどれだけ、どうやって稼ごうが、政府の知ったことではありません。我々はこの税制によって自由を得ます。我々の手で武器を製造することによってです」 Part 1 (4:13)

第二部はドナルド・トランプ、マーコ・ルビオ、テッド・クルーズ、ジェブ・ブッシュ、カーリー・フィオリーナ、ジョン・ケーシック、ランド・ポールの登場である。こちらも第一部と同様、司会者は余計なおしゃべりで時間を浪費せず、簡潔な前振りを経て質問へと移った。議題は主に経済である。




クルーズ(16:00) 経済発展について
「1) 税制改革(10%のフラット税を提唱)、2) 規制改革、3) 財政の健全化、これらを断行することで経済は爆発的に活性化することが歴史的にも証明されている。なぜならば、これらを実際に実行したのがクーリッジ、ケネディ、レーガンであったからである」




クルーズ(11:00) 社会保障について
「既に社会保険料を支払ってきた高齢者に対しては支給額をそのまま維持する一方、若い世代に対しては徐々に支給開始を遅らせ、同時に彼らが自分で将来の計画を立てられるようにしなければならない」 ※社会保障費で破産状態の日本に必要な考え方である。

続いて移民政策について

「共和党が民主党の不法移民合法化をパクっても負けるだけである」「不法移民許容で一番痛手を被るのは懸命に働く低所得者達である」「アメリカは法治国家であり、不法移民を”移民問題”とするのは言語道断である」

フィオリーナ(16:00)
「イノベーションと起業精神こそがアメリカを支えてきた原動力。これらを再び解き放つために政府規模を削減しなければならない」「イノベーションと起業精神は複雑な税制と山のような規制によって押しつぶされている」「税法を簡略化すれば僅か3ページにまとめることができる」




カーソン(2:00)フラット税と税控除廃止について
「歴史的に税控除が始まる前に所得課税が始まり、その前は所得課税も無かった。その時にも慈善活動や教会はあり、それらが貧しい人々を助けてきた。人々に自分で稼いだ金を戻すことこそ慈善である」

ポール(3:40)提唱する14.5%フラット税の税収が歳入中立的でないことについて
「我々はお金を賢く使うのが誰かを考えなければならない。政府か、それとも民間か。私は政府をトコトン小さくして見えないくらいにしたい。それによって税率を下げて金を民間に戻したい」

クルーズ(5:30) 提唱するフラット税について
「4人家族・年収3万6千ドルまでは課税無し。それ以上については全員が10%のフラット税。そして全ての企業について16%のビジネス税を課税。給与税、相続税、法人所得税を配しし、そして国税局自体も廃止する。これによって爆発的に経済は発展し、最も貧しい人々から最も弱い人々までが恩恵を受ける」「輸出にはビジネス税をかけない。輸入には課税する。それによって国内の産業は増進し、輸出競争力は向上する」

司会者:どうやって税収をまかなうのですか?

「経済成長による税収、そして大胆な歳出削減。私は5つの省庁を廃止する。国税局、商務省、エネルギー省、商務省、そして住宅都市開発省」 ※惜しい!同じ省を2回言ってしまった。本当はここは教育省が入るはずであった。抜群の記憶力を誇るクルーズも時には木から落ちる。

ポール(12:50) ルビオの子育て控除に噛みついて
「1兆ドルもの富の移転!これが保守の政策だろうか?これは社会福祉政策だ」「それから、ルビオの政策にはそれに加えて1兆ドルもの軍事費増大がある。それもあまり保守ではない」

一つ目はよい指摘である。そこで納めておけばよかったのだが。。。

ルビオ(13:30) 猛烈に反撃
「ポールは誰もが知ってのとおりの孤立主義者だ。アメリカが最強の軍事力を保持するとき、世界は最も安定する」(大声援) 「中東ではISISが首を斬りまくり、キリスト教徒を血祭りにあげている。凶悪なシーア派のイランは核開発を目論んでいる。中国は南シナ海を侵略している。アメリカが世界最強の軍事国家であるときこそ世界は最も安全である。私はそれを信じているのではなく知っているのである」(大声援)

ランド・ポール完敗

クルーズ(16:00) 仲介に入る
「国防は金がかかるだろうか?守らないほうが高くつくのだ。だが財政的に責任を持ちながらも国を守ることは出来るのである」「私は25項目の政府プログラムを廃止するつもりだが、その一つは砂糖への補助金だ」「製糖業は農地の0.2%でしかないにも関わらずロビー活動費の40%を占める。私はこのような補助金を廃止して国防に充当する」

トランプ(19:45) TPPについて
「私は自由貿易主義者だがTPPは自由貿易ではない。TPPの要綱は5万6千ページもあり、複雑怪奇で誰も読めやしない」「オバマケアと同じで誰も読まずだ」「為替操作に対する規定も無いこの協定は最悪の貿易協定であり、やめておくべきである」「それよりも個別に国と国で協定を結ぶほうがはるかに良い」




フィオリーナ(9:30) ロシアについて
「私が大統領ならばプーチンとは話さない。なぜならば弱い立場から話すことになるからだ。私は第六艦隊をプーチンの鼻先に配備する。ミサイル防衛システムをポーランドに配備する。バルト3国との攻撃的な軍事演習を行う。ドイツに数千の兵士を送り込む。戦争を始めるためではない。我々が同盟国を守る決意があることをプーチンが理解するためだ。そして我々はシリアに飛行禁止区域を設定しなければならない(プーチンに好き勝手やらせないために)。更に中東では我々の同盟国がISISと戦うために軍事支援を必要としている。ヨルダンのアブドラ国王、エジプト、クルド人、サウジ、クウェート、バーレーン、UAE、彼らはアメリカのリーダーシップを必要としている。アメリカは世界一の軍事力でなければならない」(大声援)

※とても良い
※プーチンとの会談設定に奔走する日本の政治家は爪の垢を煎じて飲め

ルビオ(14:00)ロシアとイスラエルについて
「私はプーチンに会ったことは無いが、ゴロツキであることを知っている。プーチンは基本的に暴力団の親分である。自国の経済が崩壊状態であるにも関わらず軍拡を進めている。奴が理解できるのは地政学的力学だけだ。グルジアでもウクライナでもシリアでも、奴は弱みを嗅ぎつけて動く。なぜ奴が中東にいるのか?それは我々の大統領が何もしていないからだ。そして我々の同盟国が米国を信頼していないからだ。我々の真の同盟国にして唯一の民主国家はイスラエルだ。オバマはイスラエルのネタニヤフ首相に対してイランのアヤトラ以下の扱いをしている。プーチンは我々の弱みを利用している。我々を地政学的に追い出そうとしているのだ」

「ISISの領土はシリアやイラクにとどまらず、中東全域に広がっている。彼らが我々を攻撃するのは我々がイスラエルを支持するからではない。我々の価値観そのものを敵視しているからだ。この戦いは彼らが勝つか我々が勝つかのいずれか一つしかない。我々はこの脅威を真剣にうけとめなければならない。この脅威が自然消滅することは無い」(大声援)

※同じくとても良い
※プーチンとの会談設定に奔走する日本の政治家は爪の垢を煎じて飲め




ルビオ(5:24) 経済危機の際に大銀行を救済すべきか
「そもそもなぜ”大銀行”が生まれるかといえば、それは大きな政府があるからだ。何千ページにもわたる規制があり、それを読んで対応するためには弁護士集団やコンプライアンス担当集団が必要。大銀行はそれが出来る。小さな銀行は出来ない。だから大きな銀行は益々大きくなり、小さな銀行は存続すらできない。そして大きな銀行は何というか?”我々はあまりにも大きくて重要だ。何かあれば政府は我々を救済しなければならない”と。言語道断だ!すぐにでもドッド=フランク法を撤廃しなければならない」

クルーズ(7:30)
「問題の根本は縁故主義と腐敗だ。他の候補は誰もはっきり言わなかったが、私は銀行の救済は絶対にしない!」

「中央政府は益々肥大化し、金持ちがそれに群がっている。金持ちは大きな政府と非常に相性が良い。大きな銀行は大きな政府のもとでひたすら大きくなり、地方銀行は衰退する。そしてその結果は?小さな企業が融資を得られないということだ。だから裕福な州がワシントンの周辺に集まるのだ」

「連邦準備銀行の役割とは?彼らの役割は経済の役割を賢者のごとく占うことではない。2000年代に彼らは市場をジャブジャブのカネ余りにしてバブルを引き起こし、不動産価格や先物価格が上昇、そして2008年に連銀は急に栓を閉じ、結果は市場暴落だ」

「だから連銀は基本に立ち返り、安定的な通貨供給に徹しなければならない。金本位制が理想だ」

「連銀は金融政策で好況と不況とを繰り返すのをやめ、通貨供給量を金の量と連動させて安定化させなければいけない。そして”最後の貸し手”に徹するのだ。これは救済ではなく、高い金利での貸し付けである。米国の歴史で170年間もの間金本位制を維持し、高い経済成長と低いインフレ率を享受してきた。我々は健全な通貨を取り戻さねばならない。そしてその恩恵を一番に受けるのは働く人々である」

その後すぐにケーシックが言った言葉

「まあそんなこと言っても実際は理論じゃないからさ。困っている人がいたら助けなきゃいけないんだよ実際は。哲学は意味ないんだよ、実社会においては」

ケーシックはもはや酔っ払いオヤジのレベルである。クルーズに喧嘩を売り、木っ端微塵にされている。

クルーズは「では大きな銀行は救うが小さな銀行はつぶれてもよいということか?」「小さな銀行に金を預けた人々は見捨てるのか?」と詰め寄る。

ケーシックが答えて「いや、行政の長として、(銀行が救済されなかった場合に)誰が経済的に余裕があるか、誰が経済的にキツイかを判断して分けて対応する…」と言った瞬間会場はブーイング。ケーシックは退場したほうがよい。

フィオリーナがこれらを受けて(14:00)
「社会主義はこうやって始まるのです。まず政府が問題を作り、そして政府がその問題を”解決”するために介入します」「不動産バブルも政府が作った問題です。共和党も民主党も共犯です。皆で集まって”持家はアメリカンドリームだ”とか言って。そして政府がバブルを演出し、銀行に他の銀行を買収しろと命令したのです。そうやって地方銀行はどんどん潰れ、大きな銀行はどんどん大きくなっていったのです。これは社会主義の始まりです。我々は政府を取り戻さねばなりません」(大声援)




クルーズ(2:30)ヒラリーの実績について
「ヒラリーが国務長官として外交に携わる間、全ての国地域の状況が悪化している。イスラエルを見捨て、イスラム過激派は増長し、イランは何百億ドルもの資金を得て核開発に邁進」

「縁故主義に関して言えば、ヒラリーは腐敗の代名詞だ」「オバマケアの議員除外はその最たるものだ」「私が大統領になった暁にはあらゆる議員除外に対して拒否権を発動する。法は全員に対して公平に適用されなければならない」(大歓声)




今回はかなり中身のあるディベートであった。FOX Businessはよくやった。

ドナルド・トランプの支持率は依然高いものの、やや息切れ状態が見え隠れしている。テッド・クルーズとマーコ・ルビオの支持率は伸びている。マーコ・ルビオはテッド・クルーズへの攻撃を開始した。この二人が「本当の保守」の座を巡ってどのような戦いを展開するかが今後の焦点となろう。

共和党 ディベート 3回目

  • 2015.10.31 Saturday
  • 19:05

ディベート(討論会)というのは候補者同士がお互いの政策や立場を競い合う場であると思っていた。だが今回の討論会によって主催者(メディア)の目的が明確になった。

主催者は左翼リベラルのメディアである。彼らの目的は視聴者に情報と選択の機会を与えることではない。彼らの主目的は共和党の候補者、特に保守の候補者を貶めることにある。そして政策に無関係な「エサ」を放り投げて候補者同士で言い争いをさせることによっていかに共和党員が「下卑た人間達であるか」を印象付けることにある。

今回行われた3回目のディベート(映像)において特筆すべきは次の3点である。

 
  1. メディア対保守の構図が鮮明化(メディアは保守の敵である)
  2. ジェブ・ブッシュの凋落
  3. マーコ・ルビオの上昇

今回のディベートの主催はCNBCというビジネス系のテレビ局であるが3名の司会者が左翼であることは明らかである。彼らの発する質問は悪意に満ちたものであった。

まず最初の質問が「あなたの最大の弱みは何ですか?」。国家のリーダーを選ぼうとしているなかで「弱み」とは。人間だれしも弱みがある。だが人々が知りたいのは強みである。そして弱みは自然と露呈されるものである。まともに答えたら馬鹿に見えること必至である。また敵である民主党に徹底的に利用されること必至である。これにはクリスティーが上手く答えていた。「弱みはこっち(共和党)じゃなくてあっち(民主党)でしょ。なんたって社会主義者と孤立主義者と悲観主義者しかいないんだから。誰が誰だか分からんわ」と。

このくだらない質問への答えが一巡すると、ドナルド・トランプに対しての「質問」が飛び出す。

「トランプさん。貴方の経済政策はコミックですか?」(09:30)

形式としては「はい」か「いいえ」で答える質問である。だがこの質問にいずれで答えようが間抜けに見えることは間違いない。だがさすが百戦錬磨の社長らしくガツンと返していた。

マーコ・ルビオに対して「貴方は選挙運動を一生懸命やっていますが議会の出席はいまいちですね。○○新聞は貴方は辞任すべきだとまで言っています。貴方は自分の仕事が嫌いですか?」(21:45)

ルビオはこの「質問」を予期してしっかり予習してあったのであろう。その新聞がルビオよりも議会欠席が多い民主党候補を公式に支持した事実を引き合いに出してマシンガンのようにカウンターを撃つ。愚問を発した司会者の完敗である。

だが愚かにもそこで空気を読まずに首を突っ込んだのがジェブ・ブッシュである。「でもルビオさん。選ばれたんだから、ちゃんと議会に出席しないと。でないなら辞めるべきでしょ」。

ルビオはこれに対してまたもや予習の成果を出した。

「ジョン・マケインから『ルビオを叩け』と入れ知恵されたようですね。貴方がマケイン(欠席が多かった)の出席率を問題にしたことを聞いたことが無い。(大きな拍手)私はブッシュ対抗戦を戦っているわけじゃありません。私は大統領選を戦っているのです(拍手と大歓声)」

この瞬間ルビオは上昇し、ブッシュは落ちた。「ブッシュは”隣のブロックまでフッ飛ばされた”」とのツイートが流れた。それはこのやり取りの後のブッシュの「落ちた表情」に如実に表れていた。

次の山場はクルーズへの「質問」(30:00)。「貴方はまた政府をシャットダウンさせようとしていますが、貴方は問題解決をするつもりが無いのですか?」

クルーズはこの誘導「質問」を無視して答える。

「まずひとつ言っておきたい。これまでに発せられた”質問”こそが、なぜ人々がメディアを信用できないかの理由です」(歓声)。

「トランプさん、貴方の政策はコミックですか?カーソンさん、算数できますか?ケイシッチさん、横の二人を愚弄しませんか?ルビオさん、辞めたらどうですか?ブッシュさん、なぜ人気下降してるんですか?・・・ そんな質問ばかりしているが、中身のある議論をする気は無いのですか?」(割れんばかりの大歓声)

「それと比べて民主党のディベートでの質問はどうか・・・」(歓声)

司会者「質問に答える気はあるのか無いのか、どっちなんです?後30秒ですよ」

「ここに居並んだ共和党候補達は民主党候補の誰よりも構想を持ち、経験を持ち、知恵を持っているのです。民主党候補の争いはボルシェビキとメンシェビキの争いに他ならないのです」(歓声)

「はい、時間終了です」

「では質問に答えましょう。財政の件ですね」

「いえいえ、もう持ち時間終了です」

「ちょっと待った。私の答えに興味があるのか無いのか?」

「次行きます、次行きます!次です次!!」

メディアの正体が暴露された瞬間である。ここでディベートの流れが変わった。ブレない戦う保守、テッド・クルーズの面目躍如である。

一人一人の持ち時間は短く、彼らの政策をじっくり知るには全くもって不向きである。話題も次から次へと移るため、候補者と候補者が立場の違いを鮮明にして政策を戦わせることも出来ない。だがその中にあっても候補者は機会を有効に使って重要な主張を発信した。

クルーズ、社会保険制度について(38:50)
既に掛け金を支払ってきた老いた人々に対しては年金支給義務を履行しなければならない。だが若い世代の人々に対してはこの不可能なシステムから却する道を与えなければならない。

フィオリーナ、社会主義について(48:50)
政府がまず問題を引き起こし、そして政府がその問題を”解決する”ために介入する・・・それが社会主義の始まりです。だから我々は政府を縮小しなければならないのです。

クルーズ、女性の活躍について(54:50)
(女性にも機会均等が保障されるべきではないか、との質問に対し)
政府による管理を強めようとする一方の民主党の政策がもたらしたのは女性の働く職場の減少と女性の失業。大きな政府政策で一番潤うのが大企業とロビイスト。逆に一番痛手をこうむるのは零細企業と働く女性達。※安倍さん、よく聞いとけ。

ルビオ、ヒラリー・クリントンについて(1:04:00)
メディアはヒラリーがベンガジ事件公聴会を「果敢に乗り切った」ように報道している。事実は逆で、ヒラリーが殉職者の家族を目の前にして嘘をつきまくっていたのだ。しかしメディアはそれを懸命に隠そうとしている。(大歓声)

クルーズ、金融政策について(1:05:10)
ウォール街の金持ちは儲けているが、一般の人々は物価高に苦しんでいる。その原因の一つは際限なき金融緩和政策にある。中央銀行は我々の経済を攪乱するのを止め、通貨の安定にのみ注力しなければならない。金との関連付けが理想だ。※バズーカ砲黒田、よく聞いとけ。

ポール、金融政策について(1:06:50)
中央銀行は様々な問題を引き起こしている。住宅バブル危機の発生も中央銀行によるところが大きい。金利決定権を中央銀行からはく奪すべきである。金利は「お金の値段」であり、市場が決めるべきものである。我々はいかなる価格統制も行うべきではない。

カーソン、規制について(1:08:40)
政府による規制とは企業にとってのコストなのです。政府が企業のコストを増大させれば、それは結果として中間所得層を苦しめることになります。全ての金持ちから富を没収したところで、財政赤字は微減すらしないのです。※安倍さん、よく聞いとけ。

ポール、税制について(1:15:00)
所得税だけでなく、給与税(Payroll Tax)も減税する。経済への波及効果はあらゆる階層へと及ぶはずである。

クルーズ、税制について(1:15:44)
給与税、相続税、法人税を全廃し、10%のフラット税を導入する。はがき一枚で済むように確定申告を簡素化する。そして国税庁を撤廃する。(歓声)

トランプ、銃保持について(1:20:30)
頭のおかしい奴らは「ガン・フリー・ゾーン(銃持ち込み禁止区域)」を狙うのだ。銃乱射事件は全部これが当てはまる。軍の基地も同じだ。素晴らしい軍人たちが銃携帯禁止の犠牲になっている。これは悲劇だ。

クリスティー、警官について(1:23:46)
(昨今の反警察運動に関連し)大統領の第一の任務は国民の安全と治安を守ることだ。だが大統領は反警察気運を誘導する。私が大統領になったら警察官に真っ先に言いたい。私はあなた方を応援すると。(大歓声)

クルーズ、締めの言葉(1:45:00)
大統領を選ぶうえで最も大切なのは、人々のために民主党に対してだけでなく、共和党に対しても戦ってきたのは誰かということである。オバマケアに対して戦ったのは誰か、不法移民合法化に対して戦ったのは誰か、全米家族計画連盟(中絶胎児の臓器売買が明るみになった)への公的資金投入と戦ったのは誰か。キューバの独裁から逃れた父を持つ私にとって、自由は特別な意味がある。私は常に戦う準備がある。

敵対的な司会者と対峙しながらも共和党候補はおおむね善戦したといえる。まだまだ先は長い。ある候補者は振り落とされ、その候補者の支持者が残存候補者に移る。更に長期戦は続く。次回に期待である。


追記:
「保守」と「左翼」の定義も一般理解も極めて曖昧模糊としている日本。安倍政権の大きな政府政策を左翼民主党が「新自由主義」と批判する日本。左翼的政策を連発する安倍政権が保守とされる日本。ナチスの経済・社会政策を褒め称える自称保守の跋扈する日本。日本の終わりなき凋落はこの哲学的混乱によるところが大きい。閉じこもっているだけでは世界が見えない。世界を見て、自分を鏡に映して見れば見えてくるものもある。だからこそ、この米・大統領選挙の動向を注視することが重要なのである。

共和党 ディベート第二回目

  • 2015.09.20 Sunday
  • 00:25

今回のディベートは2回目となる。ランド・ポール、マイク・ハッカビー、マーコ・ルビオ、テッド・クルーズ、ベン・カーソン、ドナルド・トランプ、ジェブ・ブッシュ、スコット・ウォーカー、カーリー・フィオリーナ、ジョン・ケイシッチ、クリス・クリスティーの11人が勢ぞろいした。

人気投票で下位のジョージ・パタキ、リック・サントラム、ボビー・ジンドール、リンゼイ・グラハムの4名のディベートは同じ場所で時間を分けて行われた。

しかし相変わらずの泥仕合である。誰が誰のことをこういった、ああいった(主としてドナルド・トランプが誰のことをこういった、あるいは誰がドナルド・トランプのことをこういった)、さあこの場でお互いにやりあってください、といった具合である。

しょっぱなの質問。カーリー・フィオリーナに対して。

「ボビー・ジンドール氏はドナルド・トランプ氏のことをとても核ミサイルのボタンを任せるわけにはいかない危険人物であると言いました。貴女自身もトランプ氏を懐疑的に見ているとの発言をしています。トランプ氏に核ミサイルを任せて安心できますか?」



トランプもトランプで、しょっぱなの発言は「ランド・ポールはここにいるべきじゃないね。泡沫候補だから」といった具体である。



自分は大富豪だから自分の金を選挙に使うことができるがブッシュは巨額の献金を受けているから献金主の意のままになってしまう、というトランプのコメントに関して「さあ、ブッシュさん。言い返してください」と。



ブッシュ 「金銭がらみで裏があるのはトランプ氏ですよ。なにせ自分がフロリダ州知事時代にフロリダでカジノを作ろうとして私に金を渡そうとしましたからね」



トランプ 「え?俺そんなことしていないって」
ブッシュ 「したよ」
トランプ 「俺が本気でカジノを作ろうとしてたら絶対に作ってたって」
ブッシュ 「あり得ない」

CNN 「フィオリーナさん、トランプ氏はローリングストーンズ誌とのインタビューで貴女の顔について”これが大統領の顔か?”とコメントしました。さ、この場にいるトランプ氏にどのように応えますか?」

フィオリーナ 「全国の女性はトランプさんの言ったことをはっきりと聞いたと思いますよ」

トランプ 「俺は。。。彼女は綺麗な顔をしていると思うし、それに俺は彼女は綺麗な女性だと思うよ」



最終の質問にしても、「10ドル札に女性の顔を載せるとしたら誰にしたいですか?」「大統領になったらシークレットサービスにどのようなコードネームで呼ばれたいですか?」など、わざわざ候補者を集めてまでするほどの質問ではない。

候補者一人一人に与えられた時間が非常に短く、ある候補には延々としゃべらせる一方で別の候補(特にテッド・クルーズ)が喋るのを途中で遮って切り上げる。人々が知りたがっているのは候補者の政策、資質、知識、力量、哲学、人間性であるはずだが、それらを引き出すには全く不適な設定である。

だがその中にあってもいくつか良い場面があったのも確かである。

ルビオは外交・軍事についてかなり詳しく、フィオリーナ、ハッカビーも結構「勉強している」印象である。イランの核問題、中東情勢、ロシアによる脅威に関して歯切れが良い。 

ルビオは非常にディベートが達者である。短い間に立て板に水のごとく論理的に情熱を込めて喋る。政府の仕事は人々の生活を細かに規制することではなく国家の安全を守ることにあるのだと。地球温暖化と二酸化炭素排出と経済活動は何の関連性もないのであり、炭素排出規制はアメリカ人から仕事を奪うだけであると明言。

テッド・クルーズはブレることがない。オバマ大統領がイランとの間で結んだ合意を大統領になった暁には破り捨てると断言。政府シャットダウンを巡って逃げに走る共和党指導部に対して「敗北主義を止め、原理原則を堅持する時である」と舌鋒鋭く迫る。不法移民に関しては「この問題がメディアで取り上げられるようになったのはトランプ氏のおかげだ」としつつも議会において特赦(既にいる不法移民に市民権を与えること)に反対して戦ったのは候補者の中で自分だけであると明言し、銃所持の権利を守る戦いを議会で先導したことも訴え、本当の保守が誰であるかを印象付けた。



マイク・ハッカビーはゲイのカップルに対して結婚許可証発行を拒否して収監された(既に釈放)キム・デイビスを擁護、同性婚を全国で合法とする最高裁の判決を司法による専制であるとし、伝統的結婚制度へのゆるぎない信念を見せた。またフェア・タックスへの支持を明言したのは高く評価したいところである。

ランド・ポールはいまいち旗色が悪かったが、修正14条に関して重要な指摘をしている。
日本でも「アメリカで生まれた子どもは両親の国籍を問わずアメリカ国籍を取得でき、これはアメリカ憲法で保障されている」と理解している人が多い。アメリカ本国でもこの解釈を使って不法移民の子供をアメリカ人であると主張する人間が多い。だがこの修正条項の意図は外国人ではなく解放された黒人奴隷にあったことは明白である。憲法の趣旨が捻じ曲げられてしまっているわけである。

今後もディベートが続くがこのような泥仕合形式では時間の無駄である。「ディベートになっていない」のが実情である。候補者の淘汰とともに、より質の高いディベートを期待したい。

GOP Debate 2015 2nd round CNN Republican debate 9/16/15 presidential debate 


GOP Debate 2015 1st round CNN Republican debate 9/16/15 presidential debate 


Conservative Review (リンク
候補者の保守度が一覧できる優れたサイトである。

 

テッド・クルーズ 「A Time for Truth」読了

  • 2015.09.04 Friday
  • 01:07



本書は2016年大統領選挙の共和党候補者であるテッド・クルーズの自伝であり、政策声明である。

政治の世界によく見られるのは選挙保守である。選挙のたびに保守回帰し、選挙が終わると保守を置き去りにして左派におもねる。それが政界中枢では「良識的」とされる。テッド・クルーズはその類ではない。クルーズ氏は若きながらも保守の道を歩んできた人物である。それは政界の保守度ランキングで首位を争うことからも明らかである。

クルーズ氏は高校時代からミルトン・フリードマン、フリードリヒ・ハイエク、アダム・スミス、フレデリック・バスティア、ルートヴィヒ・フォン・ミーゼスといった保守・自由主義の経済を学びつつディベートに熱中し弁論に磨きをかける。ハーバード大学を卒業後、合衆国最高裁のウィリアム・レンキスト判事のもとで事務官を務め、史上最年少でテキサス州の首席検事となり、国内最大の法律事務所の弁護士として活躍、2012年に共和党現職の合衆国上院議員、デイビッド・デューハーストに挑戦して勝利をおさめた。

父、ラファエル・クルーズはキューバに生まれ、カストロの共産革命に身を投じる。バティスタ政権から逃れてアメリカに亡命するが、共産革命後のキューバを見て過ちに気付く。カストロを支援したことを恥じ、キューバ人移民社会でそれが過ちであったことを公言、反カストロ・反共産主義を提唱する。

大統領選挙においては公私を問わず様々な「秘密」が暴かれる。あることないこと書きたてられる。父の過去、高校時代に派手にやらかした悪戯事件、身内のドラッグの問題、妻ハイディが鬱に苦しんだこと、これら本来ならば「そっとしておきたい」ことが明確に述べられている。悪意を持って歪曲されそうなことをあえて事前に出してしまおうという戦法であろう。

クルーズ氏は長年の共和党の悪癖である中道主義を糾弾する。

保守に「かたより過ぎる」と大多数を取り込むことができず、選挙で勝つことは出来ない。故に共和党は左翼にも共感してもらえるように中道を目指すべきである。

これが共和党指導部の長年の考え方であった。

だが実際は共和党が大きな勝利をおさめたのは「中道」を訴えたときではなく、保守が立ち上がったときであった。レーガンしかり、ティーパーティーしかりである。逆に大きく敗北したのは「中道」が全面に出たときであった。ブッシュ二期目しかり、2012年大統領選しかりである。

一般的には巨大派閥に属していることや豊富な資金源を持っていることは強みであるとされている。だがクルーズ氏は自身の強みはそのような派閥や資金源を持たないことであると言う。クルーズ氏に資金を提供しているのは大部分が個人であり、その多くが一人当たり数十ドルからの献金額である。

なぜ人々はクルーズ氏の選挙運動に寄付するのか。それはクルーズ氏の保守主義に共感し、迷いとブレのない姿勢に希望を見出すからに他ならない。

なぜ巨額の献金ができない一般庶民の支持が強みなのか。

それはクルーズ氏に対する一人ひとりの支援がクルーズ氏に力を与えるからである。その力とは、クローニズムに走ることを禁じる力である。クルーズ氏の力の源泉はボス政治家でも大企業でもなく、人々にある。支持母体が一般の人々であるということは、彼らを落胆させれば終わりである。だからこそ人々の声に耳を傾けることを怠れない。ボス政治家(ジョン・ベイナーやミッチ・マッコーネルら共和党指導部)に楯突くことを厭わない。メディアにバッシングされることを恐れない。これがクルーズ氏の「ぶれない保守」たる強みである。

奇しくもこの「強さ」は大統領の座を狙っていた時期のバラク・オバマと共通するものである。オバマの戦法から学ぶべき点は多い、とさえクルーズ氏は言う。だが違いはオバマのメッセージが偽りの”Hope & Change”だったことであると。

クルーズ氏は「選挙と金」の問題をわかりやすく説明する。選挙にかける金や政治献金の額について法律で上限を設けるべき、と考える人は多いであろう。金権政治はダメだと。献金額に限度を設けて政治をクリーンにしようと。往々にして「良き意図」は裏目に出る。政府の力が行使される場合はその影響は広範囲にわたる。

金額に上限を設ければどうなるか。「見える金」は制限される一方、「見えない金」は使いたい放題のまま放置される。例えば、献金が「見える金」ならば有名人による影響は「見えない金」である。人気芸能人がある左翼候補を「無料で」持ち上げれば有権者への影響は大きい。それに対抗するためには保守の候補は多額の金でコマーシャルの枠を買わなければならない。だがその「見える金」は法律で制限されている。結果はどうなるか、言うまでもなかろう。

世界の最先端を牽引してきたアメリカの医療を「世界標準」に引き摺り下ろす政策である医療保険制度改革法(通称オバマケア)に対してもクルーズ氏は揺るがぬ姿勢で対抗してきた。上院にてオバマケアへの資金供給を遮断せんと、21時間にもわたって議事妨害の演説を行った(これはフィリバスターといい、憲法で認められた手法である)。だが保身に汲々とする他でもない共和党指導部がクルーズ氏を悪者に仕立ててオバマケアを守ったことは記憶に新しい。

ここでリバタリアンに人気で今回の大統領選挙にも出馬しているランド・ポール上院議員が共和党指導部側に回ってクルーズ氏に対して非協力的な態度をとり、普段は物腰柔らかい盟友のマイク・リー上院議員(ユタ州選出)がそのポール氏に対して激昂したことが本書に記されている。今後の選挙戦において、クルーズ氏とポール氏が勝ち残れば、このような過去の出来事も争点になるはずである。

クルーズ氏は、新たに大統領となる者が実行すべきことが3つであると説く。それは以下である。
1) 雇用と経済成長の再興
2) 憲法で謳われた権利の擁護
3) 世界におけるアメリカのリーダーシップの再確立

経済活動を低迷下させる規制を撤廃し、税率を下げ、巨大組合を抑止し、教育を自由化し、社会福祉を改革し、オバマケアを撤廃して医療の衰退を阻止し、医療保険の全国的競争を可能としなければならない。現在、保険は州内でのみ購入することが法律で許されており、それが競争による価格低下を阻害している。

オバマケアは50人以上の企業に対し、従業員全員を保険加入させることを義務化している。多くの企業が生き残るために事業拡大を見合わせ、あるいは事業を縮小している。割を食うのは長年働いてきた人々、そして働く機会を得られない人々である。クルーズ氏はオバマケアを”Job Killer”であると切り捨てる。必ず撤廃しなければならない。

建国以来200年もの間人々の自由を守ってきた合衆国憲法がオバマ政権によって引き裂かれている。憲法で規定された言論の自由、信教の自由、そして自身と家族を守るために人々が銃を持つ権利を守らなければならない。三権を分立させ、連邦政府の権力を制限しなければならない。政府が個人の領域を侵犯することを防ぐための第4、第5改正条項を堅持しなければならない。

ロナルド・レーガン大統領の「強さによる平和 (Peace through strength)」を思い出し、アメリカは再び世界においてリーダーシップを発揮しなければならない。国益の保護と明確な目的を軍事力行使の根拠としなければならない。そして圧倒的な力で勝利し、目的が達成された後に素早く手を引かなければならない(大勝利したイラク・アフガニスタンが今や泥沼であることを考えるとこれは重要な教訓である)。弱さを晒して敵を増長させるオバマ・クリントン・ケリーの外交を転換しなければならない。

クルーズ氏は核開発に邁進しつつアメリカとイスラエルに死をもたらすことを繰り返し公言するイランを最大の脅威として位置づけ、対イラン強硬法案を提出した。直ちにイランに対する制裁を再開し、1)19,000台の遠心分離機を破壊し、2)全ての濃縮ウランを明け渡し、3)大陸間弾道ミサイルの開発計画を破棄し(アメリカ攻撃が唯一にして最大の目的である)、4)国際テロの支援を中止することを求めるべしとする。そして制裁解除はこれらの要求を満足し、更にイランに捕らわれになっているアメリカ人の釈放がなされてからであると主張する。

現在17名もの候補者が出馬している。不動産会社のオヤジさん、ドナルド・トランプがダントツ首位を走っている。だが戦いはまだまだ序盤である。大統領選挙は長丁場である。これからどう潮目が変わるか誰も分からない。だから現時点で誰が首位にいるかで結末を予想するのは意味がない。重要なのは現在誰に人気があるかではない。重要なのは誰が大統領にふさわしいかである。

ブレない保守、テッド・クルーズの本領が発揮されるのはこれからである。


参考:

Senator Ted Cruz at RedState Gathering 2015



Constitutionalists Ted Cruz Squares off With Katie Couric Powerful Truth 


Ted Cruz Takes Down Code Pink Hecklers on Iran


Sen. Ted Cruz Destroys Mitch McConnell- July 24, 2015

共和党指名候補争い ディベート第一回目

  • 2015.08.12 Wednesday
  • 18:54

2016 Republican Party President Debate - 6 August 2015 (Link)

2016年の米・大統領選に向けて共和党候補による討論会が火蓋を切った。計9回。今回はその第一回目である。トップ候補者10名がずらりと並ぶ。まだまだ「顔見せ」といったところだ。準備した素晴らしい口上をそれぞれが滔々と述べる。皆いかにもマトモでもっともらしく聞こえる。

候補者と候補者が火花を散らし、居をつかれ、つっこまれ、煽られ、弱みを暴露されるのはこれからである。候補者は皆それぞれが「我こそは保守本流なり」と主張する。「財政を均衡させた」「歳出をカットした」「政府を縮小させた」「Pro-Lifeだ」「外交は任せろ」「ヒラリーに対抗できるのは俺だ」。

台詞を覚えて吐き出すのは「喋り屋」なら出来る。だがアメリカ合衆国が必要としているのは喋り屋ではなく、リーダーである。

アメリカの財政赤字は破壊的な規模に膨れ上がっている。軍事力は縮小の一途を辿り、国際社会における威信は坂を転げ落ちている。社会は同性婚をはじめとする不道徳な実験の場となっている。世界の先端を誇った医療が社会主義によって破壊されようとしている。建国の理念で謳われた「生命の保護」が反故にされている。

これらを実行したのは左翼民主党である。だがそれを容認し、手を貸してきたのは似非保守の共和党である。問われるのは民主党か共和党かではない(民主党は問題外であるが)。民主党と戦うだけでなく、共和党とも戦ったかどうかである。単に「反対」を唱えるだけでなく、自由と繁栄を守るために何をしたかが問われるのである。

不動産王、ドナルド・トランプが注目を集めている。「俺の類まれなビジネスマンとしてのスキルでアメリカを偉大な国にする」と息巻く。だがトランプ氏は早晩撤退すると断言する。ビジネスマンはビジネスマンである。一般的にビッグビジネスマンは保守主義から遠いものである。ビジネスがビッグになればなるほどビッグな政府とガッチリつながるからである。トランプ氏がクリントン夫妻に献金した事実も既に回り始めている。数か月後には誰もが思うであろう。「トランプ?ああいたな、そんな人」と。

今回は助走である。各人が与えられた時間も極めて短い。だがその中にも光るものがあった。以下メモしておきたい。

13:19 テッド・クルーズ
(共和党指導部との確執についての質問に答えて)
我が国(アメリカ)の人々は真実を語る人物を求めていると私は信じています。既存勢力と談合する人物を求めるなら、それは私ではありません。我が国が18兆ドルもの財政赤字を抱えるに至った背景には理由があります。有権者は次から次へと共和党員を当選させてきましたが、選ばれた共和党員達は約束を守ろうとはしませんでした。私は常に真実を語ります。

1900 ランド・ポール
(ISIS掃討に関して共和党”タカ派”を批判したことについて)
私が民主党政権及び彼らに同調する共和党の一部に対して主張したのは「ISISの同類に武器を送るな」ということです。ISISは数十億ドル相当に及ぶアメリカの武器を後ろ盾にして勢力を拡大しました。これは我が国の恥です。我々の武器が彼らに流れるような状況を今すぐ止めなければなりません。

3220 テッド・クルーズ
つい先日、私が立法化に努めていた不法移民罰則法の議会通過を共和党の指導部が妨害したのです。共和党ですら、不法移民の問題を解決したいとは願っていないのです。ここに居並ぶ大体数の候補者達は不法移民恩赦に賛成しています。私は一度たりとも恩赦に同意したことはありません。

4350 ドナルド・トランプ
私は一番最初からイラク戦争には反対だった。メチャクチャになることは分かっていたからだ。医療の単一支払者制度に賛意を表していた件については、単一支払者制度は世界のいろいろなところでうまくいっている。スカンジナビアやカナダでもうまくいっている。だがアメリカでは大保険会社が巨額のもうけを出して政治家を完全に操っている。私は皆が潤うような偉大なプランを導入する。

※この発言からもドナルド・トランプという人物は有能なビジネスマンであることは疑うべくもないが、決して一貫性を持つ保守主義者でもリバタリアンでもないことは確かである。

14430 テッド・クルーズ
私が大統領になったその日に実行すること。.バマ大統領による非合法な大統領令の撤回する、堕胎した幼児の体部を売買していることがビデオで暴かれたPlanned Parenthoodへの捜査を司法省へ指示する、そして司法省とIRSに信教の自由の保障を指示し、イラン合意を否定し、駐イスラエル大使館をエルサレムへ移転させます。私は約束を守ります。

追記:
今回はトップ候補者以外の候補者については別の会場で討論会が行われた(リンク)。上位に躍り出る者もいればそのまま脱落するものもいる。今後の動向を注視したい。

上院の古株、リンゼイ・グラムの態度があまりにも自信なさげで見ていて痛々しい。声も小さく質問にまともに答えずに暗記した台詞を必死に喋っているかのようである。早々に退陣を願いたい。

注目はこの人物、テッド・クルーズ上院議員である。
Ted Cruz - Right Scoop
https://youtu.be/-788IyQ4uYM

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